第10話 四人目のドッペル?


【Doppelgänger:4】


 

 

 俺の名前はドッペル・ニコルソン。

 このパーティの頭脳であり、パーティのリーダーだ。


「おい、ジャクソン・クロスフィールド。お前は今日でこのパーティを追放だ! 理由はもちろんわかるよなぁ?」


 俺は目の前の雑魚にそう高らかに宣言した。

 ジャクソンはいきなりそんなことを言われて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていやがる。

 マジでこいつはダメな奴だな。


「ちょ、ちょっと待ってよ……! どうして僕が追放なんだ……!?」

「そんなのは決まってるだろ。お前が雑魚スキルしか持たない正真正銘のお荷物だからだよ!」

「そ、そんな……!」


 ジャクソンの持っているスキルは【荷物持ち】

 ありとあらゆる荷物を運びやすくするというものだ。

 このスキルを使って、ジャクソンはこれまで俺のパーティーで荷物持ちをしていた。

 他にも、ジャクソンは雑用なんかもしていた。

 だが、こいつのスキルは戦闘にはまるで使えない。


 俺はこの前のクエストで、なんとアイテムボックスという、超便利なアイテムをゲットしたのだ。

 アイテムボックスにはなんと、ほぼ無限にアイテムが入れられる。

 そうなると、ただの荷物持ちのこいつはもはや用済みだ。

 こいつはなよなよしていて、弱っちいし、いちいち俺に腹の立つことを言ってくるから、もともと嫌いなのだ。

 まあ、多少は便利だから、置いてやっていたが……。

 だが、アイテムボックスがあれば、こんなやつを置いておく理由はなにひとつない。


 ちなみにだが、俺のスキルは【豪運】だ。

 俺はありとあらゆるところで、運がよくなる。

 だから、俺様にとってはほぼすべてのドロップアイテムがレアドロップなんだ。

 そのおかげで、このアイテムボックスも手に入れられたってわけよ。


 そもそも、俺は男が大嫌いなんだよ。

 俺様のパーティーに、むさ苦しい男は必要ない。

 新しく、代わりに女をもう一人入れようかな。

 んで、俺様のハーレムパーティーをつくるのだ。


「おい、カレンティーナ。お前からもなにか言ってやれよ。こいつまだわかってないみたいだからさ」


 俺はもう一人のパーティーメンバーのカレンティーナに話しかける。

 カレンティーナは俺の女でもあり、このパーティの紅一点。

 

「わかったわ。ドッペル。ねえ、ジャクソン? あんたは邪魔になってるの自分でわからない?」

「えぇ……!? 僕が邪魔……!? そんな、ひどい。僕はこれまで、雑用とかすごく頑張ってきたのに!」

「雑用なんて、あなたがいなくても誰でもできるわ。あんたは私たちの邪魔なのよ。二人でイチャイチャしたくても、キモイあんたが、キモイ目線で見てくるから、ほんと、うんざりよ」

「そんな……別に僕は見てないよ……」

「童貞がうつるからキモイ目で見ないでほしいわ!」

「ひどい……」


 まあ、そういうことだ。

 俺とカレンにとって、こいつはマジで邪魔だった。

 アイテムボックスさえ手に入ってしまえば、別にこんな男を置いておく理由はマジでどこにもないんだよな。

 雑用係なら、新たに適当な女を入れればいい。

 女だったら、カレンとイチャイチャするときに、一緒にやっちまえばいいからな。

 

「じゃあなジャクソン。お前はもはや用済みだ。とっとと出ていきやがれ!」

「う、うう……わかったよ……。でも、最後に一つ忠告だよ……。嘆きの森にはいかないほうがいい。あそこは危険だから……。僕がいれば、罠とか解除できるけど……。君たち二人じゃ心配だよ……」

「はぁ……? なにをうぬぼれてんだ、てめえは? お前ごときにそんなこと言われる筋合いはねえよ! 別にお前よりも優秀な奴を入れるから大丈夫だわ。偉そうに命令してんじゃねえ! とっとと失せろ!」

「そっか……。まあ、僕より優秀な人が入るなら大丈夫だね……。悪かったよ……。じゃあ……」


 ジャクソンは大人しく出て行った。

 はっはっは!

 これで俺様のパーティーもすっきりしたな。

 男なんか、俺様だけで十分なんだよ。


「さぁて、じゃあさっそく、景気づけにぱーっと豪遊するか!」

「そうね! ドッペル」


 俺はカレンを連れて、街へ繰り出した。

 なぁに、金はクエストのおかげで、腐るほどある。

 今日は気分がいいから豪遊だ。

 女の子のいる店にいって、酒を飲みまくるぜ……!

 


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