オルドーラの冒険

真空

序章 旅立ち編

その名は、エレノア=ルーズヴェルト

 私の名前はエレノア=ルーズヴェルト。

 半年以上前に15歳になり、成人を迎えた可愛らしい完璧な美少女だ。

 身長が低いことを除けば…。


 さて、私は今大陸西部に位置するここオルドーラ地方にある山の麓の村、ダルグ村にしている。

 滞在というのには少し理由がある。

 それは、私がもともとこの村の生まれではない、ということだ。

 私は約5年前、10歳の時に理由あってこの村の近くにたどり着いた。

 その時の私はひどく傷ついていた。

 それこそ自らの生命活動が危ぶまれるほどだったと思う。

 そんな地獄の淵から私を救ってくれたのが、ダルグ村に暮らしていたルーズヴェルト夫妻だ。


 それからしばらくルーズヴェルト家に厄介になった私は、どうして見ず知らずの私に優しくしてくれるのかと、二人に尋ねた。

 二人は優しく微笑みながらも、どこか悲し気な目で語ってくれた。

 ルーズヴェルト家には以前エレナという名前の一人娘がいたそうだ。

 しかしエレナは私が村にやってくる数年前に病にかかり亡くなってしまったそうだ。

 すると二人は私に、


「一緒に暮らさないか」


 と提案してきた。


 私は悩んだ。

 こんな私が、こんな場所にいてもいいのだろうか?

 迷惑をかけてしまうんじゃないか?


 でも結論はすぐに出た。

 私を救ってくれた二人に恩返しがしたい、と。

 こんな私でも二人が笑顔になれるならエレナの代わりになろう、と。


 こうして私は、ルーズヴェルト家の次女、エレノア=ルーズヴェルトになった。

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