小春日和
じょーじ
第1話 依存
何かに依存する事への気持ち良さを知ったのは、思春期の頃だった。
未成年ながらに、先輩の真似事で煙草に火を点けてみた。
厚く着込んでコソコソとパチンコに行ってみた。
冷蔵庫の奥にある、ビールをくすねて飲んでみた。
どれも満たされなかったが、セックスだけは私の全てに合っていた。
まずセックスは一人ではできない。
誰でもいいが、相手がいる。
その相手が私ごときに鼻息を荒く、体を懸命に弄ると、何とも言えない高揚感があった。
そして大概その誰かは、なんて事ない私の容姿や体を褒めるのだ。
非常に滑稽でつまらない言葉だが、私も似たような言葉を返す。
すると、不思議なことに安らぎとも言える充足感に満たされる。
サウナで整う?
高い山に登る?
推しに大金をはたく?
どれも経験した。
それと似ている。いや、それ以上。
薄っぺらな言葉の逢瀬と粘膜の交差が、どうしようもない快楽をもたらせてくれる。
夢中になって貪りあって。
誰でもいいからほしくなる。
依存という言葉に他ならない。
相手は一人でいい。
でも誰でもいい。
執着しても、次が見つかればそれでいい。
無様に捨てたれたとしても。
依存した先が地獄であるということに。
もっと早く気付けていれば、今も楽しく生きていたのかもしれない。
まあ、全ては後の祭りなんだけれども。
小春日和 じょーじ @george_tarutaru
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