3
巨大なコウモリを先頭のラルジャが切り捨てる。体の裂け目からモンスターコアを抜き取ったラルジャが舌打ちをする。
その後ろにフェールとシルシエ、最後尾にパスが並んでダンジョン内を進んでいく。天井から垂れた鍾乳石が固まってつららを形成し、棚田状になった鍾乳石からは水が溢れ、ダンジョン内を流れていく。
洞窟のようなダンジョン内には、一般的な洞窟で見かける生物がモンスター化したものと多く遭遇する。
「モンスターが多いダンジョンなんですね」
「ああ、ここグロットはモンスターが大量に湧くダンジョンなんだ。だがその分、モンスターコアは沢山手に入るんだ。ちょっと質は悪いけど」
シルシエの問いかけに隣で地図を見ていたフェールが答えてくれる。
「前衛をラルジャさん、後衛にパスさん。ナビがフェールさん、凄くバランスのいいチームですけど、ご友人のボヌーさんはのポジションはなんだったんですか?」
シルシエの質問に眉をぴくっと動かし不快感を見せるラルジャの代わりに、パスが口を開く。
「彼は狙撃手兼、中衛。つまりは遠距離攻撃を主に行い、各メンバーのサポートだな」
「へぇ~とてもすごい人だったんですね」
「ああ、彼がいなくて困ってるよ」
シルシエとパスが言葉を交わしていると、先頭のラルジャが舌打ちをする。
「ちょっと器用だったが、金にみみっちいヤツじゃねえか。金、金うるさくて、今でも耳に残ってやがる」
「それは、ラルジャが手に入ったお金をすぐ使うから」
「あ?」
フェールが口を挟むがラルジャに睨まれ身を縮ませて小さくなってしまう。
そんな二人をパスが諌めながら先へ進むと地面に真横に走る大きな穴が現れる。
「さっきも言ったけどグロットはモンスターが多いダンジョン。代わりに罠が少ないダンジョンでもあるんだけど、ときどきクラックと呼ばれる横穴があって、モンスターとの混戦中に落ちてしまうことがあるんだ」
フェールの説明を聞きながらシルシエがしゃがんで、クラックを覗き込む。
「あの日もここで、多くのモンスターに襲われた我々も混戦の最中、ボヌーが弓を引こうとして下がったとき足を引っかけ落ちてしまったんだ」
パスが事故の様子を語るのを聞きながら頷いていたシルシエは、立ち上がって三人の方を向く。
「早速、下へ降りようと思います。僕が降りている間、周辺の警備をお願いします」
「ああ、任せてくれ。シルシエも気をつけて」
「はい、お気遣いありがとうございます」
笑みを見せたシルシエは、クラックの下へ降りるためリュックをおろし準備を始める。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます