10の世界を救った英雄〜11回目の転生は気ままに過ごして良いらしいです………え?マジっ!?本当に!?……イヤッフォォォォォォォォオ!!!!

猫爺

第1話 成仏させぇ


「今…なんて?」



 突然ですまない。



 俺の名前は田中義人よろしくな!

 まぁ、あれだ…そのっ、ん~現在俺はとても困ってるぞ!

 何に困ってるかと言われれば…沢山だ、沢山あり過ぎてどれを言って良いのか分からん。



 急だけど約束って大切だよな?




 あー言わなくて良い分かってるから…その、あれだ。




 「もう…終わりって言ってなかったか?」

 「…………えへ!☆」




 俺、嫌いな奴の特徴…約束を守らない奴。





 「何が…てへっ!だ、この年増がぁぁぁぁぁぁ!!?」

 「だ、誰に言ってんのよ!?」

 「お前に決まってるだろうが糞女神がァァァァ!!!」




 ここは狭間の領域…神域よりも更に上の次元にある空間だ。

 そんな所で俺は、この糞女神と絶賛罵り合ってる。




 「これで最後って言ってたじゃねぇか!えぇ!!?」

 「えー別に良いじゃない?もう少し位付き合ってくれても…」

 「10回だぞ!?10回も…!!?」




 痛い奴じゃないです。

 本当なんです…本当の事なんです…説明するには何処から話をしていいやら分からない位には複雑な事情があるんですよ旦那。




 「約束しただろ!10回目の世界を救ったら成仏させるって!」

 「う~ん…言ったかしら?」

 「ふざけんなよペチャパイがァァァァ!!!?」

 「ぺっ!誰がペチャパイなのよ!?」

 「お前の事だ、持たざるものよ」

 「ムキィー!」



 何がムキィーだ、年を考えろ年を。




 「私は不滅なの、この世に産まれた時から完璧なのよ!」

 「この世が出来た時から存在してる癖に馬鹿言ってんじゃねぇよババァ」

 「……………誰がババァだ糞餓鬼がぁ…その産毛みたいなチン◯毟り取るぞ、ぁあ?」





 …………怖ァ…。


 下手に美人だから凄むと怖いんよ。

 けど、今回だけは引き下がらんぞ!



 「は、話を逸らすな!約束だ!今直ぐ成仏させろ!はよ!はよ!」




 セイ!カモン!




 「はぁ…約束だもんね」

 「う、お、おぅ!そうだ、約束は守れよ」

 「でもねぇ~困ったわねぇ~」




 でたっ!何時も何時もそうやってれば俺が騙されるとでも思ってんのか舐めやがって。




 「もう知らん!俺は困ってないし、さっさと俺以外の代わりの人見つけてくれ」

 「ん~別にぃ、もうその必要は無いし…ぶっちゃけ私が介入するレベルの世界は、もう無いのよね」

 


 あっそ、じゃあさっさと俺を成仏させぇ。

 何でそこまで引き止め………!?



 は、は~ん。分かったぞ。




 「え?なんなのその顔、キモっ…」

 「フッ、素直になれって…惚れちまったんだろ俺に…思えば長い付き合いだしな」





 本当に…本当に…長かった。


 そう、あれはまだ俺が地球でただの会社員だった頃だ…。








































 「あっ、回想やめてくれるかしら?あと、あんた全然私のタイプじゃないから調子に乗らないで」

 「……そこまで言わなくても…良いじゃないかっ…」

 

 



 つーか俺の回想シーンを止めるんじゃねぇよ!?

 結構重要な内容だろうが!





 「私だって成仏させてあげたいのよ?」

 「はぁ~出来るだろ?もう十分働いたぜ?」

 「う~ん、ちょっとやって見ますか」




 え?何でそんな自信なさ気なの?



 「はい、じゃあ…成仏しろ〜」

 「うわ、適当だなおい……ふぁぁぁぁぁぁ!?」




 女神が手を俺に向けると全身が光り輝く…。





 あぁ…心地良い…。





 これでやっと終われる。





 「なぁ」


 「何よ、集中してるんだけど」


 「いや…その、なんて言うかさ…ははっ…ありがとな」



 なんやかんや言っても、こいつには世話になったしな…意外と優しいし。



 「もう少し胸があれば惚れてたぜ」


 「嘘…別れの言葉がそれなの!?」





 良いじゃないか…ほら、もう直ぐだ…。



 身体の輝きはより激しく輝き、浮遊感を感じる…。







 「じゃあな、フレイシア…楽しかったぜ!」

 「…………………。」




 お、なんだ?

 珍しく顔を伏せて……あぁ、そうか…分かってる。

 俺は女心が理解できる良い男だからな。

 泣いてる顔は見せたくないんだろ、ったく…最後の最後でデレやがって。









 んじゃ………さよならだ。













 魂は輪廻へと還る。








































 「あっ、やっぱ無理だわ」






 筈だった。




 「えっ!?ちょ…まっ!」




 ゴチッ!



 「尻がァァァァァァァァ!!!?」





 マジでちょっと浮いてたから、そのまま落ちたじゃねぇか!

 いてぇ…けつが…いてぇよぅ。




 「ごめんね、ヨシト……あんたの魂、格が上がり過ぎて私でも成仏させられないわ」

 













 「………………ぽ?」





 恐らく、俺史上もっとも間抜けな声が出た瞬間だった。


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