おっさんの転生Remake〜最速の冒険者になってReStart

SILVER BUCK(アマゴリオ)

1話 Re・Start



「やっとたどり着いたぁ~~~。え~と、次はここでクエストをこなして、うわっ!アガガガガガガァ~~~イギギギギギギィ~~~ウググググググゥ~~~うっ!」

――バタン


 とある休日の昼下がり、俺は突如意識を失った……


◆ 


「う~ん、ここは?えっ!なんで?」


 思わず心の声が出てしまった。世界的に有名なフルダイブ型VRMMORPGを、休日に夢中でプレイしていたのだが、いったい何が起きたんだ?

 もしかしてあの痺れは感電か?

 そしてこれって緊急処置?

 それともバグ的な何かなのか?

 突然、衝撃と痺れが襲い、画面にErrorという文字が赤く点滅し何個も現れ、埋め尽くしたのまでは覚えてるが……

 気がつくと、未だゲームの中でここは宿屋か?時間は昼だったはずが、いつの間にか夕方になっているのが窓から見える景色でわかる。

 しかし、ようやくたどり着いた高難易度の遺跡ダンジョン入口にいたのに、街の宿屋の一室へと強制転移させられていた。

 今日はなんかもう、ゲームをする気が失せたな。ログアウトするか………… うん?あれ?なんで?

 しかし、コンソールを開こうとしてもエラーで開けない。ログアウトボタンが出せない!押せないだと!運営に緊急コールも出来ないな、マジかよ……

 あれ、しかもこれは、まさかの初期装備だと!

 部屋にある鏡を見ると、自分の装備がゲームを始めた頃の物に変わっていて驚いた。

 ちょ、ちょっと待て、ま、まさか今までのプレイデータが消えたのか?!くそ、明日も仕事だっていうのに。なんて日だ!

 運良く丁度宿屋だ。ゲームの中で実際に寝るのは初体験だが、とりあえず運営からの連絡を待つしかない。

 頼むから朝までには復旧してほしい。それにデータが消失したのなら、運営に問い合わせして……

 ぶっ通しでプレイしていた俺は、睡魔に負けいつの間にかゲームの中で眠りについた。


◆ 


 翌朝、起きて直ぐに復旧したかな?とコンソールを開こうとしてもまだ開けない。う~ん、これではどうしょうもないな。と、諦めてゲーム内で時間潰すため部屋を出て、宿屋の受付にいくと、 


「お客さん、朝ごはんはどうします?」


 丁度出食わした、宿屋のNPC女将が話しかけてきた。しかし、こんな会話は今迄聞いたことがない。なぜだろう?バグか?


「たのむ」

「銅貨五枚ですよ」

「これで」

「毎度、あそこの席で座って待っていておくれ」


 思わず朝食をお願いしてしまった。言われた値段を小袋から払うと席を指されたので、そこで座って待つ。すると直ぐに、


「はい、お待ち。オーク肉と豆のスープ。それと黒パンだよ」

「あ、ありがとう」

「沢山食べてくださいね。ふふふ」


 思わず礼をいうと、また丁型文ではないセリフが返ってくる。そして、この空腹感を刺激する匂い……匂い?何故匂いが感じ取れる?もしかして、


「うっ、美味っ!」


 食えた!そして美味い!実際に空腹が満たされていくこの感覚!まさか匂いや味覚までインストールされたのか?今の技術でそこまで再現出来るモノなのか?空腹パラメーターや疲労パラメーターを回復するだけのアイテムだったはずなのに……


 黒パンは少し硬いが、スープに付けてふやかし口にした。スプーンが止まらない。腹に溜まるこの感覚。空腹感が無くなっていく。そしてあっという間に食べ終わった。


「ふぅ~~~ごちそうさま。美味かった」

「お粗末さま。いい食べっぷりでしたよ」


 腹いっぱいだ。食べ終わり、部屋に戻ってベッドで横になりながら考える。

 アップデートって、告知ではまだ先の予定だったはずじゃないのか?

 それにNPCのプログラムが更新された?だからって、あんな臨機応変な対応が出来るものなのか?何なんだ?色々とおかしいだろう!


 ――ピコン


 すると、突然DMがきた。やっと復旧したのか?

 早速開いてみると、


「この度は御愁傷様でした。そして私の世界にようこそ。招いた者達には特典として、今までの装備やアイテムが収納魔法に入ってるよん。それと転生を記念して、なんとボーナスで100p、それと特典として言語理解と鑑定スキルと収納魔法の三つをプレゼント。職業の再選択とパラメーターポイントの再設定が出来ちゃう。第二の人生をこの世界で自由に生きてね。創造神より 追伸 容姿と種族はゲーム時代そのままだよ~ん」


 えっ……あっ……俺の人生詰んだ……………


 まさかの小説やマンガのようなゲーム転生だった。神様の文章が軽いな。少しイラッてくるぞ!

