ブラッドミッション
零
第1話 神のイタズラ
「これで
焦げ茶色の髪色で水色の瞳で垂れ目の高校三年生の
俺は別に生きたくもない、生にしがみついてるやつの気持ちが分からない。だからといって、自傷をしている人の気持ちも理解できるわけではない。そこまでして死に急ぐわけでもない。恐怖は考えた先にある。
例えば、電車や車に身体をぶつけて、崩壊する自分の様。それを考えただけで背筋なんて凍えるだろ。あれもそうだ、屋上から飛び降りる。地面に頭をぶつけたら、どうなるのだろうか、海へ飛び込んで沈んだらどうなるのだろうか、全部はやってみないことには分からない。そして、一番理解がやらないと分からないのは銃の弾の痛みだ。そこらへんになると、犯罪者しか分からないのだろう、あとは銃を扱う者。
さて、俺は親と共に遠出している最中のドライブで事故に遭い、俺だけが死んだ。なのに、俺の視界には何故か、森が存在する。これはどういうことなのだろうか、あぁ、これが二度目の人生ということになるのだろうか、こんな死について考えるようなアホに人生を与えるなんて神も愚かだ。
「はぁ……」
地べたから起き上がっては生きているのだと思うよな手の感触。余計に溜息が出る。要らない、俺には、別に死にたがりでもなかったが、二度目の人生なんて俺は望んでない。だから、死なせてくれ、そう思い、まだどんな顔かも分からないが、死を願えば……と思っていた時、急に脳内にフラッシュバックの光が現れる。
【早まるな────!!!!】
「は?」
【いやだから、君はまだ死んじゃだめなんだよ、分かる? 神様のイタズラだよ】
神様らしかぬ目が見えないくらいの前髪が降りた俺と変わらないくらいの若い感じの見た目の男が言う。しかし、見た目と相反して、声は低いし、何やら面倒くさそうな感じだった。
「イタズラなんて神様は子どもなのか?」
【なわけないでしょ、君は今後必要なの、ね、分かってよ、だから、こんな強い能力、あげたから、頑張って生きてね、それじゃあ!!】
そう言いたいことだけ言って男はフラッシュバックの光から消えた。何事かと俺は思えば、俺の手には銃があった。は? さっき生きろとか言いやがった癖にこんなところに都合の良いものを持たせるなんて……と思いながら、引き金を引いて俺は
「ぐはっ……」
血を大量に吐いたので、あぁこれで終わった……これで安らかに……と目を瞑るが、何故か痛みがすぐに引いて来るのだ。
「……なんだ……これ……」
血は徐々に何故か引いて来て、消えた。何事だと目線を泳がせて深く動揺する。つまり、あのよく分からない男が授けた俺の能力は不死と言うことになる。果たしてこれに対してのデメリットはあるのだろうか……動揺しながらもたくさん考えてしまう。すると、またフラッシュバックして光が放たれるのだ。
【早速自分をやるとか本当にどうなってんだよ……、安心してね、何しても死なないデバフを君にかけたから、それで君は何をするかというと……】
「は? 俺は神様の下僕なのか?」
相変わらず髪は顔を塞ぎ口元以外の表情が読み取れない。神様は高らかに笑う。
【アハハハハ! そうじゃないし、神が一人の人間を仕えさせるわけないだろ、ただお前はこの神の言う通りに行動してもらう】
「それに反したら、今度こそ死なせてくれるのか?」
【いいや、更に死ねなくなるだけだから、反しない方がいい。お前が苦労するだけだ】
うわ……と引いた目になってしまっていると、神は口元をニヤニヤとする。やっぱりこの神はとても面倒だと理解した。
「分かった、で、何をすればいいんだ」
【話が早くて助かるな、お前の任務は死なない代わりに悪い奴等の
「何だそれ、戦うスキルなんて俺にはないが」
