第28話 演目:種植え 終幕

街の破壊が良い感じになった来た頃、魔法少女達がやってきた。

見たところ六華の姿はないね。

これは嬉しい誤算だ。


そしてやっぱり空路で来たね。

転移とかして来なかった所を見ると専門の魔法少女もいなかったってことかな。

流石にこの緊急事態に転移を使わないとか無いだろうし。


あーだからあのおっさんとお兄さんがいたのかも。

流石に政府も魔法少女達だけで国を守れると思ってなかったんだろうね。

だから秘密裏に魔力を扱える人材を各都市に派遣していたと。


そう考えたら納得だけど………まぁ確定させるのは早いかな。

さて魔法少女も近くまで来たんだし、行動を演技をしようか。

配信タイトルも演目ってつけてるしね!


「みんな、集合」


まず街中に散らばった魔物達を集合させる。

魔物達は一斉にある地点に向かう。

その光景を見た魔法少女は不審に思って自然と僕の下にまで来るはずだ。


丁度連れてきた魔物の半分が集まった頃。


「あ、あなた!大丈夫!?」


「落ち着けフィリア。どう見ても襲われてる感じじゃないやろ」


「そうね。アレはどちらかと言うと従えてるように見えるわ」


三人の魔法少女がやってきた。

赤、緑、青色の魔法少女だ。

ってあの子達って僕が初めて基地に潜入した時について行った子達じゃない?


へぇ、魔法少女ってそんなに早く救援に来られるくらいに戦えるようになるんだね。


「誰?」


「私らは魔法少女や。ここに魔物がおるって聞いてな。

それであんたは何者や?」


「秘密」


口数は少なく、表情もあまり動かさないように意識する。

黒幕のキャラって饒舌で口が上手いイメージだけど、逆に寡黙で無表情でも良いじゃない!

もちろんどっちのキャラも好きだけどね。


後、戦闘中にペラペラと口を回すなんて芸当は僕には出来ないよ。

ただでさえ自衛手段が皆無なんだから少しでも生存確率を上げないと。


「名前くらいはあるやろ。それとも名無しなんか?」


「……名前はない。化け物って呼ばれてた。」


ここで暗い過去も匂わしていく。

ちゃんとバックストーリーも考えてるから突っ込まれても全然対応できるよ!


「「「………」」」


絶句したように黙る魔法少女達。

え、ちょっと黙らないでよ。

場面が進まないじゃん。しょうがないなぁ。


「もう良い?」


「待って!あなたの事放って置けないよ!」


「ええ、児童虐待なんて見過ごせないわ」


いやぁ良い反応を返してくれるね。

僕も演技に一層身が入るよ。


「そういうの嫌い……ウザったい」


そう言って忌み嫌うように魔法少女を睨みつける。

すると魔法少女達は恐怖したように一歩後ずさる。


「私たちと一緒に来て!そうすれば……!」


「……もういい。ワーム、食べろ」


ワームに地面の下からの奇襲を指示する。

ここからは戦闘だ。

僕自身は戦わないけどね。


「フィリア!下がれ!」


「うん!」


「全部で3体ね。ウォーターボール!」


お、遠距離攻撃だ。

でも威力は低いね。

ワームは仰け反ったけど倒されてない。


「“花火“!」


「はぁ!!」


前言撤回。普通に強いよ。

一発で倒されるとは思ってたけど、あんな爆発を起こされるとは思ってなかった。

刀の魔法少女もワームを縦に一刀両断だし。


明らかにリーチ足りてなかったよね?

魔法で何かしたのかな?

