王女殿下の秘密の鞭打ち

@kurakusyun

第1話

カツカツと反響する短いヒールの音に嫌な気分になるような、慰みになるような気分になりながら薄暗く、黴臭い地下への階段をゆっくりとゆっくりと下りてゆく。


 この建物も随分と古い物だから当然上から下まで手すりなどはついていない。仮に足でも滑らせてしまえば、一気に一番下まで滑り落ちて行ってしまうかもしれない。 ぶるりと微かに体が震えた。少し恐怖が大きくなって、頭を覆っているローブのフードをズレぬようにさらに深く被った。


 前を行く光の精霊のようにゆらゆらと揺れる最高級のランタンの灯りが一度止まった。最下層、と言っても地下三階程度だが、それなりに長い階段を下り切ったのだろう。少しゆっくりになっていた自分の足を慌てて進める。


 私の前を行くこのランタンを持った私と同じローブ姿を見失えば、灯りの頼りは無くなる。迷路という訳ではないが、恐らくその場から一歩も動けなくなるだろう。これから自分の身に降りかかることを思えば己の恥辱に全身が熱く、そして凍る気がする。走り出せば元の暖かなベッドに戻ることができる。


 だが、私はじっと前を行く暗い色のローブを見つめたまま自らの足を勧めた。




「誰ですか?」




 階段を下り切ってすぐに誰何された。私は思わず顔を隠すようにフードを被り直して俯いた。


 最下層の階段の周りは明るく、少し広い。そこに十代後半のメイドが一人立っていた。名はメアリー




「私だよ。ここに来るものなど我らしかいないだろうメアリー?」




 前を歩いていた彼女、第一騎士団団長レティシア・カートレット卿がフードを外してその美しい金髪を外に晒した。短くカットされているというのに燃えるようなその黄金が薄暗い地下室に映える。




「もちろん分かってはいますが、万が一という事もあります。顔を確認するまでは警戒するのが当たり前です」




 メアリーは懐から取り出そうとしていた短剣を元通りにしまうと、私の目を向けた。




「……さぁ、こちらへ」




 ぎゅうぎゅうと胃の辺りが苦しくなる。息が上手く吸えずに足が震えるが、私の身体は思いとは裏腹に前へと進んだ。


 大きな机に眼鏡を掛けた三十代のメイドが座っている。城の侍女の全てを取り仕切る侍女長のマリアだ。そこの前には私は罪人のように立たされた。いや、事実私は罪を犯したのだ。




「フードを取って、お顔を」




 私は黙ってフードを取った。押さえられていた私の黒髪が肩まで下りた。この国で黒髪なのは王族か、高位貴族といった王家に連なる者だけ。


 私の顔を見てマリアは小さく頷いて私に向かって淡々と言葉を紡いだ。


 


「この大陸の半分を治める、偉大なる大帝国ルーファーンの、唯一の後継者に有らせられるフォーセラス・ユリィ・ルーファーン殿下。ここに自ら来られたからには貴女様が犯した罪をお認めになりますか?」




 私は普段では考えられない程青ざめ、唇を戦慄かせ、俯きながらもしっかりと頷いた。




「分かりました。では有罪と認め、刑を終わるまでの間、貴女様の王女としての全ての権利を剥奪します。無論、、人権は認めますが」




 じっと私を見つめながらマリアはそう言った。私は目の端に彼女の視線を感じながらも終始目線を合わせることが出来なかった。




「ではユリィ。準備を終えた後、鞭打ち百回の刑に処します。刑は即刻執行されます。連れて行ってください」




 残酷な罰が私に言い渡された。目の前がぐにゃりと回る。鼓動が高鳴って息が苦しいほどだ。がくがくと足が震えてへたり込みそうになる。


 そこへレティシアの腕がしっかりと脇から抱えて私を支えた。だが見上げた彼女の瞳に優しさはなかった。冷たい目で私を見つめるだけ。


 無理やり立たされた上に囚人のように木の手枷を嵌められてしまう。人民の頂点たる王族の人間がこんなものを付けられるのは革命が起きた時ぐらいだろう。何と憐れな光景だろうか。




「さぁ、来るんだ。ただのユリィ。刑罰室へ連行する」




 








