第28話 お祖母ちゃんへ
お祖母ちゃんへ
天国のお祖母ちゃん、そちらの暮らしは如何ですか?
ちゃんとご飯を食べていますか?
風邪などひいていませんか?
・・・なーんてね、孫の私がお祖母ちゃんみたいな心配をしてみました。えへへ♪
早いもので、お祖母ちゃんが死んで三年目ですね。あれだけよく噛んで物を食べなさいよと、口うるさく言っていたお祖母ちゃんが、餅を喉に詰まらせて死んでしまうなんて、今でも夢じゃないかと思ってしまいます。
でも現実なんですよね?現実は小説よりも奇なりと言いますが、本当に可笑しな事が起こるものです。
さて今日は天国のお祖母ちゃんに報告があって手紙を書きました。手紙と言っても墓前に添えるだけなので、物理的にそちらに手紙が届くかは分かりませんが、まぁ、要は私の気持ちの問題です。お墓の前で報告するのも一つの手でしたが、手紙で報告した方がお洒落かな?と思って手紙をしたためさせてもらいました。
ほら私って、昔からお洒落に気を使うタイプじゃないですか?流行とかにも敏感だし・・・といけません話が脱線してしまいました。いつも話を脱線させるので【脱線・真理子】と友達から呼ばれているのは伊達じゃありませんね。
さて報告というのは、私、結婚することにしました。突然の報告になって申し訳ありません。しかし、なにぶん急だったので、だって出会って半月で結婚することになったんだよ。
お祖母ちゃんは昔からこう言っていましたね。
「歯は健康のバロメーター、歯を大切にして綺麗にしている人と結婚しなさい。」
この言葉は私の中の結婚相手を決めるバイブルとなっており、そうして出会ったのが金成 金蔵(かねなり きんぞう)という闇金会社の社長さんでした。
歳こそ53で私とは23歳も歳が離れていますが、彼はなんとインプラントで全ての歯を金歯に変えてしまっているのです。
私は彼の歯を一目見て、綺麗だなぁと思い、この人と結婚しようと心に決めました。
親や周りの人は反対したし、付き合っていたイケメンの彼氏に別れを切り出すと泣いて私を引き留めましたが、大好きなお祖母ちゃんの教えを実行するのが最優先です。
お祖母ちゃんこそ私の人生の師であり、何も信じられない荒んだ世の中を生き抜くための指針なのであります。
最後になりましたが、大好きなお祖母ちゃんが天国でいつまでも健やかに暮らせるように地上から祈っております。
それではお元気で。
P・S 金蔵さんの加齢臭に鼻が曲がりそうなんですが、どうか知恵を貸して下さい。
孫からの手紙を読み終えて、私はフーッと溜息をついた後、一言こぼした。
「そうはならんやろ。」
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