1章 11話 宝箱部屋へ
ガキンッ! ガキンッ! シュインッ!
さすがレア魔物だなレベル差は少ないとはいえかなり動ける
武は斬りつけようとしてきた瞬間躱され、斬撃のカウンターをくらった
「がはっ!」
「リストロ!」
天津はそう言うと武の傷を回復していった。リストロとは天津が使う体力や傷を小回復させるスキルであり、SPは2消費して使用することができる。
「ありがとう姫菜」
「うんでもあいつそれなりに知能はあるみたいだよ」
「ああ俺が戦った二刀流の奴にもそれなりに頭は回っていたゴブリン系はそうなんだろうな」
「確かに」
武は昨夜、格上の相手との戦いについて東雲さんからの助言を思い出していた
はあ…今日は楽しかったな…まさか女子と食事しちゃうなんて、しかもチームも組んじゃうなんてなあっちの世界じゃ考えられないことだ
武は部屋の中でそんなことを考えながら、ベッドの上で転がってるとピンポンと音がした
武はこんな時間に誰だろと警戒しながら、ドアアイを覗き込んだ
するとそこには東雲がいた
なんだ東雲さんか
ドアを開け、東雲に何の用か聞いた
『あのこんな時間に何の用ですか東雲さん』
『いやあ悪いね武に言い忘れたことがあってねちょっと上がっていいかい』
『はい大丈夫です。飲み物とか用意できませんが』
『ああ、それは大丈夫。そこまで長話にはならないから』
武は東雲を部屋に入れて、武と向き合うように座った
『それで本題なんだけど、今日の実践訓練の最後のレア魔物のような自分より強いレベルの高い強敵と出会った時にどう戦うかを教えようと思ってね』
『はい』
『まあ魔物に関わらず、自分より強い相手との全てを含めて言えることはなんだと思う?』
『相手の動きをよく見る?ですか。』
『う~んそれだと30点だね。確かに相手の動きをよく見るのは良いとは僕は思う。でも、相手が君より何倍ものスピードで動いたら?』
『目で追えなくなって詰みになる…。』
『そういうこと、だから最初のステップとして相手に自分の隙を見せない』
武はまず、隙を見せないようにガードを意識しつつ、相手への攻撃の隙を伺った。
キャッ!シャア!!!
赤いゴブリンのような魔物はさらに加速して、剣を振ってきた。武は受けに回った
『そして、二つ目むやみに攻撃をしない』
『でも、あの時は俺も攻めに入って、何とかダメージを入れられました』
『ああ、あの時は運がよかったよ。君の攻撃の先読みはすごいけど、その技術がたまたまあの時通用しただけだからね。安定性はないからこそ、むやみに突っ込んだら、相手の思うつぼだよ。強い敵に勝つには時には大胆さも必要だけど、大抵それで何人もダンジョンや任務で死んでる奴をよく聞く。』
『どうすれば、攻撃のフェイズに入れるんですか』
『それは君も実際やってたでしょ』
『攻撃のパターンを把握するですか?』
『そう。特に魔物に対しては攻撃パターンを把握するのが重要だね』
武は赤いゴブリンのような魔物の猛攻を受け流しつつ攻撃パターンを把握していった
だいたいわかってきた。こいつの攻撃パターンはほとんど剣速とパワーに任せて、4~5回の素早い剣撃、それから相手は距離を離し態勢を整える時間が約15秒ってとこか
武は動きが分かった上で、もう一度剣で相手の攻撃を受け流していった
そして最後の一回の攻撃を受けきり距離を離したところで、武は攻めに転じ、スキル技を使った。
「乱流斬!」
ギャシャアアアア!!