神はとても意地悪そう顔つきをしてこう言い放つのだ。
【お前の死なないデバフを利用して、悪い奴等の心をへし折るのだ!!!!】
なんか、俺に丸投げてないか、この神。
目を細めて神を睨みつけると、何故か、アタフタしたような顔になり、逃げるようにフラッシュバックの光が消えた。
つまり、俺のやることは悪い奴等を見つけ出して、その戦闘心を削ぐのか、なんてハードな任務というか、デメリットを増やさないためにしないといけないなんて……。
そして、周りを見渡せば、この転生してすぐ俺は森の中。いったいここが何処なのか全く分からないのに、神は何も教えてくれない、それにハードな任務。死ねるものなら死にたいが、銃を撃っても無意味な痛みしか感じない。そして、無駄な血がいっとき流れるだけ。なんて最悪な能力だ。
とりあえず立ち上がり、知らない森の中を歩いてみるが、人の気配はないが、獣の気配はあるため、身は
「……痛いのはこっちなんだが……」
また軽く血を吐きながら、獣を見ると、獣は俺から一目散に逃げた。流石に歯が折れたせいで獣の精神がおかしくなったか、と立ち上がった。そして、獣が逃げた方面へ俺は足を進めれば、何も知らなかっただろう狩り人が歯が欠けた獣を殺していた。あぁ、そっちに逃げなければ生きれていたはずなのに、ま、俺を殺そうとした罰かもしれないな、と思っていたら、立ちつくしていた為、その狩り人に見つかる。
「誰だ! この獣は俺のものだ。コイツは渡さねぇよ」
何故か、勘違いされてしまった。いや、まさか、これ、戦闘か? 別に狩り人は悪者ではないだろう、それとも獣は狩っていけないルールとかあって、秘密裏にしていたとなるルートだと、神の任務を遂行しなくてはならない、悩みどころだ。
「秘密裏に狩りをしていたとか……」
俺はボソリと言ってみると、動揺の目をする為、あー……これは神の任務。そして、俺は続けて言葉を述べる。
「俺は特殊な任務を受けていてな、そういう悪い奴等の取締をしてるんだ」
「はぁ? んな組織聞いたことねぇよ、デタラメだろ。どーせ、お前もこの獣が欲しいからデタラメなこと言うんだ! 渡さねぇから死にな!」
俺よりは年を取っている男は俺と同様に銃を所持していて、銃口をこちらに向けてくる。俺もとりあえずさっきの獣のときに外した恨みで、外さないと思いながら、トリガーを引いたが、慣れているやつには叶わない。俺の額にアイツのはクリンヒットして俺のは外れた。そして、血を吐くだけ吐いて、俺は後ろへと倒れる。背中も骨折するような音が鳴り、痛い。
「あ゛ぁぁぁっ!!」
「ははっ、ざまぁみろ、獣は俺のものだって言ったろ」
痛くて絶叫したが、それは一瞬のこと。すぐにその痛みは引いていく。アイツが立ち去ろうとした瞬間に俺は起き上がる。
「……叶わないな、この能力……」
「……は?」
「あぁ……、諦めろ、俺がお前の頭を撃ち抜くまで、何度でも俺を撃てばいい」
また銃口をアイツに向けて撃つが外れる。もしかして、撃てないデバフがあるのか、と少しだけ嫌な気持ちになるが、相手は意味不明、理解不能すぎて、首を横に振り続ける。
「そういえば……神からは相手の心をへし折るんだったけな……」
あぁ……俺、頭を撃ち抜くイメージで狙っていたから駄目だったのか、心、つまり、心臓を貫けか、と、今度は心臓にピントを当てる。
「意味が分からねぇよ!!」
またこちらの頭を撃って来て、倒れはせず、血だけを大量に吐いて、“あの世で反省しろ”とだけ狩り人に吐き捨て、心臓を撃ち抜いた。
それが最初の神から言われたミッションクリアだった。
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