第15話 レアシゲムギ遭遇戦! 反撃の『ドンテイル』!
――レアモンスター。
フィールドには、そのレベル帯では普通居ないような強敵が現れることがある。
その1つがレアモンスターだ。
フィールドに現れるモンスターがベースになっており、ステータスは元のモンスターよりかなり底上げされている。最大で2倍もの能力値を持っていることもある強力なモンスターだ。
倒すと確定で宝箱をドロップする。宝箱にはマジックカードや装備カード、アイテムカードなどが入っている他、さらに経験値も大量にくれるため倒せればかなり美味しいモンスターだ。
今回は〈シゲムギ〉の姿で登場。――だが。
「見た目に騙されるな! レアモンスターは元になったモンスターをかなりパワーアップさせたような強さだ。単身では荷が重いぞ!」
「ピコ!」
「スイリンは遠距離から『水鉄砲』で足止め」
「ウキュー!」
「ピコピコ!」
「ウキュ!?」
「避けられたか。あいつは素早さもかなり早いな。スイリンは肩にそのまま乗っていてくれ」
「ウキュ!」
ステータスが上昇しているほか、この〈シゲムギ〉はおそらくLV自体もそれなりに高いと思われる。なかなか素早さが高く、スイリンの『水鉄砲』が避けられてしまった。
ならば、近づいてきたところを攻撃するまで。
俺は〈カヤの木刀〉を構えながらゼスの下へ向かう。
「ゼス、大丈夫か?」
「油断したにゃ。まさか我がボールになる日が来ようとは思わなかったにゃ」
そりゃ誰だって思わないだろうさ。
「ほれ〈ベリー〉だ」
「いただくにゃ」
ゼスは先ほどの一撃をカウンターで浴びて、なんと20もHPが減っていた。LVゼロだったなら一撃でレストカードだ。強い。
今のゼスはLV8で最大HPが60だが、それでも一撃で3分の1もダメージを負ってしまったのは大きい。すぐにHPの回復アイテムを食べさせる。これでゼスのHPも55に回復したな。
なかなかの速度でこっちへ向かってきているレア〈シゲムギ〉をスイリンが『水鉄砲』で、俺が木刀で牽制。その間にゼスがようやく戦線に復帰した。
「ゼス、『ニャー』で防御力を下げろ」
「言われなくてもにゃ! 『ニャー』!」
「ピコ!」
「おりゃあ!」
ゼスが防御力デバフを掛けたところで俺が駆けて横一閃。すり抜けざまに斬りつける。
この技は中学生が剣道を教わっているとついやりたくなる、某モンスターを一狩り行くゲームのとあるアクション技だ。
俺も若気の至りでよく練習していたんだが、昨日木刀を振るっている内になんか良い感じに決まる攻撃に昇華できたのだ。
おかげで斬りつけながら距離を取るという理想的な攻撃が使えるようになって重宝していた。
「ダメージは、3割か!」
俺のホルダーLVは8。【戦闘力】は〈カヤの木刀〉を含めて【44】だ。
この第二エリアではすでに限界値に近く、一撃で決着が付くこともあるほどの数値である。
それがゼスのデバフを食らってなお3割しか入っていない。
レアモンスターの方も結構な高レベルだと分かる。
「ピコー!」
反撃だ!
レア〈シゲムギ〉が『イネ叩き』を使って攻撃してきたのは、俺だった。
ダイレクトアタックだ!
「くっ!」
〈カヤの木刀〉で防御しながら横に飛ぶ。イネの束は木刀で受けることができた。手にはバシンと衝撃が来ただけで痛くはない。
しかし、瞬間バリアみたいなものが現れては消え、ダメージが起こったことを教えてくれた。
「ウキュ!」
「ああ、大丈夫だスイリン。ありがとな」
見ればスイリンのHPが5減っていた。
これが【バリア】の効果。
ダイレクトアタックを食らうとホルダーが食らうはずだったダメージを召喚モンスターが肩代わりして受けてくれるのだ。おかげで俺は痛くもない。ゼスやスイリンの様子からしてモンスの方もダメージを受けても痛くは無いらしい。こちらも【バリア】によって守られているからだ。
だが、ホルダーは気をつけなければならない。ダイレクトアタックが続けば召喚モンスターは
そうすれば【バリア】は消え、その先にあるのはゲームオーバーだ。
緊張で手に力が入る。だが大丈夫だ。俺は1人で戦っているわけではない!
「ゼス、『ドンテイル』!」
「今度はやられんにゃ!」
『ドンテイル』はゼスがLV3になった時、SPを【攻魔力】に振って覚えた攻撃スキルで、前方に縦回転して尻尾をドンと叩き付けダメージを与える技だ。
それに対してレアモンスターの〈シゲムギ〉はまたもや『イネ叩き』で迎え撃つ姿勢。初期技はクールタイムが明けるのが早い!
今度は上段の構えか。レア〈シゲムギ〉、まさかゼスを叩き落とす気か!
――――だが。
「ウキュー!」
「ピコ!?」
そこに援護射撃をしたのはなんとスイリン。
俺の指示で隙を窺っていたスイリンが『水鉄砲』を発射して〈シゲムギ〉の動きを止めたのだ。そこへゼスがスキルを発動する!
「食らえにゃ! 『ドンテイル』!」
「ピコ!?」
「そこだー!!」
俺もこの隙を逃さず木刀で打っ叩いた。
三連続の強力な攻撃。
それにより、ついにレアモンスターの〈シゲムギ〉のHPがゼロになる。
「ピ……コ……」
そして固まった〈シゲムギ〉は光のエフェクトが弾けて消えた。
その後には1つの宝箱がドロップしていた。
「おっしゃー! レアモンスター初撃破だー!」
「ウキュー!」
「ふっ、これが我の力だにゃー!」
全員で勝利に勝ち鬨を上げる。
スイリンは肩に乗りながら俺の顔に抱きついて嬉しいアピールをし。
ゼスも尻尾を挙げて勝利の雄叫びをあげている。
まさかの帰る時になってのレアモンスターとの遭遇だったが、みんなのレベルが高かったのとモンスターを2体召喚できていたこと、そして見事な連携で無事に勝利を掴むことができた。
これはみんなの勝利だ!
「よっしゃ、じゃあお待ちかねの――宝箱を開けるぞ!」
「ウキュ!」
「どれどれにゃ」
まず目に付いたのは割と大きな宝箱。
どう見ても〈シゲムギ〉よりデカい気がするが、細かいことはいいのだ。
宝箱の前に屈めばスイリンものぞき込み、ゼスも近寄ってスイリンとは逆の肩に跳び乗ってきた。みんな期待している様子。
「しかも初っぱなから〈銀箱〉だぞ! 期待大、なにが当たるかな?」
宝箱にはランクがある。〈木箱〉〈銀箱〉〈金箱〉だ。
ランクによって当たるカードの種類が変わる。
〈木箱〉からは
〈銀箱〉からは、
〈金箱〉はいわゆる激レアカード。
どうか良いものが当たりますように。そう願って宝箱を開ける。
するとそこには――3枚のカードが入っていた。
「か、『火炎魔弾』だと! マジか、攻撃のマジックカードだ! しかも回数が10回も!? うぉっしゃー!!」
しかもその1枚は、使用するとホルダーが魔法の炎弾を放てる、マジックカードだったのだ。
使用回数は10回。これはSR級のレアカードである。
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