もし俺が君を忘れると言うのなら

緑 よいち

プロローグ

 俺に恋愛は要らない。なぜなら、恋愛とは一時の幸福でしかないからだ。


 高校生同士の恋愛なんて、どうせ長続きしない。そのときだけ本気だと思っているが、すぐに別れ、どうせ十年後にはそれを笑い話として披露するのだろう。


 俺はそんな恋愛なんてしたくない。だから、高校生のうちに恋愛をするだなんて、そんなことはできない。


 小学生くらいの僕なら、そうは思わなかっただろう。容姿を見ただけで可愛い、好きだと勘違いし、そして告白して見事に爆散。その後は気まずくて話せなくなった。


 中学生ともなると、周りに付き合っている人が多くなった。でも、みんなすぐに別れた。少しでも不満があればすぐに別れて、また彼女を作りたいだのなんだの言いながら恋愛をする。それは「青春」と呼ばれている。


 なにが青春だ。どこが恋愛だ。


 そもそも「恋」という字は、下に心、上にまたと書く。つまり、恋をする人は下心を持っている。そのうえそれを繰り返すのだから、またか、とつくづく思う。


 これを嫉妬だというのなら、勝手にそう言っておけばいい。少なくとも、俺は恋愛なんてする気がない。というか、できないだろう。


 なぜなら、俺の寿命はあと一年しかないのだから。

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