18・土と芝
このエッセイを書こうと思ったのは、お笑い芸人のナインティナインの矢部さんが
『土と芝は違う』
とラジオで発言なさっていたからでした。
それに対し、昔サッカーをやっていた私がどう感じたか書き残しておこうと思ったからです。
結論から言うと、土と芝のサッカーは別物くらい違いました。
競馬でも、日本で勝ちまくった馬が欧州の洋芝になると勝てなくなることがありますよね?
野球とかでも、金属バットでは打ちまくった選手が木製バットになると途端に打てなくなる。
同じ競技をやっているはずなのに、別物。
そういう感じです。
まずはキックの仕方が変わってきます。
下が土と芝では軸足の入り方が変わります。
そして、ボールが少し芝の長さの分だけ浮いているんですね。
よく『無回転フリーキック』とかサッカー見てると言われると思います。
無回転フリーキックを打つには、ミートの瞬間に足の甲を当てる『場所』が芝で浮いていないとできないと言われています(自分は蹴れませんが……)。
あと、ゴールキーパー。
よく『Jドリーム』という漫画で、「土と芝ではゴールキーパーの守備範囲が違ってくる」と紹介されて知られていると思います。
これもマジなんです。
そもそも土の場合、飛ぶこと自体嫌がるキーパーがいるんです。
私の同学年のチームメートなぞ、「服が汚れるから」という驚愕の理由で飛びませんでした。
その試合は悲惨でした。
敵が、「枠に入れば、点が入るぞ!」と言って、ハーフラインくらいからでもシュートを撃ってきました。
私はセンターバックだったのですが、「そんなの、どーやって防げっちゅーねん!」とお手上げです。15分ハーフでしたが、0対20くらいで負けた記憶があります。
当然のことながら、そのキーパーはその後使われることは、部内での紅白戦でもありませんでした。
顧問の教師が、「うちのキーパーはヘボ過ぎて……」と他校の教師に愚痴っているのを聴いたことさえあります。
そして、ディフェンス方法も変わってきます。
土でのスライディング・タックルはエグイです。太ももの外側が比喩ではなくめくれます。
私は馬鹿だったので、土でも構わずスライディング・タックルをしていました。
初めて、芝でスライディング・タックルをしたときのあの感動たるや!
そのときは雨が降っていたのですが、身体が本当にスライドするんです!
滑るんです。
滑りまくるんです。
土のときに目測していたスライディングを芝のときにやったら、その移動距離の差のためボールが取れません。
つまり、土と芝ではディフェンスでのアプローチがまったく変わってくるのです。
痛みに耐えて土でスライディング・タックルをしていても、芝になるとその練習は無駄かもしれません。
一方で、日本と欧米の競馬がどちらも競馬であるように。
金属バットと木製バットの野球がどちらも野球であるように。
どちらも根本的には『同じ競技』であるとは間違いありません。
その『違和感』は『経験則』で拭えます。
土でプレーしてきた選手が芝に慣れると、やはり変わりないプレーができるものです。
そういう、『慣れ』と『経験』で補えるものだと個人的には思います。
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