使い古した感情が訴える

那須茄子

第1話

 見とれていた。その姿には、他の誰にもない美しさがあった。


 使い古した胸の内の感情でさえ、このつっかえるような言葉にならない声にまだ名前を付けられないでいる。


 初めましての感覚。

 それが、どうしようもなく不安で怖い。


 そして、ときめく何かが私を引き寄せて──とうとうある日我慢できなくなって、半ば衝動的に声を掛けた。


「あの、少しいいですか?」


 それは1分にも満たない些細な世界の流れ。

 


 「それ以上、近付いたら殺す」



....返信は、極シンプルで分かりやすい拒否だった。




 


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