 ガチャリと重厚な音を立てて開いた部屋の中は意外と手入れが行き届いている。四方に空いている換気口の近くのランタンに明かりがついていて、部屋の中は曇り空程度には明るい。


 そして、部屋の中央に設置してある鞭打ち台。革張りの長いテーブルのような形。そこに上半身を預けて腹ばいになれば、自然とお尻を突き出す格好になるのだ。


 今から私はあそこへ無理やり拘束され、身動き一つも出来ないまま、罪を償う為に鞭打たれ、泣き叫び、お尻に何本もの紅い痕を残すことになるのだ。


 目が潤む。自分の呼吸と鼓動が煩い。ああ、神様。




「何をしている?早くするんだ」




「あっ」 




 レティシアにぐいっと手枷を引っ張られて鞭打ち台へと連れて行かれる。手が擦れて痛い。だが、レティシアはお構いなしにそのまま台の前に立たせた。




「レティシア様っ」




「何だ、メアリー?この者は今は罪人だ。こうして自分の立場を分からせるひつようが、ある!」




 乱暴なレティシアにメアリーが声を上げるが、レティシアは気にもかけずに逆にメアリーに言い返した。そして私の身体を鞭打ち台に押し付けて簡素なドレスの上からお尻をぶった。思わず悲鳴を上げてしまい、顔を跳ね上げると、私の黒髪が鞭打ち台に広がり流れた。




「あぅっ」




「鞭を受ける体勢を忘れたか?手を伸ばし、足を揃えるんだ」




 目の端でメアリーが思わず手を伸ばして、何かを言おうとしたがその手はゆっくりと下げられ冷静な顔を取り戻すとしずしずと私の前にやってきた。




「さぁ、ユリィ……。手を伸ばして。足も揃えるのですよ」




 作業のように淡々と私の手枷を鞭打ち台に繋ぎ固定する。同じように腰、足と革の枷で順番に固定してしまう。


 呼吸が短く吐き出される。鼓動が跳ねてしょうがない。手首が、足首が、腰が締まって痛い。後ろにいる二人の様子が分からない。恐ろしくて恐ろしくて堪らないのに私が口から吐き出す言葉は一つしかなかった。




「……私に鞭打ちの罰をお願いします…」




 私がそういうとメアリーが無造作にドレスを捲り上げた。羞恥に自然と顔が赤くなる。次いで、子供にそうするように私の下着は引き下ろされ、足首に絡まった。


 そうされると当然、私はお尻を突き出した格好で剥き出しのお尻を二人に晒すことになる。お尻の穴も、女性の大事なところも二人には丸見えだろう。


 私は唇を震わせ涙を流した。奴隷か囚人のように地下室の部屋で鞭打ち台に拘束され、私は鞭打たれる為にお尻を剥き出しにされているのだと思うと、次から次へと涙が溢れた。




「………まずは準備を。これでお尻が紅くなるまで打ってあげます」




 私の目線の先に掛かっている革のパドルをメアリーが取った。心を鷲掴みにされるような恐怖に肌が粟立つ。それでも確かに彼女の言う通りでいきなり鞭でお尻を打たれれば肌が着れてしまう可能性があるからだ。


 メアリーが静かに私のお尻の横に立つのが分かった。レティシアは私から斜め前の壁に背を預けるように立っている。そこに立たれると私の情けない泣き顔が見られてしまうと思ったが、それを言うことは無意味だった。




 パァンッ!




「うっ…!」




 ふいに革のパドルが私の右のお尻の肉を強かに打った。びりびりとした衝撃に私は呻いてしまう。




 パァンッ!パァンッ!パァンッ!パァンッ!




 染み込ませるような一打一打に私は歯を食いしばり、ぎりりと鞭打ち台の革に爪を立ててどうにか紛らわそうとした。




 バチィッ!




「いっ…!」




 丸く突き出された両のお尻の頂点を強く叩かれて思わず頭を跳ね上げてしまう。手でお尻を庇おうとしたが、がちゃりと革の枷の鎖が鳴っただけだった。


 代わりにレティシアと一瞬目が合う。滲み出てきていた涙の向こうでレティシアは眉を顰めて苦虫を噛み潰した顔をしていた。




「これくらいで音を上げていては鞭打ちに耐えられませんよ?」




 バチィンッ!




