意図せぬ炎上はダサい

 むかしむかし、とある海辺の村に、浦島太郎という青年がおりました。釣りでもしましょうかいなと海辺に行くと、ガキをいじめている亀たちがいました。


 ガキは泣きじゃくり、「助けて!」と叫んでいます。周りを囲む亀たちは、口でガキの皮膚をちょっと噛んだり、ヒレで頭をひっぱたいたりしていました。


「うわ、なんか珍しっ!」


 浦島、まったく助ける素振りを見せず、スマホを取り出します。


「SNSにあーげよっと!」


 彼は動画を撮り、とりあえずXにあげてみました。


──撮るより先に助けろよ。

──こんな大人がいるなんて信じられない。日本の汚点です。

──ほんとに怖い。人の心がないように思える。SNSやる資格ないよ。


 とまあ案の定炎上し、浦島は住所を特定され、ものすごい嫌がらせを受けましたとさ。


 めでたしめでたし。

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