【悲報】クソ上司にリストラされて死物狂いで入居した物件がヤバイ奴らしかいないニートマンションだった件について。

ふきゅい。

第1話  ニートマンションに入居します。



 田中直政たなかなおまさ   24歳 

 

 現在フリーターである。


 3月下旬、突如としてクソ上司から仕事をリストラされ、心機一転しんきいってん引っ越しを検討している。


なんの仕事をしていたか、なぜリストラされたか、そんな野暮なことは気にしないでいただきたい。いやいやいやいや決めてないとかじゃないですから。はい、?設定が曖昧だあ?そんなことは関係ないのです。そんな小さいことを気にする貴方をリストラです。


 とにかく、貯金を切り崩しながら生きている。





 ――ここが新たな家か……

 目の前には巨大なマンションが怯え立つ。

「「ウィーン」」

 自動ドアが開き涼しい冷気が身体中を包み込む。


『新たな住居者でしょうか……?』


 奥の方から受付らしきおじいさんがこちらに近づいてくる。


「「ドゥギヤッシャア!!」」


 盛大にこけた。段差もない床でこけた。ジジイなら致命傷。一発でお陀仏であろう勢いでこけたのだが何事もなかったかのように歩き出す。


 こわい。ものすごくこわい。推定88歳であろうジジイが大理石の床の継ぎ目。段差ではなく継ぎ目の僅かの段差につまずきぶちころげたはずなのにピンピンしている。

 なんならいや?こけてないですよ?の感じまで出している。中高生特有のこけたりつまずいたのを他人に見られたときに発動する、別に何もなかったですよ風に装うアレである。


「こけてないですよ?」


うん、しまいには口に出して言いやがったこのジジイ。こけてんだろ盛大に。

ドゥギャッシャア言うたぞジジイの体から。



「ここは一ヶ月円で住める格安マンション。ガス、水道、電気、家具、その他諸々すべてこちらが負担致します。」


『ッッッ!』


 その言葉の衝撃は凄まじく受付のジジイが致命傷レベルのぶちこけをしたのにピンピンしていることなど忘れてしまうほどのものだった。


「そ、そんなのいいんですかぁ!?」


 受付が間髪入れずこたえる。


「フォッフォッフォッ、いいんですよ、、、。このマンションは金のないクソ人間や何らかの問題があるやばい人間が住む、通称”ニートマンション”ですので、、、」


この時点でこのマンションにロクな人間は住んでいないことは分かっていたのだ。

分かっているはずなのに人間はリストラされると正常な判断ができなくなるのであろう。


 ――なぜ1000円で住めるのか――



 ――なぜ受付のジジイがめちゃくちゃタフなのか――



  ――夏はなぜ暑いのか――


 いろいろな疑問が残りつつも僕はこの通称”ニートマンション”

 に住むことを決めた。

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