 あれ?待てよ?この世界がゲームと一緒なら、金の蓄えは稼ぎまくったからあるはず。装備もアイテムも、凄いものを揃えている。

 もしかして現実世界みたいに汗水流して、媚びへつらい仕事をすることもないのでは?この世界のほうが、俺は充実した余生を送れるのかも……

 独り者の四十後半。両親も他界し、パートナーもいない天涯孤独な俺にはなんの問題もない。取りあえず改めてステータスを確認しよう。流石にDM来たならもうコンソール開くよな?


 名前 フウガ

 LV 1 (残り+90)

 種族 ヒューマン

 種族補正 無し 

 男性 四十五歳

 職業 戦士 

 職業補正 HP2倍 MP半減 

 スキル 

 無し

 転生特典 

 言語理解 鑑定 収納魔法


 鉄のショートソード (攻撃+15)

 鉄の盾 (防御+5)

 麻の服 (防御+3)

 木の靴 (防御+1)

 布のマント (防御+2)


 STR=力    10p

 VIT=生命力  10p

 DEX=器用さ  10p

 AGI=敏捷性  10p

 INT=知力   10p

 MID=精神力  10p

 余剰ポイント 270p ボーナス100P

 HP200 

 MP50 

 攻撃力25 防御力21 命中率20% 回避率20%



 「よっしゃぁ~~~」



 思わず大声が出てしまった。ゲーム同様、半透明のコンソールが目の前に現れる。これが今の俺のステータスか。ゲームで最初に選んだの戦士だったっけ?おっ!ちゃんとあるな。余剰とボーナスのポイント。いや~これは嬉しい!凄く嬉しい!!めちゃくちゃ嬉しい!!!

 LVが1上がるたびに3ポイント貰えて、それを6つのパラメーターに割り振ったり、スキルを手に入れたりと、キャラを成長させるこのゲーム。早まって選択し、後悔したことが多すぎた。よし!これで理想の能力キャラにリメイク出来る。

 器用貧乏になってしまった平均型を特化型に。中級職で燻っていたのを上級職に。

 早速、今迄の経験と後悔をもとに、再設定してやろうじゃないか! 

 それから俺は三時間ほど、夢中で考えパラメーターへ余剰ポイントを割り振った。

 そして終わった。いやぁ~疲れた。目は疲れて肩はガチガチだ。

 次に収納魔法の中を漁ると、たしかに今迄ゲームで手に入れた武器に防具、スキルの書にアイテムを確認できた。

 新たなステータスに合わせたモノを取り出し装備し、スキルを身に着ける。しかし時間をかけ考えた分、これで念願の理想のキャラになれたと思う。


名前 フウガ

LV 91 

種族 ヒューマン

男性 四十五歳

職業 魔闘士(上級職)

ジョブマスター

戦士 狩人 魔法士(基本職)

サブ職業 薬師(中級職) 

サブジョブマスター

調合師 調理師(基本職)

職業補正

HP2倍 MP1・5倍 

消費魔力半減

調理 調合 調薬 成功率アップ 

戦闘スキル

格闘術 片手剣術 両手剣術 投擲 挑発 身体強化 気配察知  

魔法スキル

風魔法 補助魔法 魔力感知 魔力操作 詠唱短縮 

生産スキル

調理 調合 調薬

装備スキル

状態異常耐性 精神異常耐性

転生特典スキル 

言語理解 鑑定 収納魔法

装備

風竜の剣(伝説級) 攻撃150

貫通 自動修復 STR 2倍 

風竜のレザーアーマー(伝説級) 防御100

貫通無効 自動修復 AGI 1・2倍

翼竜のブーツ(上級) 防御20

風魔法補助 AGI 1・3倍

翼竜のマント (上級)防御30

精神異常耐性 AIG 1・2倍

アクセサリー

右手 生命の指輪(伝説級)

状態異常耐性 HP 1・5倍

左手 魔力の指輪(伝説級)

魔法発動媒体 MP 1・5倍

首  無し

ハイポーション二本 マナポーション二本 万能薬二本 


 STR=力    50p✕2

 VIT=生命力  50p

 DEX=器用さ  50p

 AGI=敏捷性 100p✕2

 INT=知力   40p

 MID=精神力  40p

 HP2625(750✕3・5)

 MP480(160✕3) 

 攻撃力250 防御力180 

 命中率100% 回避率100%


 これこそ俺が求めていたスタイル。

 おお~!命中率と回避率がカンストだ。

 やられる前にやる。当たらなければ意味がない。勝てなければ逃げればいい。命を大事に。

 ソロプレイの生き残りを前提とした、最速キャラの出来上がり。

 リアルになったこの世界で余生を楽しむとしよう。

 気分も新たに部屋を出ると、宿の女将と出会った。


「あら、お客さん見違えましたね!」

「ど、どうも……」

「まさか!高ランクの冒険者様だっんですか?」

「いや、この国に流れ着いたばかりなんだ。これから王都へ冒険者登録に行く予定さ」

「そうなんですか……大変でしたね。お気を付けて」

「ああ、行ってくる。こちらこそ世話になったな。ありがとう。また来るよ」


 取りあえず、チュートリアルを思い出しながら行動する。先ずは王都を目指して、そこの冒険者ギルドで登録をするか。


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