第6話 休み時間
最近康介が度々休み時間に歩の元へきては、天使様とのことを聞いてくるので半ば押され気味で話してしまった
「ふーん、そんで今日から天使様と放課後デートと」
「デートじゃない、放課後勉強を教えてもらうだけだ」
友達として気遣ってくれている清水さんに対してなんてこと言うんだ。
「えー、本当にそれだけかー?」
「それだけだって」
「怪しいなぁ」
納得できないのかムッとした表情でこちらを直視している
「お前に嘘をついても意味ないだろ」
「微妙に納得できないけど、しょうがないから今回はそういう事にしといてやるよ」
「なんで上から目線なんだよ」
はぁ、歩は呆れからかため息をこぼしていた
「まあ頑張れよ、天使様に教えてもらえるなんて一生に一度あるかないかなんだからな」
「わかってるよ、さすがに放課後時間をとってまで教えてくれるって言うんだからある程度は頑張るつもりだよ」
わざわざ自分の勉強時間を削ってまで歩の勉強を見てくれるのだ、結果をださないと失礼だし申し訳が立たない
「そんなに心配しなくても大丈夫だろ。なにせあの容姿に立ち振る舞いときて、学力も常に3番以内をキープしてるときた、きっと教えた方も上手だろ。いいよなぁ歩、俺も教えてもらいてーよ」
彼女に欠点などあるのだろうかなどと考えさせられてしまうほどに、彼女は完璧に近い存在と言えるだろう
「お前は教えてもらわなくても十分頭いいだろ」
「そこそこはな、俺の目標は学年一桁だから」
うちの学校は一学年300人近く生徒がいるのだが、康介は上から20番目くらいとかなりの好成績なのだ。これでもまだ自信がもてないなんて本当に自分に厳しいやつだ。ちなみに歩の学年順位は直近だと170番目くらいと中の下あたりなので勉強面ではこうすけにあまり強くいえない
「あんまりストイックになりすぎるなよ、あとお前の場合自分のこととは別に教えてやらなきゃいけないやつがいるだろ」
歩も成績は良くないがそれと比べ物にならないくらい酷いやつがいた。舞だ、彼女は下から50人以内と割と洒落にならない学力の低さなので、毎試験康介がテスト対策をしているのだがあまり効果は見受けられず苦労しているのだ
「舞の勉強ももちろんみるさ。けど俺もたまには頭のいい人に勉強教えてもらいたいんだよー、なんなら天使様に教えてもらいたい!」
「今の発言舞が聞くと泣くぞ」
「そこは上手くやるさ、だからさ俺も勉強会混ぜてくれよー」
なんて普段見せないような期待をこちらによせている。いつも面倒見ているからか、たまには面倒見られたいのだろうか?
「やだ」
「なんでだよ、あ、もしかして独占欲か?」
友達に対して独占欲を感じたりするわけないだろ
「ちげーよ、お前がいるとちょっかい出してきそうだし集中出来ないだろ」
「信用ないなー」
康介はじゃれ合うように歩の脇腹をつついてくる。そういうことをするのがわかってるから断ったんだろ、そう内心思ってしまうのは仕方のないことなのだろう
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