第14話 レアモンスター遭遇。ゼスがホームラン!?
大きな木で〈キューサ〉のカードをゲットしたのち、さらに散策し、狩りを続けた。
みんながLV5を超えた辺りからはもう経験値がなかなか入らなくなったため、〈第二エリア〉へと移動し狩りを続行する。
ちなみに俺たちが今まで戦っていたのは〈第一エリア〉。〈第二エリア〉はその先にあるフィールドで、〈第一エリア〉よりも強いモンスターが登場する分経験値が多くもらえる。さーて経験値はどこだ?
はっ!? 草むらが揺れた! 見えた!
「ちょっと強い〈シゲムギ〉発見! 行くぞゼス! スイリン!」
「楽勝にゃー!」
「ウキュー!」
「ピコ!?」
ここはまだ単体なので3人で戦えば怖くない。
3人で総攻撃してボコボコにして倒した。
「おっしゃー! レベルアップだ!」
「おめでとうにゃヒイロ」
「ウキュキュー」
「おう。サンクス。ゼス、スイリン、2人もレベルアップおめでとう!」
今の戦闘でみんな一斉にレベルアップを果たしお祝いの言葉を贈り合う。
手を下に
触れたとき、音がパチンじゃなくポフンだったのが最高。
スイリンはジャンプが苦手なので、抱っこしてあげてそっと手を合わせるのがお気に入りだ。こっちも最高。
これで俺のホルダーLVは6。
ゼスとスイリンもLV6になった。
よしよし。かなり順調だと言っていいだろう。
とりあえず育成はゼスとスイリンが優先だ。〈キューサ〉も使う予定だが、LV10になって【召喚枠3】になるまではお預けだな。
今召喚するとゼスかスイリンをカードに送還せねばならず、拗ねそうだ。ちょっと見てみたいと思ったのは内緒。
「ふう、だいぶ楽に勝てるようになってきたな」
「うむ。強くなっていると実感出来て大変良いにゃ。もっとペースを上げてもいいにゃ」
「ウキュー!」
「そうだな。なら、もう少しだけ強いモンスターと戦いやすい穴場に行ってみるか?」
「穴場とにゃ?」
「ウキュ?」
「おうよ。そこは一見ここら辺と同じ環境に見えるんだが、やたらとレアで強いモンスターが現れやすい地帯なんだ」
これはゲームの知識だ。
これがマジで不思議。その付近で狩りをして一定時間が過ぎると、レアモンスターが高確率で現れるのである。
リアル〈プレモン〉でも試す価値はある。もちろん強いと言っても今の俺たちで十分倒せるレベルの強さ、というのが頭に付くけどな。今の3人のLVなら安全マージンは確保出来ていると言っていい。
「面白いにゃ。その挑戦、受けてやるにゃ」
「ウキュ!」
「よし、じゃあそこへ向かおう。待っている間はそこで狩りな」
少し移動したところ、そこは何の変哲もない道だった。
だが、若干曲がった道が多い〈始原の森〉で特徴的な一本道。ここで間違いない。
「ここだ」
「にゃ? 本当に何の変哲もない場所だにゃ」
「だが、ここで狩ってると本当にフワッといつの間にか出てくるんだよ」
「……よし、どっちみち〈神猫様〉になるにはレベル上げが必須だにゃ! ここで狩りしながら待つにゃ!」
「ウキュ!」
ということで道を行ったり来たりする。
すると草むらが揺れて〈シゲムギ〉や〈キョウカラ〉とかが出てくるので狩って待つ。
行ったり来たりしながら狩りをして待つ。そして狩る。だが、残念ながら夕方になってもそいつは出てこなかった。
「まったく、シャイなやつだにゃ。LVが8になってしまったではにゃいか」
「ウキュ!」
「今日はここまでだな。もう日が暮れそうだ。続きは明日にしよう」
俺がホルダーLV8、ゼスとスイリンもLV8になったが今日はレアモンスターは出なかった。
まあ、そういうときもある。
口では文句を言っているがゼスもレベルが上がって満足そうだ。
スイリンはいつも楽しそうで見ていて顔がほころぶ。
今日はこれで帰ることにした。
「結構稼げたな。帰って美味い飯食うか!」
「賛成にゃ。我も腹が減ってるにゃ。食事を所望するにゃ」
「ウキュ!」
「おおっともちろんだ。2人もたくさん狩ったからな。ご褒美にデザートも付けよう!」
「ウキュー!」
約束するとスイリンがまたヒシッと抱きついてきた。肩に乗せてあげる。
モンスにも食事は必要だ。
カードにしておけばお腹は減らないらしいのだが、召喚されて動くともちろんモンスターもお腹が減る。今までは〈ベリー〉を与えていたので大丈夫だったのだが、レベルも上がって戦闘能力も上昇し、比例して〈ベリー〉を食べなくなったためお腹が減ったとのことだ。
実は食堂にはモンスター用のごはんやご褒美のおやつなんかもちゃんと売っていたりするので、今日はそれをごちそうする予定だ。
「そうと決まれば早く帰るにゃ! 急ぐにゃヒイロ! 人の食事は美味いと聞くにゃ!」
「ウキュ!」
「あいよー」
ということで今日は帰還することにした。
ゼスを先頭にスイリンを肩に乗せて歩く。
さすがは元神様、道は完璧に覚えているらしく、迷わずキャンプ場へ向かっていた。
惜しむらくは足が遅いところだろうか。〈カァニャ〉の足は小さいのだ。
抱っこしてしまうか? もふってしまうか?
そんなことを考えていたときだった。またもや正面の茂みがゆさゆさ揺れ、〈シゲムギ〉が現れたのである。
「あ、また〈シゲムギ〉が出たにゃ! ついでに狩って行くにゃ!」
「ウキュ!」
張り切るゼスが〈シゲムギ〉へ向かって飛び出す!
だが、その〈シゲムギ〉はいつもの〈シゲムギ〉とちょっと違った。
「ん? ちょっと待て、その〈シゲムギ〉は――!」
しかし制止の声を上げる前にゼスが飛び掛かってしまう。
「食らうにゃー!」
「ピコ!」
「ぬ!? にゃに――ぐはぁぁぁぁ!?」
だがゼス渾身の体当たりは〈シゲムギ〉のスキル『イネ叩き』による、束のイネを横スイングしたことでかっ飛ばされてしまったのだ。スパンって言った!?
「ゼスーー!?」「ウキュー!?」
そのまま地面にぽんぽんバウンドしながら3メートルほど飛ばされるゼス。
ゼスがカウンターで吹っ飛んだ。
明らかに今までの〈シゲムギ〉とは違う動き。
そしてなによりこの〈シゲムギ〉は、普通の〈シゲムギ〉とは違う特徴があった。
普通の〈シゲムギ〉のサイズよりもやや大きく、体がやや発光していたのだ。
この特徴は間違いない。
「こいつ――レアモンスターだ!」
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