あなたのお話、聞きましょう。
床下のハシビロコウ
Aさんの話
「少し前に亡くなってしまった彼から、サプライズプレゼントでアロマキャンドルをもらっていたんですけど、色々あって使えなかったんです。でも、そのままにしておくのもなぁ...と考えて、お風呂に入る時だけでも使おうと思って毎日使い始めたら疲れが癒えるどころか、日に日に少しずつ体調が悪くなっていって…。気のせいか、疲れだろう、と思っていたんですがキャンドルが残り1/3ぐらいになる頃には明らかに顔色も悪くなり、痩せてしまって…。少し気味が悪くてそのキャンドルは捨ててしまいました。」
そう話すAさんは見たところ、そんなに痩せているわけでもなく、むしろ肌艶なども良く健康的に見えた。問題のアロマキャンドルを捨てた後はどうなったか質問したところ、
「アロマキャンドルを捨ててからは元気です。多分なんですけど、そのキャンドルって溶けて短くなるごとに、私の寿命も短くなっていったんじゃないかな、と思います。」と、急にオカルトめいた話をし始めた。
キャンドル、もとい蝋燭は生命の象徴として扱われたりすることもあるが、幸せなカップルだったはずなのになぜそんな急にオカルト話に結びつけるのか尋ねたところ、Aさんはやや気まずそうに、
「…思い当たる節がないと言えば嘘になるんですけど、でも、プレゼントっていったらアロマキャンドルとかよりも、指輪などのアクセサリーの方が嬉しいじゃないですか。そのことで彼を否定してしまって、その直後に彼が自殺してしまって…。私も、他の彼とのこれからの人生のために忘れてしまいたいというか…。」
と、こちらの様子を伺うように話し続けるAさんの薬指の指輪がギラリと光って、嫌に眩しかった。
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