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口をポカンと開けたシルシエが、上へと昇っていく滝を見上げる。
「ふわぁ~これは凄いや」
上に登る滝からこぼれ落ち、顔にかかる水しぶきに目を細めながら見上げるシルシエは感激の声を上げる。
「なるほどねぇ~。一階と二階の間に流れている水は地下五階に落ちて、下の方からここを上がって行ってまた上から下へ落ちる。見事な循環だね……仕組みは分かんないけど」
そう言って笑みを浮かべながら目をつぶったシルシエが、大きくその場から跳ねると先ほどまで立っていた場所にトゲが刺さり、地面に緑色の液体が広がっていく。
「通称トゲトゲ、正式名称がニードルフロッグだったっけ」
シルシエが天井に張り付く、体が鋭いトゲで覆われた濃い紫色をしたカエルを見上げる。黒が混ざった毒々しい紫の体から無数に生えたトゲを持つニードルフロッグは、遠く離れた場所からトゲを飛ばし獲物を弱らせてから捕食する。
「天井に張り付いて、ひたすら毒針を飛ばしてくる。やっかいなモンスターだね」
シルシエが大きなリュックの重さを感じさせない、足さばきで毒針を避けていくと腰にさした短剣を抜き、自分に飛んできた毒針をはじく。
そのまま逆手に持っていた短剣を、準手に持ち変えると天井に張り付いているニードルフロッグ目掛け投げつける。
ドスっと鈍い音をたて額に突き刺さった短剣が、ニードルフロッグの頭を揺らす。そしてそのまま大きな目玉をぐるんとひっくり返し、張り付いていた天井から手を離し落ちてしまう。
「さてと、もらえるものは、もらっておくよ」
そう言ってシルシエが、仰向けにひっくり返えっているニードルフロッグの腹に、額から抜いた短剣を突き立てる。
「結構上質なモンスターコアだね。ダンジョン内の生命循環が綺麗なのも納得かな」
手の上で光輝くモンスターコアを見て呟いたシルシエは、次に周囲を見て壁際に近づくと屈んでなにかを拾う。
「う~ん、この骨にもう意志はないかぁ。こっちは……」
シルシエは右の眼帯を取り手に取った骨を見るが、探し求めているものではないらしくそっと元の場所へ戻す。
「ニードルフロッグの周囲にしか骨が残っていない……。全部下へ流れているってことかな? だとすればこのダンジョン相当深いかも」
シルシエはこれから向かう先を見ながら呟く。
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