#11 『バレーボール』

 深夜、ふとした瞬間に目が覚めた。

 何で起きてしまったのだろう? 思いながら目を開ければ、天井の隅に妙なものを見付けた。

 それは、白い球のようなもの。それが、一カ所だけ外れた天井板の向こう側、天井裏の辺りで浮かんでいるのだ。

 良く良く見ればそれはバレーボールだった。しかも某有名なメーカーの名前さえ入っている。だがどうしてそんなものが天井裏に浮かんでいるのかが分からない。

 夢かも知れないと何度も何度も目をこすり見上げるが、やはりそれは現実のままそこに浮かんでいた。

 だがそれ以上は何も起きない。僕はもうそれ以上の興味もなく、再び寝入ってしまった。

 翌朝、同じ場所を見れば、既に天井板は閉じており、もちろんバレーボールなどどこにも無い。起きてみればさすがにあれは不思議な出来事だったなと思い、天井裏を確認する事にした。

 だが、問題の箇所の天井の板は外れない。元々、外れないようになっているのだ。それは端から端まで続く一枚板だったからだ。

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