獅子の心

★★★


僕は大事な言葉を抱えていた。

でも、そいつは何時いつになっても僕の口から出ようとしない。

そのうち僕は何も言えなくなった。


臆病者とそしってくれれば、怒りが僕を立ち上がらせたかも。

けれど、君は優しく僕の頭をなでるだけだった。


君のようになれたなら。

君のような才能があったなら。

誰もが羨む姿になれるのは、きっと素敵な気分だろう。


僕は目を閉じた。

まぶたを言い訳で塗り固めた。

もう憧れが見えないように。

僕に僕が見えないように。

そうしてキミの中で微睡まどろんだ。


眠りの中、君の声が僕を追いかける。

「誰になるべきか」、僕を問い詰める声がする。

君のマネをすれば……僕も幸せになれるのかな?


生まれながらの英雄。

君の話を教えて。

僕が僕を忘れるために。


★★★

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