第61話 僕のヒロイン

 高校生の僕には彼女が居る。

 ゆえに勝ち組に部類される立ち位置に居ることは間違いない。ツインテールで眼鏡という結構マニアックな属性持ちの彼女だが、顔が整っているので美人にといっても差し支えないだろう。胸だってオワン型のCカップで丁度良い。デカくても僕には扱いきれなかっただろうし、本当にちょうどいいオッパイである。

 だた一つ玉に瑕なことがある。それは……


“ブッ‼”


「あっ、屁が出たわ‼メンゴ―♪」


 彼氏の家の部屋で、横になって屁をこいて、笑いながらケツをボリボリ掻く彼女。可愛いから許されているが、将来太ったおばさんになって同じ行動を取った場合、僕は殺意すら覚えるかもしれない。というか……


「くっさ‼お前の屁くっさ‼」


 あまりの臭さに嗚咽すら出てくる。すると彼女はニコニコしながらこう言うのだ。


「昨日、次郎系のラーメンのニンニクマシマシ食ったから仕方ないよ♪エへッ♪」


 可愛い子ぶりやがって、あんな屁をこく女が何をしたところでプラスにはならん。

 むしろ頭に来るぜ。これは一言言ってやらんと気が済まん。


「お前な、一応俺の彼女だろ?もう少しちゃんとしてくれよ。もしここがラノベの世界で、俺が主人公でお前がヒロインだっとしたら、読んでる人もガッカリだろうぜ?俺ならお前が屁をこいた時点で、そっと書を閉じるね」


「私なら卵でとじるね♪」


「いや、うるさいわ。落語やってるんじゃないんだよ」


 へらへらしやがって、どういう教育受けたらこんな女になるのだろう?ケツを引っ叩いてやろうかと思ったが、そんなことしたら、この女のことだから叩く同時に屁をこいて来そうな気がしたからやめておいた。

 高校生で彼女が出来て有頂天になっていたのに、たった数ヶ月で熟年夫婦にでもなった気分だ。結婚は人生の墓場とよく比喩されるが、これってもう墓場に片足突っ込んだ状態じゃ無いだろうか?


「あっ、隊長‼屁の元が出そうであります‼トイレを借りても良いでしょうか?」


 マジかよ、彼氏の家でウンコするつもりかよ。てかさっきから話が汚いわ。勘弁してくれよ。


「近くにコンビニあるから、そこでして来いよ」


「無理であります‼この感じだとコンビニに着くころにはスッキリしてるであります‼」


 あぁ、一応オブラートに包むことは出来るんだな。てっきり漏らす言うと思ったんだが、これは感心だ……いやいや俺も感覚がおかしくなってきてるな。別に褒められたことじゃ無い。


「じゃあして来いよ。ちゃんとやった後に消臭スプレーしとけよ」


「はい、お任せあれ♪うふふふ♪お花を摘みに行ってきますわよ♪」


 スキップしながらトイレに向かう彼女。えらい余裕あるじゃないか。それならコンビニまで我慢できるだろうに。

 はぁ、あれが俺の青春ラブコメのヒロインかぁ。ラブコメって言うより新喜劇だろ。ズコーって毎日の様にコケている様な気がする。

 十分後、この世の終わりみたいな顔して、ケツを左手で抑えた彼女が帰って来た。大体の予想は付くが、理由を聞いてみるか。


「どうしたんだよ?」


「お、お花が硬くてさぁ……中々出てこないから踏ん張って出したんだけど、出した後からじんわり痛くなってきてね。もう痛いんだの痛くないんだの、ワケ分からん。」


 勘弁してくれ。あとお花はウンコの隠語では無いと思う。

 あまりにも下品な僕のヒロインだが、一応愛しているので交際は続行していきたいと思う。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る