第3話 拷問
「こいつどうします? 殺します?」
「そうだな。念のために捕まえてきたからこいつが持ってる情報とか知りたいな。それにこいつおそらく異世界人だぜ」
「なぜわかるんですか?」
「こいつの魔力を見ろ、どう考えても異世界人特有の魔力だ」
そう言って、大きい方の男の言葉に従い、背の小さい方の男が私の顔をじろりと見て、
「そうか、たしかにな。そうだったら大手柄だぜ!」
と、喜びを見せてきた。うざい。
「いや、さっさと殺してください」
もしかしたら自殺ができないだけで、他殺、しかも敵の手によってならこの世からされるかもしれない。情報とかどうでもいい、殺して。
「情報は吐かないということかあ?」
いや、そんなことはないんだけど。情報とかほぼ持ってないし。勝手に勘違いしないでほしい。
「私情報持ってませんよ」
「嘘つけ。話すなら今のうちだぞ。話さなかったら、地獄の苦しみが待っているからな」
「本当にないんですってー」
「なるほど。連れて行け!」
えー、なんでこんなに分かってくれないんだー。私はただ事実を伝えただけなのに。
「熱い、熱いって」
私は今蒸されている。檻の中に手足を縛られて入れられて、炎であぶられている。まるでサウナだ。
情報を取るって尋問じゃなくて拷問かあ。マジでやめてほしい。
「どうだ、情報を吐く気はないか?」
「吐かないから、ここから出して」
鳥になるところが、手足が拘束されている。全くいつ羽ばたけるのだろう。もう嫌だ。暑い。
「火の強さを上げる。牧をくべろ」
「は!」
「魔法部隊、魔法を放て」
「は!」
炎の火力がどんどん上がっていく。もう嫌だ。私は死にたいだけで、ドMというわけでは無い。つらいのは嫌なのよ。
「もうやめて!」
「なら、情報を吐け!」
「吐く情報がないもん」
本当に吐く情報が無いのだから困る。国の情報とかの知識は一般人レベルだし。さっき教えてもらったこと程度しかわからないし。
「ならしばらくそこで過ごしておけ」
はあ、暑い。しばらく過ごすなんて無理だ。こんなことなら別の方法を探しとけばよかった。
本当神様のアホ。神様か、女神か知らんけど、なんでこんな不死身とかいう使いにくいやつなのよ。こんなんだったら、もっとチート能力が欲しかった。
ほら、あの私何かやっちゃいました? とか、おかしいって私が弱すぎるから? とか言ってみたかった。ダメージを負う不死身じゃあ何もできないじゃない。せめてダメージは負わないで欲しかった。再生じゃなくて、傷つかないみたいなさ。
てかおい私。本来の目的を忘れるんじゃ無い。そんなチート能力とかじゃなくて、飛ぶ力が欲しいんだろ。
あれから幾分の時間が経ったんだろう、まだ暑い。しんどい、何も考えたく無い、死にたい。
「おい、またきたぞ。情報を吐け。これだけの火力を保っているのもただじゃないんだ。言え!」
「……だから知らないんだって……」
それしか言えない。
「こんなはずじゃあ……」
「ん? 何か言ったか?」
「何も言ってませんよ」
もう無理だ。死にたい。飛びたい。
「なら仕方ない。次の拷問に行くか」
解放はしてくれないのか。もうどうだったっていいよ。もうね……。
「これは?」
「水車だ。これからお前をこれにくくりつける」
ああ、もう何をしてくるか想像できる。もう嫌だ。しかもどうせ死なないんだ。
そして水車にくくりつけられる。嫌だなあ。不自由は。
「ふん」
そして水車が回ってゆく。そしてすぐ私は水の中に沈んだ。
苦しい。息ができない。私は元々水泳は得意ではないのだ。
それに私は水中じゃなくて空にいたいのに。
そして水の中から出される。
「情報を吐く気はあるか?」
「無いです」
情報なんて無いもの。
「もう一度だ」
「やめてください」
はあ、嫌だ、またあの地獄に行くのか。神様お願い、飛ぶ力をください。
だが神様は答えてくれない。当たり前か、神様なんて私の味方じゃないから。
「ゴホッゴホッ」
私は咳き込む。
「本当に情報を吐け」
「吐きたくても吐けないわよ」
ほんと何回言ったら分かるのよ。
「もう一度だ」
「いえ、本当に何も知らない可能性はないんですか?」
「バカいえ、異世界人だぞ、そりゃあ情報を与えてもらってるに決まっている」
「でもそろそろ死ぬんじゃないですか?」
「そうなったらそれはそれでだ」
私としては死にたいんだけどなあ。救世主でも現れてくれないかな……無いか。
「もう一度だ」
ああ、また始まる。地獄が。
そして再び水の中に入れられる。
「うおおおおお!」
水の中で音が聞こえる。地上から聞こえるのだろうか。この地獄から解放してくれる救世主かな? だったら嬉しいなー。
「抗戦しろ!」
「おう!」
「ありゃあ!」
「なんだ? こいつ強いぞ」
どうやら神様は助けてくれなかったが、別の救世主がいたようだ。それにしてもそろそろ引き上げてくれないと苦しい。
「はあ!」
どうやら無双してるらしい。頑張れー。
「ゴホッゴホ」
どうやらそんなこと言っている場合じゃなさそうだ。私は死なないのだが、流石に苦しすぎる。
「大丈夫か?」
と、引き上げてくれた。目の前には赤髪の青年がいた。
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