「ああーっ!」




 お尻が熱い。衝撃と熱さが交互に来るみたいだった。


 溜まっていた涙が零れてしゃくり上げそうになる。それを我慢しようとするが次のパドルでそれは決壊した。まだ準備だというのに私はもう涙を流してメアリーとレティシアに許しを乞いそうになる。


 


「ああ、いたいっ!許してください!ああっ!?」




 










「……これくらいでしょうか。十分にお尻が真っ赤になりました」




 結局五十打ほど革パドルでお尻を打たれてしまった私は荒い息を整えようと唾を飲み込み、引き攣る喉を落ち着かせようとした。


 準備の革のパドルは十分すぎるほどの罰で、侍女たちが白く豊満で形が良いと褒めてくれる私のお尻は恐らく真っ赤に腫れ上がってしまっているだろう。その証拠にお尻はジンジンとした熱と痛みを持って今も私を苛んでいる。




「よし、メアリー下がっていろ。ユリィ…これからが本番だ。百回の鞭打ち刑を執行する」




 嫌そうに私を見ていたレティシアがまた冷たい顔でそう言った。そして、パドルが掛かっていた壁からケインと呼ばれる木の鞭を取る。よくしなり、細いながらも硬い。女性囚人のお仕置き用に使われるしっかりと痛みを与えられる木の鞭だ。




「ただのユリィ。もっと足に力を入れてお尻を突き出すんだ」




 ぐったりとしてる私は鞭打ち台に全身の体重を預けているせいで少しお尻が下がっていた。レティシアは冷酷にもそれを咎めた。


 ああ、ただ唯一の王女としての自尊心も、責任も、覚悟も、仮面も全て壊れていく。私はただの少女に戻って恐ろしさからいやいやとかぶりを振った。




「…まぁいい。鞭打ちを始める。一つっ!」




 ビシィッ!




「いっ!?」




 私の身体びくんと跳ねた。腰の革がぎちぎちと鳴る。だがそれも無意味。それは私の鳴き声と同様だった。同じように後九十九回お尻を打たれると思っただけ私は泣きだし、鞭打ち台から降りようと藻掻いてしまった。




「あ、あ、いやっ!いやぁ!下ろしてレティ!」




「無駄だユリィ。二つっ!」 




 ビシィッ!




「きゃあっ!?いたぁいっ!痛いぃっ!」




 お尻が灼けつく。火傷のような痛みがお尻に走り続ける。パドルで真っ赤に腫れ上がったお尻に紅い線がついている事だろう。その痛みが収まる前にまた次、そしてまた次と木の鞭が私のお尻を打ち続ける。




 ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!ビシィッ!




「いやぁっ!痛いぃっ!いたいいたいぃっ!止めてぇ!」




 地下室にビシリビシリと間断なく私の肉を打つ音が響く。固く閉じられた扉から私の泣き叫ぶ声は漏れだし、響き渡り、階段の下の椅子で待機しているマリアにも聞こえているはずだ。




「………」




 時間にすれば準備を入れても三十分は掛からない。マリアはどんな表情でそれを聞いているのだろう?




「ああーっ!」




 ぶんぶんと王族の証の黒い髪が振り乱される。涙と脂汗でその黒い髪が私の頬に張り付く。だが、もう、そんなことは気にもならなかった。


 すでに頭真っ白で、ただただお尻が痛い。もう止めて欲しいと思うだけでだった。王女はいない。ただの少女が鞭打たれているだけ。




 ビッシィーッ!




「ひぃーっ!いやぁっ!」




 溢れ出た涙が頬を伝って幾筋も落ちたが、両手は縛られている為にそれを拭う事も許されない。動かせない両足を必死に動かそうと藻掻く。




 ビッシィーッ!




「痛ぁいぃっ!」




 剥き出しのお尻を晒して罰を受けている。痛みに身を捩り、子供のように泣き叫び、両足をジタバタとさせてしまっている。




 ビッシィーッ!




「ああ、もうむりです!ごめんなさいごめんなさぁいっ!もう、もうゆるして…!」




「まだ半分だぞユリィ」




 レティシアはそういうと手加減なく私のお尻を罰していく。声の硬さは拭えない。まるで任務中のような声。その声に私は申し訳なさを感じながらも口から吐き出される悲鳴を押さえられなかった。




 ビッシィーッ!ビッシィーッ!ビッシィーッ!