まぁいいや。おっさんとお兄さんの時と同じように徐々に強くしていこうか。


「インセクターズ」


次は虫系の魔物。

ハチだったりカナブンだったり多分一番種類が多いね。

虫系の魔物特徴は攻撃性能よりその頑丈さにある。


もちろん攻撃性能も優秀な個体はいるけど虫系は総じてしぶとい。

他の魔物だったら致命傷で動けないものでも虫系だと普通に動いたりする。

雑に使っても大丈夫な優秀な兵だ。

さあ、何処まで耐えられるかな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


あ、そろそろ撤退しないと。

そろそろ他の魔法少女もやって来る。

というか六華が向かってきてる。


とりあえず目の前の魔法少女三人娘の強さは分かった。

確かに強いけど対処は容易だね。

先に回復役を潰せばどうとでもなる。


刀の魔法少女の防御技術も目を見張るものがあるけど、所詮は一人。

数の暴力で叩き潰せる。

最後に火を扱う魔法少女だけど、隙が多すぎ。


防御を刀の魔法少女に任せてる弊害だね。

ただ、攻撃性能は恐ろしいよ。

ほとんどの魔物がこの子にやられた。

時々魔法が近くで掠ることがあったんだけどほんとに肝が冷えたよ………。


「みんな終わり。大体の強さは分かった。撤退する」


そう告げると臨戦態勢だった魔物が一斉に魔法少女に背を向けて僕のところまでやってくる。

お、ワームの生き残りがいる。

今回でその便利性が分かったからまたいっぱい捕まえて育てないと。


「ま、て……!」


「待ちなさい……!」


「行かせない、よ!」


おお、根性あるねぇ……もうボロボロでしょ?

もう立てないのに、よく動けるね?


「しつこい……ルナ」


分かってるよねルナ?

殺しちゃダメだよ?

ルナは『分かってるよ』と言わんばかりにスタンとフードから軽やかに地面に着地する。


そして一瞬で加速し、三人の魔法少女の両肩、両足を切り裂く。

その後は僕の下まで来て足に体を擦り付けて甘えてくる。

僕は思わずフッと笑ってルナを抱え上げる。


最後に魔法少女達を一瞥する。

三人とも地面に這いつくばりながら悔しそうに顔を歪めている。

ふふ、良いね。君たちを主役としようか!


君たちなら良い劇が出来そうだ。

そして僕は鳥系の魔物の背に乗って撤退した

その後は街にもう一度戻ってまた変装。


するとあら不思議!

重症を負ったこの街の人間に早変わり!

ちなみに怪我は本当に負ってる。


ルナとか他の魔物にやって貰った。

ちゃんと一瞬で治らないように神癒のイヤリングは外してる。

後は救助されるのを待つだけだ。


唯一の生き残りは不自然だろうから敢えて生かしてるのが何人かいる。

抜かりはないよ!

さ、これからはより一層暗躍しないとだね………。


いつになったら人に対して洗脳とかが効くようになるんだか。





全国同時刻魔物襲撃事件に関する報告書


報告書提出先:対未確認敵対生物対策省


所属:四国地方前線基地


魔法少女名:ノヴァ


経緯説明:全国全ての基地で爆弾を埋め込まれていない蠅の魔物が一斉に攻撃を開始。これを討伐後、全国の基地のすぐ後ろの街でワーム型の魔物が出現。魔法少女は現場に急行。街に常駐していた対魔部隊と連携してこれを討伐。事態は沈静化。


被害状況:多くの基地、街にダメージ。ほぼ全て復興可能な範囲内でダメージだが、大阪市のみ深刻な被害を被った。無事な建物はなく、生還者も数人のみ。復興は難しいと思われる。魔法少女も多少なりとも怪我をったが、大阪市の救援に行った魔法少女三人の怪我が重症度が高い。


補足:救助されたのは30代の主婦と思われる女性。50代のサラリーマン。高校生と思われる男子。中学生と思われる女子。対魔部隊と思われる30代くらいの男性。中学生と思われる女子は魔法少女の素質あり。目覚め次第、話をする時間を取るべきと判断する。大阪市に救援に行った魔法少女三人、対魔部隊と思われる男性も当時の状況を知っている可能性があるため同様に目覚め次第、話を聞くべきと判断する。


備考:この事件はあまりにタイミングが揃っていたように感じる。魔物達の活性化とは別に何か別の要因があるように感じる。


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読んでいただきありがとうございます。

これで2章は終わりです。次章では今までとはまた違った暗躍を見られると思いますのでお楽しみに!


ただ、書く難易度が上がるので更新頻度は下がると思います。すみません。

2章を書いていて思ったのですが、メルヘスくん、自衛手段少なすぎ。

自分で付けた設定でしたが何回も文句を言ってましたね。


後、この後VRMMOの作品も更新するかもしれません。

良ければ見ていってください。



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