演舞祭準備期間②

 マークから演舞祭の告知が行われた後、さっそく俺はチームメンバーにイゴールを誘うべく声をかけた。


「イゴール、演舞祭のチーム、一緒に組もうぜ!」


 俺がそう誘うと、イゴールはなんだか歯切れ悪く答えた。


 イゴール「ああ、えっと。わりい!実はちょっと前からチームメンバーに誘われててよ。」

 イゴール「そいつの誘いを受けちまってんだよな。」


「そうだったのか…」


 マジか…随分と早くから動いている奴がいるんだな。

 ん?そういえばこの間、俺のところにもひとり来たな。


「もしかして、それってピーターか?」


 イゴール「よく分かったな相棒。もしかして相棒も誘いを受けたのか!?」


「いや、俺は断ったんだ。まだ先の話だと思ってたから。」


 イゴール「そっか。ピーターはもうメンバーは揃ったって言ってたから、当日はもしかしたらぶつかる可能性もありそうだな。」


「そうなるのか…」


 イゴール「だからよ、相棒。いや、ジーク。戦うことになったら全力で来いよな!」


「ああ!」


 イゴールと組めなかったのは残念だけど仕方ない、別の仲間を探すしかないな。

 そう思って俺はまず、エレノアに声をかけた。


「よっエレノア!」


 エレノア「ジーク。もしかして演舞祭の話?」


「おう。一緒に組まないか?」


 エレノア「いいよ。けど、ラフィーも一緒になるけどいい?」


「ラフィーもか?それは心強いな!」


 エレノア「よかった。他のメンバーは決まってるの?」


「いいや、まだだな。でも声をかけたいと思ってる相手はいるんだ。」

「放課後一緒にそいつのところに行こうぜ。」


 エレノア「わかった。ついていくよ。」



 放課後、俺はエレノアを連れて校内を進んでいく。

 俺が一緒にチームを組みたいと思っている相手は二人いる。

 ヴァレリアとギュンターだ。

 入学前から面識があった二人だけど、今まで一緒になにかをするってことがなかったからな。

 この機会に仲良くなっておきたいところだぜ。



 まず最初に見つけたのは中庭で読書をしているヴァレリアだった。


「よっ、ヴァレリア。今時間いいか?」


 ヴァレリア「ラザフォード君。それからルーズヴェルトさん。なにかしら?」


「演舞祭のチーム、もし決まってなかったら俺たちと一緒に組まないか?」


 俺がそう尋ねると、ヴァレリアは申し訳なさそうにした。


 ヴァレリア「ごめんなさい。私はもう参加するチームが決まっているの。」

 ヴァレリア「その申し出は受けられないわ。」


 ヴァレリアももう決まっているのか…

 そりゃそうだよな…


「わかった。また似たような機会があったら一緒に組もうぜ。」


 ヴァレリア「ええ。また誘ってくれると嬉しいわ。」


 ヴァレリアに断られ俺たちはその場を離れる。


 エレノア「残念だったね。」


 エレノアはニヤニヤしながら俺を見てきた。


「なんだよ?」


 エレノア「別に?」


 こいつ…


 エレノア「それで、残りのメンバーはどうするの?」


「ああ、次はギュンターに当たってみようと思ってるんだ。」


 エレノア「ギュンター?ギュンターももう決まってそうな気がするけど…」


「それは試してみねえとわかんねえだろ?」


 俺たちはそうしてギュンターを探して校内を歩き回った。

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