第十六話 異世界転移で高揚したのか、でも代償はでかいさね
さてさてさて! いよいよ楽しい楽しいイキリ散らしタイムだ!
敵国さんは大量に銃やらなんやら、この世界で出来る技術で色々と作ったらしい。
私のバフで今まで無双出来たのに……ま、気付くはずかない。
「ひっひっひっひっひ! これから楽しい楽しいイキリ散らしだ!」
「あーセイント、何度も言っているが、お前はこの国の聖女様に偽装してるんだろ?」
「おほほほほほ、カオス様いやですわ、『佐藤あんな』でしてよ? さあ! これから自国をまもる為に戦争でしてよ!」
「はぁ……」
さあさあ戦争前の、つまらないお偉いさんの小言は右から左。
聞く価値も無い、開戦して私達はしばらく本陣に居た。
ま、作戦は簡単だ、自軍は――あれ? どうだったっけ?
とりあえず私のやる事は、時間になったら、敵国に付与した銃のバフを外す事さね。
さてさて本陣で優雅にお茶して数十分。
「セイント、時間だ」
「ほほいのほい」
私はバフを解除した、その瞬間戦場から自国のたくましい声が響く。
私達は数分その場で待機をした。
ふむ、そろそろ私達も動くかね?
「カオス、異世界転移者君は何処に居るかわかった?」
「お前ももう感知しているだろ?」
「んじゃ、イキリ散らしに行こうか」
「へいへい」
カオスが何か乗り気じゃないが良いだろう。
さてさて? 敵国の異世界転移者君は何処にいるのかな?
まあ知ってるんだけど。
てな訳で私達は、異世界転移者君の目の前現れたのさね。
「なっ! 何だお前は!?」
おーおーおーおーおーおー!
いっちょ前に銃とか構えているよ。
かっちょいい、様になっとるよ?
服装も、ミリタリー好き御用達の迷彩服だ。
「私? 国が呼んだ異世界転生とか、転移者にイキリ散らししたいだけさね?」
「……なあ、ツッコミを入れるけど、それ、俺の標的じゃないか? 俺はイキリ散らす異世界転生や転移を、イキリ散らすのが好きなんだが」
「残念、彼は国に所属している、国から追放されたら、アンタの標的じゃない?」
「ま、そうなんだがね、国に属している以上、お前の獲物だよ」
さてはて、先程から銃を構えている異世界転移者君。
長いからミリタリー君でいいや。
ミリタリー君は発砲するつもりはあるのかな?
「ん? どうしたミリタリー君? 打てばいいじゃないかね?」
「ああ……こりゃアレだセイント、ネットに居るような口だけの奴」
「どういう事さね?」
「ああ知らないか? 例えば銃で事件があったとする」
「ふむ」
「で、その時の動画が拡散されたとする」
「ほう」
「その時に、俺なら、私ならこうするとマウントとる奴らが居るのよ」
「ああー居る居る、殺し合いも経験した事ない奴ら」
ま、私も最初は人を殺すなんて嫌だったさね。
でも異世界転生や転移が私を変えた。
今はその話はいいさね。
「彼はおそらく、この世界に来て、殺しは経験している」
「ほう」
「一方的のね」
「ああーよくある弱い者にしか、イキリ散らせない奴か」
「おいおいセイント、それブーメランだ」
「上等、戻って来たブーメランはまた投げればいい、武器として正しいだろ?」
「まあ確かに」
てかミリタリー君は発砲しないのかね?
こんだけ悠長にペチャクチャ喋っているのに。
「どうしたミリタリー君? 何故撃たないんさね?」
「ま、まさか……お前が俺の銃に何かしたのか!?」
「先手をバキューンと撃つと、私はお前さんの銃の威力を下げちゃいないよ?」
「つまり俺が製作した銃の威力を上げていたのか!?」
「お、当たり~」
「くそ!? お、俺はここで死ぬのか!?」
「いやいや、殺さないさね? 殺してほしいの?」
「は!? はあ!? せ、戦争をしているのに!?」
「君は自分のしたイキリ散らしの……清算をする時だ」
「清算!? 何を言っている!? それに俺はイキリ散らしなど!」
「ふむ……んじゃ聞くけどさ? 何でこの世界の銃は衰退していたんですか?」
「は? 衰退?」
ふむふむ、このミリタリー君は多分地頭はいいさね。
なら、私の言った事も理解出来るか。
「……必要なかったからか! 銃がこの世界では必要なかったのか!」
「お、正解~どれくらい必要無いかというと、一般人の防御魔法で防げるんだよ、もちろん不意打ちでは効果があるけどね、魔法の方が楽さね?」
「……お前達の目的は何なんだ」
「私達? 私は異世界転生や転移を推奨している国を滅ぼす、その為に異世界を旅している」
「おいおい、俺は違うぞ? イキリ散らす異世界転生や転移とぶっ殺す」
「ん? じゃあミリタリー君を殺すのかい?」
「いや、そんな事しなくても、弾圧されるだろ」
「……くっ!」
おやおや、ミリタリー君は観念して膝をついたね。
ふむ、本当に理解力がある珍しい異世界転移者だ。
基本的にアホなのに。
ふむ、まあミリタリー君の場合は、異世界転移にウキウキしてイキリ散らした。
って所さね、まあお祭で高揚するようなもん。
冷静になって良かった良かった。
「国を上げて銃の製作をしたんだ、不必要となれば国自体が終わる」
「そうそう、国民は黙っちゃいないね~」
「まあ頑張れ、異世界の常識考えないでイキリ散らした結果だ」
「……」
ふむふむふむ、本当に後悔しているようだね。
まあ私は手助けしないが、手を差し伸べたくなる。
「セイント、帰ろうぜ」
「んじゃ、そうするかね」
「ああ」
私達はミリタリー君を置いて自軍に帰った。
ま、戦争の結界は言うまでもないだろうさね。
んで、敵国もどうなったか言うまでもないさね。
経済は崩壊、住民怒り爆発、王族と一部貴族の弾圧。
で、私の居る国が超良条件で敵国を助ける。
市民はこちらの味方、自国はもちろん敵国の負債を肩代わりだが。
民の信頼と領土を取れるんら安い、長い目で見たら勝ちだろうさね。
さて、この自国にも飽きてきたから、理由を付けて旅に出るか。
カオスもストレスが溜まってそうだし、しばらくは奴のわがままに付き合うか。
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