誰よりも貴女たちには幸せになって欲しいから

江戸川ばた散歩

序章 不幸な結末

「残念ですが、お子様は……」


 ベッドの横で医師が私に向かって告げる。

 駄目だったのだ、と。

 お腹の中でその成長を待ちわびていた子供はとうとう産まれることなくその命を終えてしまったのだ、と。


「エーリシャ……!」


 夫のラドテイルは茫然としている私の頭を抱き寄せる。

 情が深い人だから、私の悲しみもそのまま受け取ってしまう。


「どうしよう……」


 私の口からそんな言葉が漏れる。


「みんなの分まで、幸せになるって、あの二人に約束したのに……」


 そう思いながら目をつぶった私は、深い深い眠りに落ちて行き――


 次に目覚めた時、私は自分の身の軽さに驚いた。

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