「ああーっ!いたぁいっ!いやぁっ!」




一打毎に上半身が跳ね上がり、髪を振り乱してしまう。お尻を逃がそうと右へ左へと動かすが、ケインは逃げれば逃げただけ強く振り下ろされた。




「ごめんなさい、ごめんなさいぃ…許して…ひぃっ!」




 ビッシィーッ!




「ゆるしてぇ!お尻いたいぃっ!もうむりぃっ!きゃああああっ!」




 容赦のない鞭打ちでお私の尻には、真っ赤な蚯蚓腫れが何本も出来上がっているはずだ。そこへまた新しい木の鞭が落ちる。もう耐えられないと思った所へさらに、と。


 どれだけ憐れに許しを乞おうが、どれだけ泣き叫ぼうが、百回の鞭打ちが終わるまでは容赦なくお尻を打たれる。




「九十一っ、九十二っ、九十三っ、九十四っ」




 ビッシィーッ!ビッシィーッ!ビッシィーッ!ビッシィーッ!




「……ああ…あぅっ…くぁっ……いぃっ……」




 声が枯れ、涙が顔中をぐちゃぐちゃに濡らしている。お尻を打たれる度に身体だけが痛みに反応するが、もう喉が限界だった。




「百っ!」




 ビッシィーッ!




「あああーっ!」




 最後の一打がお尻の下辺りに強く打ち、私は出ない声で叫んだ。




「……よし、鞭打ち百回の刑を終わる。そのまま侍女長の所まで連れて行って罰の痕を見せるんだ」




 鞭打ち刑を終えてぐったりとしている私の拘束を外して、メアリーとレティシアが両脇から抱え上げる。


 足首に絡まった下着はそのまま上げられずに、ドレスのスカートも腰で纏められて、真っ赤に腫れ上がったお尻を晒したままずるずるとマリアの元まで連れていかれた。




「罰の痕を見せてください」




 両側から抱えられた私を二人はくるりと後ろを向かせた。ズキズキとするお尻は恐らく、赤黒い横線の痣だらけだろう。痛いなんてものじゃない。座ることも当分厳しいはず。私は手の甲で涙と汗を拭いながら子供のようにしゃくり上げている。




「百打の鞭打ち刑の執行を確認しました。そうですね……どうも随分暴れていたようですし、追加のお仕置きとしてその灯りの下で罰を受けたお尻を晒して反省させましょうか」




 私は驚愕に目を見開いた。まさか、マリアがそんな事を言うなんてと。私は、抱えられたまま首を後ろに捻り、横目でマリアに許してと訴えた。


 だが、マリアの目はそうすると決めているようで私はまた目頭が熱くなり、鼓動が早く、熱くなった。ああ、これ以上の恥ずかしめの罰があろうか。




「動いてはいけませんよ、ユリィ。手は頭の上。お尻を触ったりすれば鞭打ちです」




 結局私は階段の下の灯りの元で手を頭の上で組まされて、ドレスのスカートを腰で止められ、下着は足から抜き去られてしまった。


 ズキズキとする腫れ上がったお尻は熱く、擦りたいがそれをすれば有無を言わさず鞭で打たれるだろう。


 私は何度目かの涙が溢れさせ、王女ではなくただただ子供のようにお尻を晒したまま反省の時間を過ごした。
















 レティが私の黒髪をゆっくりと指で梳く。そしてキスを落としてくる。慈しむように、傅くように。




「ああ、ユリィ様…さぞ痛かったでしょう。全身を使ってお慰めさせて頂きます」




 普段の凛とした女騎士の姿は鳴りを潜め、私とベッドにいるときのレティシアはまるで雌犬…それは良いすぎかしら?


