第三話 はっ!だったら姫様は貰ってくぜ

 私が王国に来て数か月、面白いほど何も進展しない。

 だから私は王様に直接お話をしようかなと。

 ま、私がそろそろ飽きたってだけ。

 あーあ、御大層に貴族の方々もいるよ。

 何も出来ないのにご苦労様ですこと。


「くっくっく、さて王様、そろそろ私を元の世界に返して下さい」

「……む、無理だ」

「まあ知ってて言ってんだけどさ? あんた達が独自に改良した異世界召喚の魔法、術式が違うから改良前の帰還魔法は使えないよな~?」

「……」


 おおう、黙ってしまったよ、そいや私は今回期限を設定してなかったな。

 まあいいや、好き勝手イキリ散らすか。


「はっ! 無理矢理異世界から召喚という名の誘拐して? 自分達の都合を押し付ける、んで帰れません? 弱い者にしかイキリ散らせない、私の様に悪者じゃないか、世界を救おうとしたこの国……いや、王族と貴族さんよ」


 私は手を叩いて拍手をした。

 うんうん、悪人の第一歩おめでとう!

 おやおや、姫さんが私に近寄って来た。


「魔女様、では私が貴女の従者となりましょう」

「ヨワタリン! 何を!」

「おいおいお姫様、どういう風――いや、この国を思ってか? 泣ける泣ける! 今そのお父様の頭の中は『世継ぎはどうするんだ』って、考えでたくさんだけど?」


 これは噓ではない、王様は国の事しか考えていてい。

 まあ正しいのか、私がどうこう言うのは止めておこう。


「魔女様、お答えを」

「よしよし、じゃあここは王様に聞こうか?……異世界誘拐に関わった奴らを皆殺しか、姫様差し出すか……だ」


 自分と国を大事な王様の答えは決まっている。

 娘一人で取り扱い不可能な爆弾が居なくなるんだからな。


「……姫を……差し出す」


 おや、周りの貴族……ふむ、あの眼鏡君だけは悔しそうだ。

 よかったな姫さん、少なくともあの眼鏡君は、あんたの味方だよ。

 自分達立場があって何も言わないだろうけど。

 他の貴族はゴミ共だゴミ共。


「うんうん、誰しも死にたくないからな! 安心しろ! 私はお前達にみたく無理難題は押し付けない! あくまでも常識的に身の回り世話してくれればいいよ」

「承知いたしました」

「んじゃ、さっさと行くぞ」

「わかりました」


 姫さんが近寄って来た、あ? 王様が慌ててるぞ?


「せめて別れ――」

「あ? 異世界転生や転移って、別れの挨拶すんの? むしろお前達させたか? 都合いい事ばかり喋るなよ」


 それがこの世界での最後の言葉、姫さんと共に私の世界に戻ろう。

 おっと、私をゴミクズ異世界誘拐犯と一緒にはしないでくれよ?

 姫さんにやってもらうのは、本当に身の回りの世話だけだ。

 魔法で私の世界の一般常識も、ほほいのほいさ。

 

 んで姫さんと私の世界でスローライフ。

 そんな訳がない、姫さんは留守番さ。

 この物語は私が、異世界誘拐犯にイキリ散らす話だからだ。

 さ、次の世界が待ってるぜ。

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