17・オウンゴールをありがとう

 1994年のアメリカ・ワールドカップ予選。

 日本は『ドーハの悲劇』で出場することはできませんでした。


 南米予選では、コロンビアが『獅子王』カルロス・バルデラマを中心としたパスワークでアルゼンチンを5-0で粉砕。

 一気に本選の優勝候補に名乗りをあげます。

 予想が外れることが有名なペレもコロンビアを優勝候補にあげます。


 悲劇がおとずれます。

 本選・予選リーグ、コロンビア対アメリカ

 普通に考えれば、コロンビアが順当勝ち。

 そこへアンドレス・エスコバルという選手がオウンゴールをしてしまい、アメリカに負け、予選敗退してしまいます。


 コロンビアは麻薬カルテルが牛耳っている国でもあります。

 他の選手は難を避けて、母国に帰ろうとしません。


 ただ、責任感の強いエスコバルだけが

「僕には、あのオウンゴールを説明する必要がある」

 と言って、帰国しました。


 バーで友人と歓談したあと、エスコバルは襲われます。


「オウンゴールをありがとう」


 そう言って、銃弾が彼の身体に12発も打ち込まれました。

 犯人は打ち込むたびに「踊れ! 踊れ!」と言いながら撃ったそうです。

 エスコバルは、サッカーが原因で亡くなってしまったのです。

 不法賭博が流行っているコロンビアならではと言われています。


 それを機に、日本では『自殺点』と呼ばれていたのが『オウンゴール』に改称された、とウィキペディアには載っていました。

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