 事実痛いのは痛い。ちょっと洒落にならないくらいに。なにせ仰向けに寝ることが出来ないのだからあの刑を受ける女囚は大変だろう。




「いいのよ、だっても私がそうしてくれって言ったんだから。ちょっとお尻が大変だけど心はかなりマシよ?マリアとメアリーにも毎回悪い事させてるしね」




 そもそもが現国王である父親が床に臥せり、母親は典型的な貴族の娘であったのが始まり。遠縁に王族はいるが、そんなものにこの帝国は任せられない。幸い、能力のあった私は十代前半からこの国の政務を担っていた。


 それが何年も続き、私も十八だ。立場が王女のまま国政を担い続けた私の心は疲弊していった。


  王女とて人の子。しかも思春期。だというのに息を抜きたくとも抜ける間がない。アホな貴族の子息など相手にもならない。


 私だって性欲がある。偶にはそういう気持にもなる。そして、秘密の性癖があった。そんな私の悩みを話せたのは、幼馴染のレティシアと姉代わりのマリアと傍付きのメアリーだった。


 


「あっ、痛い…そこは…あっ、あっ」




 私は女性が好きなようだった。しかも女性にお仕置きされるのが好きという困りもの。いずれ子は成すにしても、側室は全て女にしたい。


 激務で心が止むと自分のミスが目に付きだす。完璧主義の私はそれがどうにも許せなくなり、しかも他人にも強いるようになる。




「ユリィ様…お慕い申し上げております…ああ」




 レティシアが片方の手を一回りも腫れ上がり赤黒くなっている私の尻肉に指を這わせる。




「あ、ん、痛い、腫れているんだ…だめ、やめよ…あっ」 




 それを解消するのがキツイお仕置きと夜伽だ。時には少女として膝の上で丸出しのお尻を、時には生徒として机に伏せて男性ズボンの上から、そして時には罪人のように鞭打ち台に拘束させれて。




「はあっ、あっ」




 お尻を鞭打たれた痕を優しく愛撫をされた時、さきほどまで苦痛からの悲鳴を上げていたはず私は、悦びの喘ぎ声を漏らしてしまう。 


 熱い熱を持って痛むお尻の双丘の割れ目に指を這わされると腰を震わせ、膝をシーツに擦り付けるには十分だった。




「ん、ひ、あ、痛い、レティお尻はいやぁ…」




「ユリィ様はお仕置きがお好きのはず…お尻が痛いのならよろしいのでは?」


 


 平素は大国の王女として他者を見下ろして自分がこうやって責められているという事が、何よりも恥ずかしく、官能的で。




「さぁ、ユリィ様お仕置きですよ…」




 優しい手つきながらもレティシアは言葉で私を責める。普段は絶対の忠誠を誓い、私の為なら命もいらぬというこの猟犬が私の為に私を責める。


 レティシアは舌を這わせながら、腫れ上がった私のお尻を出来るだけ優しく揉みしだき、無防備に晒されている私の女性器官へと手を伸ばした。


 


「ああっ…、ひっ、いや、お尻いたいぃ、あ、あ…そこはっ…ああん!」


 


 苦痛と快楽は表裏一体。私は痛みと快楽に眉を顰め、叫び、悶え、止めて欲しいと懇願するのだ。




「ユリィ様お尻を出してください」 




 お仕置きの時と同じように私はお尻を突き出す格好にさせられる。私の鼓動は鞭打ちの時と同じように早く高く打ち鳴らされていた。


 レティシアは私の紅い横線だらけの腫れ上がったお尻を両手でふわりと掴むとお尻に舌と指を這わせだした。


 私は羞恥に身悶えしながらも交互にやってくる痛みと快感に腰を振りくねらせる。ズキズキと痛むお尻の生暖かい刺激が私の女性部分を溢れるほどに濡らした。


「ああんっ…やぁっ…お尻…はっ…ひゃんっ」


 


  私はがとても我慢が出来ずに手の力が抜けてがくがくと頭をベッドに着けた。そうするとお尻が高く持ち上げられてさらに羞恥を煽る。




「レティ…!ひっ、んぅ、あっ、あっ、やっ、んんっ!」




「ユリィ様!ユリィ様ぁ!尊いお方、私の全てを捧げる主様!」




 愛撫しているレティシアの方が興奮しているのが分かる。レティシアはさらに両手の指を使い、溢れ出すほど濡れた私の女性器官と肉の芽を私の名を呼びながらさらに刺激を強くした。私はそれで頭が真っ白に解放され、身体を震わせながら絶頂を迎えた。




 これが私の秘密。王女の秘密。時には恐ろしい侍従長が私を本気でお仕置きにやってくることもあるけど、私はそれが幸せ。


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