第7話 最悪な事態 その2
……その頃のアス
「…………」←懺悔しているアス
私は今日も、礼拝堂で懺悔をしている。
さっき、誰かの悲鳴声が聞こえた気がしたけど、私には関係ない。
私が今。一番大事で有るのは、神からの許しとフウゴルから許しを貰うこと。
それ以外の事は、私の中では些細な出来事だ。
『バン!』
「アス先生!///」
「アス先生!///」
私の懺悔中に、大げさに礼拝堂の扉が開いて、二人の少女の声が耳に入ってくる。
うるさいですね……私のこの時間を邪魔しないで下さい。
『ダダッ(汗)』
『ダダッ(汗)』
二つの足音が急速に近付いて来て、私の左右の服が急に引っ張られる。
何をそんなに焦っているのですか……
「アス先生! 大変だよ!///」
「ナツちゃんとメルコ先生が、大きなコウモリに襲われている!///」
「早く助けて上げて!」
「アス先生!!///」
一人の少女が、慌てふためきながら私に話す。
その言葉後。もう一人の少女も同じ口調で言い始める。
「アス先生。どうしちゃったの?///」
「大きなコウモリに、ナツちゃんとメルコ先生が襲われているのだよ!///」
「本当に早くしないと……二人とも殺されちゃうよ!///」
「…………」
(……殺される?)
(誰に……私に……違う。私は人殺しでは無い!)
(人間を殺すのは、人間と悪意を持った生き物だけだ!)
(まさかと思うが……また、魔物が来てしまった?)
私は此処で懺悔を止めて、目を開ける……目を開けると……顔面ぐちゃぐちゃの泣き顔少女が二人居た!
「アス先生!//////」
「ナツちゃんとメルコ先生を早く助けて!//////」
「助けて、アス先生!//////」
二人の少女は泣きながら、私に訴える……このシチュエーション。
何処かで見た覚えが有る…………
「!!///」
私の頭の中で、何かの衝撃が走る!
これは……あの時の私と同じだ!!///
守りたい人を助ける為にわんわん泣きながら、相手に訴える。
私も……フウゴルを魔王の手から守りたかった……でも、フウゴルはそれを望まなかった。
私は断腸の思いで、フウゴルに魔法を放ちフウゴルを殺した。
だけど……それしか手が無かった。
私が今。動かなければ……ナツ? メルコ!?
「!!!//////」
「大変!!//////」
私は此処で我を取り戻し、急いで立ち上がる!
良く見ると……この子達は、サツキちゃんにミクちゃんだ!///
「良い!」
「魔物は私が退治するから、二人は其処にいて!///」
「アス先生!//////」
「アス先生!//////」
私は強気の表情で、サツキちゃんとミクちゃんに言う。
二人は私を、正義のヒーローの様な眼差しで見る。
魔物が居る場所が、直感的に教会裏手だと私は勘付き。
急いで礼拝堂から裏手にダッシュで向う!
「!!///」
私は裏手に回るとメルコが、ナツを庇いながら耐えている姿が目に入る。
魔物は大型コウモリ一匹だけだ。また強行偵察に来たのだろう。
「……ブランド!」
私は大型コウモリに目掛けて、ブランドを唱える。
私の右手からは火球が飛び出し、火球が大型コウモリに目掛けて飛んで行く!
『シュ、シュ、―――ボン!』
「グッギャアァァーーー」
火球は見事に大型コウモリへ当り、大型コウモリは火球に包まれる!
私は、その光景を静かに見る。
「グッギャアァァーーー」
『バタン!』←地面に落ちた音
「グッギャアァァーーー」
『ゴロ、ゴロ、―――』
「グッギャアァァーーー」
『ゴロ、ゴロ、―――』
『ゴロ、……』
「…………」
大型コウモリは火を消そうと、地面に落ちてのたうち回るが……しばらくすると絶命した。
私は大型コウモリの死骸確認より、メルコたちの方に向けて駈け寄り、頬を染めた困った表情で声掛けをする。
「メルコ。大丈夫ですか!//////」
「あっ……アス先生……やっと来てくれた!//////」
「ナツちゃんは大丈夫だけど……僕は大丈夫では無いね。あはっ///」
メルコは体のあちらこちらに傷つきながらも、困った笑顔で私に話す。
私はメルコの足下を見ると……かなりの血だまりが出来ているのに気付く!///
「メルコ!」
「これはさっきの魔物にやれたのですか!?///」
私は焦った表情でメルコに聞く。
メルコは苦痛を含ませた表情で、私に話し始める。
「あの……大きなコウモリさんに、少し太ももを食べられちゃった///」
『バッ!』
「!!!//////」
私は血に染まったメルコのスカートをまくり上げると……かなり抉られた左太ももが姿を見せる!///
『ビリリ―――』
私は急いで修道服を口と手で裂いて、応急処置を始める。
応急処置をしながら、私は元気付ける表情でメルコに話し始める。
「これが済んだら、直ぐにリン先生を呼んでくるから、もう少し頑張るんだよ。メルコ///」
私が言った後。メルコは目を背けながら私に話し始める。
「リン先生たちは近くには居ないよ……お城の方に行っている///」
「そして、神父たちも買い物に行っちゃっている///」
「!?//////」
(うそ!)
(早く治さないと、メルコが死んでしまう///)
私はメルコの傷を見ながら、直感で感じる。
応急処置は出来たが、場所が場所だけに完全止血が出来ない。
このままだと、メルコを死なせてしまう。
どうにかしなくては……
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