第二十六話 あらあら、これはこれは……え?
さ、イキリ散らしの神様は頭だけになったけど……
あらあら、また喚き散らしているけど、うるさいわね。
ちちんぷいぷい、よしよしこれでいい。
おや? 第七魔法研究所の方々が絶句していますわね?
そんな驚かないでくださいませ、ただの魔法です。
誰でも出来ますよ? 人間を辞めればね。
「ほ、本当にリーダーをや、やりやがったのか?」
「そうですよヤランレさん、さて――」
あらあら? 出入口が勢い良く開きましたわね?
ふむふむ、あらあら……御大層な服装と警備の数ですこと。
これは第七魔法研究所の人達を、避難させた方がいいわね?
ふふ……ちちんぷいぷいほほいのほい、転送先でお茶でも飲んでいてください。
「……やはり規格外の魔法使いのようだな」
「あらあら、お初にお目にかかります、私はセイント・メッスルンです」
ふーむ……やはりコイツ……異世界誘拐犯だ。
ふふふ……やっと会えた、誘拐犯。
そしてこの状況! 行き当たりばったりにしては最高じゃないか!
へへへへへ……げへへへへへへへへ!
お、落ち着け……これはお年玉の様な臨時収入だ!
そう……次にいつありつけるかわかない豪華な料理!
そう、まずは落ち着くんだ、こういう時は自分がもっとも冷める言葉を自分で言うのだ。
いやん! 一輪川ゆきこ、ドキドキ!
……よし、気持ち悪さで落ち着いた。
んで、この人達は何がしたいのかしら?
「で、貴方は何がしたいのかしら? この生首に代わって貴方が私を殺してくれるのかしら?」
「ふっ、そんな神に用はない、お前に興味がある」
「はぁ……ふーん、どうして?」
「その強大な力! このイワン・カミカミ・カミッニのな!」
ああ、やっぱりあの王様のご兄弟。
ふーん、まあ国の権力関係はどうでもいい。
とりあえずこの人の目的を聞きましょう。
「貴方の目的は? 何? 世界征服?」
「そんな小さい事はしない」
「はぁ?」
あら、ネットミームみたいな声が出でしまった。
えぇ? んじゃ目的は何かしら?
異世界誘拐犯なのは間違いないんだけど……
「私は私を崇める世界に行きたい……と、いうのは建前だ」
「ほう」
どういう事からしら? 異世界に行きたいとか?
アレ? 黒幕きコイツとこの国の最高神のが関わっていると思ったのに?
んん? んんんんんんんんんん?
落ち着くんだ、今回の私は本当に行き当たりばったりさね。
あ、これ大臣が悪いパターン? 会話をしましょう。
話が通じる人には話をする、当たり前の事よ。
確証はないけどね、感よ感。
「ごめんなさい、正直言って話が通じないと思っていたから、今少し驚いているの」
「ふっ、そうか……何、私はこの世界に愛想をつかした」
「どうして?」
「私は一般人で居たかった」
「どういう事?」
「簡単な話だ、私の母は側室だ」
「あーはいはい」
王宮に戻されるまでは一般人だった、そんな所でしょうね。
ふむ……もしかして異世界召喚した理由は、他の世界に行きたいから?
でも異世界に行きたいだなんてわがままね。
いや、私が言えた事では無いか。
「貴方の目的は異世界に行きたいって事でいいのかしら?」
「ああ、私もこの世界には疲れた、いや、王宮と言うべきか」
「あらあらわがままね?」
「正直言って、もしあなたが殺してくれるなら喜ぶ」
「ええ? 止めてよ、貴方がイキリ散らして、私利私欲に走るタイプならそうしたけど」
「……貴女も私の夢ではなかったか」
あらあら、物凄く残念そうね……はぁ、仕方ないわね。
ちょっと面接しましょうか、色々と聞いてみましょう。
これも何かの縁だし……あ、本当の黒幕を聞こうかしら?
……本当に私もテキトーね、ま、今回の異世界は行き当たりばったり。
深く考えてはいけない、テンションで行きましょう。
「貴方、私が異世界転生させれると言ったら、お話にのる?」
「出来るのか!?」
「ええ、ただ取引よ? 異世界召喚をした奴は誰かしら? 私、異世界誘拐犯をぶっ殺す為に異世界召喚されているの」
「誘拐犯?」
「ええ、異世界召喚する人って非常識が多いのよ」
「まあそうだろうな、私自身がそうだから」
「いえいえ違うのよ、落ち着いて? 自分達で召喚しておいて、帰れないとかほざく奴らが多いのよ」
「そうか、それで誘拐犯……流石に私はそれはしなかった」
「どうして?」
「いや、私が言えた事では無いが……元の世界には返すだろう、何故と言われてもそれは当たり前の事では?」
ふーん、こう来るか……これは予想外さね。
もっと聞いてみようかしら?
「もう一度聞くけど、貴方は何がしたいの?」
「私のした事は異世界召喚だ、その理由は平和な世界に行きたかった」
「平和世界?」
「物語の様な……平和な世界ではないぞ、魔法が無い世界に行きたかった」
「どうして?」
「恥ずかしい話だが、私は魔法が使えないからだ」
「ん? 異世界召喚はしていたのよね?」
「それはこの世界に、魔法の触媒があるからだ」
「ふむ……」
ま、魔法も結局は科学なのよ、これをこうすればこうなる。
いや? その世界でそれが当たり前の話だからね。
ふむ……仕方ない、助けてやろうか。
ああ、私の家に連れて行けばいいか。
これで何人目だったかしら? この間の姫さんもうまくやってるみたいだし。
あ、私これでもお金持ちなのよね、と言っても何か異世界からスカウト……違うか。
異世界誘拐犯から助けた人とか、縁があった人とかね。
何か知らないけど、家に帰ったらどんどん大きくなっていってたのよ。
こう……ああ、ソシャゲの放置ゲーみたいな?
アレのログインしなくても、勝手に色々としているしてくれるみたいな?
……そんなゲームがあったら、もうゲームの意味がないじゃん。
おっと、話がそれたな。
ま、合格って事でいいか、後は向こうの奴らに任せよう。
「あ、そこの護衛さん達はどうなの?」
「彼らもお願い出来るならそうしたい」
「あら、ご家族とかは?」
「全て決着を付けている」
「あら、用意周到ね」
だったら私がとやかく言う事じゃないわね。
あ、これも聞いておきましょ。
「この国の闇は大臣て事でいいのかしら?」
「ああ、芋づる式に判明するだろうさ」
「ま、後は何とかしましょうか」
大臣はこの人を使ってって感じなんだろうけどさ。
まあ正直そこら辺の因果関係はどうでもいい。
異世界召喚は大臣だった、この人は無関係で私が助けた。
それでいいじゃない。
やる事は簡単よ? この国の障害を取り除く、これはサンタニールさんとの約束。
んで、目の前の人を私の世界にご招待、それでいいじゃない。
ふふ、難しく考えるからダメなのよ、今までのやり取りは何だったのか?
それは――あらやだ、内心で色々と語るのは歳。
「ほほいのほい」
さ、これでおしまい。
……とりあえず大臣ボコしに行こうかしら。
ま、行き当たりばったりだし、計画性の無さはいいじゃない。
ああ……一度自分の元の世界に帰るのもいいわね。
ふむ、頭に入れておきましょう。
さ、第七魔法研究所を出で……どうしましょう?
むむ? サンタニールさんの反応が近くに感じるわね。
地上の出入口の近くに居るわね、出迎えかしら?
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