実録! ワクワク少年!

 むかしむかし、とある海辺の村に、浦島太郎という青年がおりました。


 いつものように浜辺に釣りに行くと、オレンジ色の道着を着た少年が、亀をいじめていました。どうやらお尻から尻尾のようなものが生えています。しかし、正義感の強い浦島には関係ありません。いじめを止めるため、彼は少年のところへ向かいました。


「こら君、いじめは良くないだろ!」


 すると、道着を着た少年はキッと浦島を睨みつけます。


「うっせぇ、ぶっ殺すぞ!」

「なっ……」


 なかなか口の悪い少年です。そしてこの時、少年の道着の胸元に、『亀』と書いていることに気付きました。これの意味するところは、浦島には分かりませんでした。


 彼は怖じ気づくことなく、負けじと言い返します。すると少年は突然叫びながら腰を落とし、ボールを両手で上下から挟み込むような型にセットして、それを腰の横に持っていきました。


「え、なになに?」


 困惑する浦島太郎。少年はそんな彼を無視して、なおも叫び続けます。


 すると、少年の両手の間から、青い光が発生しました。それはボール状に収縮し、指の間から、光が四方八方に漏れ出ています。


 さぁ、嫌な予感です。


「ごめんごめん、俺が悪かっ──」


 次の瞬間、少年が両手を一気に浦島の方へ伸ばし、青い光を発射しました。


 もの凄い轟音と光。そして身を焼くような熱。

 浦島は瞬速で死亡し、この辺り一帯は、焼け野原になったそうです。


「あ~ワクワクした」


 少年はそう言い残し、変な雲に乗って飛び去っていきましたとさ。


 めでたしめでたし。

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