完璧に相手の懐に入り込み、乱流斬を入れた。すかさず、武は攻撃を入れようとした瞬間赤いゴブリンのような魔物左腕めがけて斬撃を放った
「うぐっ!」
「武君!」
幸い腕は斬り落とされなかった斬り落とされる寸前まで深く刃が入っていた
「リストロ!」
天津はリストロで腕を治癒させた
こいつ…不意打ちをくらっておいて俺にダメージを与えるなんてな
「ごめんね武君私も攻撃に参加すれば…」
「何言ってるんだよ。姫菜は無理して、戦う必要はないよ。それにお前の回復のおかげで、俺はこうしてレア魔物と戦えてる」
「武君…」
さて俺の残りのSPはいくつだ
武はキャパシティと唱えた。
30/39
なるほど、あと30か10回は使えるが、いくら回復薬があるとはいえ、無駄使いはできないな。この後のボスも控えてるし、ここは乱流斬は控えて通常の攻撃で、ごり押すしかないな
赤いゴブリンのような魔物は鋭い歯を見せながら、ニタニタと笑い、こちらに剣を向けてきた
さっきのスキル技で、ダメージをかなり与えたはずだが、まだ動けるとはな
『三つ目はダメージを受ける覚悟をすることだね』
『ダメージを受ける覚悟…それってどういうことですか』
『強い敵と戦うときは無傷で勝てるはずがない。だからその裏をついて、あえて自分からダメージを受けにいく』
『イカれてる発想ですね』
『ただやられるわけじゃないよ。相手のダメージを受けつつ怯まず、ダメージを与えにいく。』
『怯まないで、ですか』
『まあ、この方法は余程戦い慣れていなと思いつけない戦法だからね。まあ頭に入れといて、損はないと思うよ。』
武は東雲の強い相手との戦い方の三つ目を思い出していた
やってみるか…正直怯む自信しかないけど
武はわざと突っ込んでいった
それを見た天津は武の突っ込んでいく姿に驚いていた
武君いったい何を考えて…まさか…
赤いゴブリンのような魔物は突っ込んできた武に剣で斬りかかってきた
武はその攻撃をわざと受けた
魔物はさらに追撃で二撃、三撃とダメージを与えていった
くそ…痛てえ、だけどあいつは攻撃に集中している間、その隙を狙って、叩く…!
そして四撃目が来た瞬間に、武は咄嗟に左手で魔物の剣の刃の方を掴み、思いっきり斬撃をくらわせた
ズシャッ!!
ギャシャアアアア!
超痛てえが、もうちょっと付き合ってもらう!!
相手が怯んでいる隙を逃さず、さらに追加の斬撃を放った
そしてトドメの一撃として高くジャンプをしながら、斬撃を放った
ズシャーーンッ!!!
ギギャアアアア!!
武の最後のジャンプ斬りによって、消滅していった
「はあ…はあ…勝てたか…リベンジは果たしたぞレア魔物」
「武君!大丈夫?」
「ああ、なんとか」
「もうあまり無茶しないでよ」
「ごめん、ごめんでも、勝つ方法として試してみたかったからさ」
「リストロ!」
武の傷が全回復していった。武はすぐさまレベルを確認すると、レベルが13になっていた
「レベル13かあと1レべルで六華閃か」
「私もレベル上がって21になったよそれで新しいスキルを覚えたんだけどえっとワークアップか」
「ワークアップ…何かのバフ系かな」
「多分ね。回復属性は回復のスキルだけじゃなくて、バフ系やデバフ系のスキルを覚えるって、聞いたことがある。」
「へえ~」
武と天津は先へと進んでいくと、そこには宝箱の部屋があった。
「これが宝箱か」
「うん。これは約3時間ごとに、宝箱の中身が変わる仕組みになってる」
「なるほど。ソシャゲでいう時間ごとにもらえ報酬みたいなもんか」
武はその宝箱を開いた
回復薬×3
オレンジの神石×3
サファイア×2
「これが宝箱の中身か、このサファイアって何かに使えるのか?」
「ううん、換金アイテムだね。それは遺物と呼ばれるものだね」
「遺物?」
「そう、詳しくは分からないけど、この無限迷宮はかつて文明が栄えていたとか聞いたことがあるよ。その名残がこの宝箱として、顕現したんじゃないかと考えられてるらしい」
「そうなんだ」
「さて残りの宝箱のスポットは一つだね」
「ああ!」
武と天津は最後の一つの宝箱の部屋へと目指していった
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神里武 E級 Lv 13
SP 43
使用技 乱流斬
天津姫菜 E級 Lv 21
SP 74
使用技 リストロ
ワークアップ
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