第27話 演目:種植え その5

おっさんとお兄さんがこっちにやって来た件。

しかも魔力を操ってる。

いやいやいやいや勘弁してよ………こんな大事な場面で不確定要素とか致命的なんだけど。


図書館で調べた限り魔物に対抗できるのは魔法少女だけだった。

銃器とかは魔物には効かない。ミサイルとかの大火力は多少効くみたいだけど、本当に多少だしそれやったら街がめちゃくちゃだし普通に魔法少女の攻撃の方がよっぽど有用だ。


だからボクは魔法少女以外に魔物に対抗できる勢力はないと判定して計画を立てたんだ。なのに……なのにぃ!!何で今更出てくるかなぁ!?


「誰?」


とりあえず、敵の情報を集めないと。


「それはこっちのセリフだなぁ。魔物に襲われない人なんて聞いた事ねぇ

お前さん、何者だ?」


質問を質問で返すなよ!

いや、落ち着くんだメルヘス。

今は配信中。それも今回はある程度演技をして次の布石を打たないといけない。


具体的にいうと今回の事件はガスマスクを付けた謎の人物が黒幕。

崩壊した街で魔法少女と少しだけ対峙して、その強さを示す。

あと対峙している時に意味深な言葉を呟いて背後に組織らしきものがあることを匂わす。


つまり簡単に言えば『何かしら暗い過去を抱えてそうな謎の人物』を演じないといけない。

………文字にすると物凄くバカっぽいな。

そしてこの場合どう返答するのが正解なのか………。


うーん含みを持たせればいけるかな?


「さあ。好きに呼べばいい」


「素直に答えるつもりはない、か。俺たちは警察のもんだ。

ちょっと署まで来てもらおうか?」


警察?思いっきり迷彩服着てるじゃん。

というかコイツらどうしようか。

当初の予定だと一般人は何人か残して虐殺の予定だったんだよね。


コイツらは………一般人ではないけど、ヤッた方がいい気がするんだよ。

不確定要素は極力排したいし。

けどねぇ、動画的には生きてた方が面白いと思うんだよ。


「無理。忙しい」


うーん、本当にどうしようか?


「なら力ずくだ。おい倉井やるぞ」


「はぁ……結局こうなる……」


あ、襲ってくるみたい。

んーじゃあこうしよう。

段階的に魔物の強さを上げていこう。


制限時間は魔法少女達がこっちに来るまで。

これであの二人の強さもわかる。

もし、魔法少女と同じくらい強かったら特級戦力で殺せばいい。


「ワーム、食べてよし」


最初の魔物はワーム。

僕が支配した魔物は漏れなくオヤツとして魔力を食べてるからね。

支配した当初より強くなってる。


なので最近支配したワームが一番弱い。


「っ!下だ!避けろ!!」


「あぶなっ!」


お、避けた。

コイツら、移動すると音と振動がセットだからなぁ。

もしそれがなったらめちゃめちゃ強かったんだけど。


………いやその場合捕獲する僕も危なかったか。

さて、コイツら相手にどれくらい戦えるか。


「うぉ!結構デカいな!」


「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ……ほら合わせてください」


「おう!」


あ、一体結構痛い攻撃受けた。

上手いな。出て来たところを剣でバッサリ。

身体能力も感知も人間とは比べ物にならない。


この辺は魔力で強化してそうだね。

近接戦は優秀。じゃあ遠距離攻撃は?


「嘘でしょ!?アイツら岩吐いて来ましたよ!」


「だぁあ!!めんどくせぇ!!」


ふむ。遠距離攻撃は弾くか回避して反撃はなしと。

遠距離攻撃はないみたいだね。

ということは遠距離攻撃は魔法少女の特権ということかな。


というかワーム達結構便利だね。

基本的に地中なんて警戒されないから奇襲もしやすい。

問題は弱いところだけど、それはこれから育てていけばいい。


出来れば振動と音を抑える方向に育ってくれたら嬉しいなぁ。

そうしたら魔法少女たちにも奇襲が決まるかも。


「っしゃあ!ラスト一匹!!」


お、倒し終わったみたいだね。

うーん、ワーム達相手にこれだけ消耗するんだったらあんまり脅威ではないかな。

ってあれ?もう一人居たはずだけど………?


ガキンッ!!


うわっ危なっ!

コイツいつの間に背後に来たんだ?

思いっきり首狙って来てたし、護衛の魔物がいないと死んでたよ。


「猫だとっ!?どこに潜んでやがった!!」


この子は僕のフードの中で寝てたんだよ。

暖かくて気持ちいんだよね。

爪は凶器だけど。


この子は機動性に優れていてピョンピョン跳ねまわりながら相手の弱点をついてくる。

名前はルナ。黒い毛並みに金色の目からそう名付けた。

気分屋だけど中々に甘え上手なんだ。


「残念。ルナ殺して」


「にゃ」


ルナが返事すると奥のワームを倒した方の男の首がとぶ。

あれ、魔法少女みたいに魔力の障壁みたいなのは使えないんだ。

やっぱり脅威ではないね。


「山岡さん!!お前よくm」


手前の奇襲してきた方は両足首、脇腹を切り裂かれて倒れる。

あれ?殺さないの?


「にゃ〜ん」


あ、遊ぶ気満々だ。

気分屋だなぁ。でも今は作戦中だからダメだよ。


「ルナ。行くよ」


「にゃー……」


「ダメ。今忙しい」


この街結構広いんだからね?

今は各地に支配した魔物を配置してるから数が少ないの。

ほら、ルナも参加して。


「………っくしょぉ……待ちやがれ……!」


背後で何か言ってるけど無視。

今は君に構ってる暇ないの。

まぁ君らくらいならどうとでもなるし、運が良かったら生き残るんじゃない?


そうして僕は魔物たちを連れて街の奥へ消える。

さぁ思う存分、暴れなさい。





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読んでいただき、ありがとうございました。

本当は今回で終わってたのですが、投稿直前に矛盾が発見されたので慌てて書き直しました。


テストいやだぁぁぁぁぁ!!!!!1

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