異世界図書館の守護者
すぱとーどすぱどぅ
第1話 図書館の秘密
晴れ渡る春の空の下、新学期の喧噪が校舎内に響き渡っていた。
しかし、その賑やかな雰囲気から一歩離れた学校の一角にある図書館では、別世界の静寂が支配していた。
高校2年生の晴人は、この静寂を愛してやまなかった。
彼にとって、図書館はただの逃避場所ではなく、無限の可能性を秘めた宝箱だった。
晴人が図書館の扉を開けると、馴染み深い書籍の香りが彼を迎え入れた。
自動的に足はお気に入りのコーナーへと向かい、手に取ったのは見たこともない装丁の本だった。
「異世界図書館の守護者」と題されたその書籍は、年代を感じさせる重厚な表紙で、晴人の好奇心を掻き立てた。
「おや、これは珍しい。」
晴人はつぶやいた。
彼はいつものように窓際の席に着き、本を開いた。
その瞬間、文字が踊り始め、ページからぼんやりとした光が漏れ出した。
晴人は目を疑ったが、好奇心が恐怖を上回った。
ページをめくる手は止まらなかった。
「なんだこれは...」
彼の声は、図書館の静寂に吸い込まれるように消えていった。
光は次第に強くなり、晴人は目を閉じざるを得なくなった。
心臓の鼓動だけが異様に大きく感じられ、次の瞬間、全てが静かになった。
目を開けると、そこは見知らぬ世界だった。
広大な空には二つの太陽が輝き、足元には奇妙な文字が書かれた石畳が広がっている。
そして、目の前には、想像を絶するほど巨大な図書館が聳え立っていた。
「どこだここは...?」
晴人の困惑は声にならなかった。
「新しい守護者か。待っていたぞ。」
振り返ると、長い白髪を持つ老人が立っていた。
彼の目は時を超えた知恵を宿しており、晴人に優しく微笑みかけた。
「私はアルバス、この異世界図書館の管理者だ。そして、君はこの図書館の新たな守護者に選ばれた。」
晴人は混乱した。
「守護者?選ばれたって、何の話ですか?」
アルバスは笑みを深めた。
「それはね、この図書館と、君自身の物語の始まりだ。」
アルバスは晴人を図書館の奥へと案内した。
彼らが歩くたびに、周囲の本棚からはさまざまな色の光が弱く輝き、まるで歓迎されているかのようだった。
壁一面には、古今東西の書物が並んでおり、晴人はこの場所がただの図書館ではないことを直感した。
「ここは、異世界図書館。この宇宙、いや、多くの宇宙に存在するあらゆる知識と物語が集められている。」
アルバスが説明する。
「多くの宇宙...?」
晴人はその言葉の意味を理解しようと頭を悩ませた。
「そうだ、君のいた世界も、ここに集められている無数の物語の一つに過ぎない。」
アルバスは優しく微笑んだ。
「そして、この図書館は守るべきものが多い。それが守護者の役割だ。」
晴人は深く考え込んだ。
自分がなぜここにいるのか、そして守護者とは具体的に何をするのか、まだ理解できないでいた。
しかし、この不思議な世界と図書館に対する興味は日に日に強くなっていった。
「守護者の仕事は簡単ではない。図書館を狙う者たちからこれらの書物を守り、時には失われた本を取り戻す必要がある。」
アルバスは真剣な表情で言った。
「だが、心配するな。君は選ばれたのだから、必ずやれる。」
その時、図書館のどこか遠くで小さな騒音が聞こえた。
アルバスは顔色を変え、
「早速だが、君の力を試す時が来たようだ」
と言い、晴人を連れて音のする方へ急いだ。
彼らが到着したのは、図書館の一隅にある古いマップルームだった。
部屋の中央には大きな地図が広がり、その上には光の点がいくつか点滅している。
アルバスは急ぎ足で地図に近づき、一つの光の点を指さした。
「ここだ、この場所にある本が今、盗まれようとしている。」
アルバスの声は緊迫していた。
「守護者としての最初の試練だ。君と私で、その本を守らなければならない。」
晴人は戸惑いながらも、アルバスの決意に感化され、図書館の守護者としての自分の役割を受け入れ始めた。
二人はマップルームを後にし、図書館を守るための冒険へと足を踏み出した。
晴人にとって、これはただの始まりに過ぎなかった。
未知なる挑戦と出会いが、彼を待ち受けている。
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