——雨季さんと愉快な看護師たち
※私が実際にリアルタイムでつけていたメモをほぼそのまま引用しているため、他の話に既出のエピソードもあるが、かなりリアルなやり取り。
【1月10日(水)16:00前くらい】
ステーションに薬をもらいに行ったら、神戸ショコラ(以下『K』)が対応してくれた。
K「明後日の朝食後までの分です! もう退院なんですもんね……」
私「そうですよぉ〜明日、最後の “ご相談” お願いしますよぉ〜」
K「ボク明後日もいますよ!」
うん、知ってる。女神に聞いたから。
私「いや、明後日って私○時過ぎとかに出るからバタバタするし……、まあ明後日でもいいですけど……」
K「あ、そっか。じゃあ明日行こうかな!」
友達ん家か。
とりあえず、神戸ショコラに手紙を渡せる時間は確保できた。
ところで、私がうっかり明日、神戸ショコラが日勤の前提で話してしまったのだが、「なんで知ってるんだろう」とか微塵も思わなかったっぽい。
アホで助かった。
【同日 16:30くらい】
病室でダラダラしていたら、廊下から一匹
チ「あ゙ーーー疲れた。」
私「愚痴聞きますよーw」
チ「愚痴ナンテナイヨ」
私「嘘だあwww」
チ「もう、人生への愚痴だよね。」
私「さすがに24才に人生の愚痴聞かされても困ります」
チ「そりゃそうだ……」
〜〜〜〜〜
私「病院の外にも(一匹
チ「そんなん星の何倍もいるから……いや星の何倍もはないか、星がいくつあるか知らないけど、たくさんいるよ」
私「……って、絶対返してくるよなって思ってました」
チ「でも実際そうだから」
〜〜〜〜〜
チ「俺が雨季さんにあだ名つけるとしたら、“ひなてぃー” だな」
私「……なんかセンスに時代を感じますね、ジェネギャwww」
チ「ふざけんなよwww」
私「mixiみを感じますもんw」
自販機の前だったついでに私が一匹
曰く、
チ「なんで金払ってまで苦いの飲まなきゃなの?」
【1月11日(木)4:30】
一匹
その後は2人でジョージアを飲みながら陰鬱にじっくりコトコト……
チ「ほんと人生って難しいよね……」
私「なんでそうやって24才に人生の暗さを語るんですか」
チ「いや現実教えてあげないと……」
ちなみに私は生理2日目なので、すました顔でカフェインを飲んでいたが後でしっかり下腹部が悲鳴をあげた。
〜〜〜〜〜
たっぷり30分ほど煮詰めて、一度思いついてやめた “一筆賜わる” をお願いしてみたら、
チ「俺こういうの頼まれると書けねぇんだよ〜」
私「そうでしょうねw」
渋られつつも書いてくれた。あとで神戸ショコラにもお願いしてみよう。
やっぱりこの時間帯でよかった。出逢えてよかった。同類だと分かってよかった。助けてくれる人はどこかに必ずいると気づけてよかった。
彼が退勤する前にやることができてしまったので、これから取りかかる。
ところで、部屋にマッチョの絵を置いといたらプロレスファン仲間と発覚。
しかも、私の推し選手を好きらしい。
……いや、共通点どんだけ〜!!
【同日 6:30すぎ】
朝の『じっくりコトコト』中に私の画力に気づき、
チ「絵上手いんだね、俺も似顔絵描いてもらえばよかった」
(2個下に気まぐれで似顔絵をあげたことがある)
などと言われてしまったものだから、描きあげたものを渡しにステーションへ。
【同日 7:20ごろ】
朝食の下膳後に目の前を通ったタイミングで絵のお礼を言われたので、ハンズシェイクでもしようかと手を出すと、彼は服薬対応で手袋しており、
チ「8時半に行くよ」
とのこと。
完全にマブ。
これはマブ……というか、なんだろう、この『通い婚』感。
【同日 8:30】
一匹
彼が私に退院したら死ぬほど遊べとうるさいもんだから、私が東京ではちゃんと遊んでいたことを知らしめるために1年前の海ではっちゃけてる写真を見せた。
チ「おぉー! 遊び散らかしてるね!!」
と喜んで?いた。
が、その後は「怖いもの見たさで遊ぶのもいいけど本当に怖い目に合わないように」と大人のお説教タイムが始まった。
〜〜〜〜〜
チ「まぁ深く考えすぎず、がんばって……もよくないか……『がんばって』くらいしか言えないけど、『自分らしく』、『甘える』! だな、雨季さんは。応援してるよ。」
と、両手で固い握手。
私「こちらこそ、応援してますよw」
チ「吠えられるようにねw」
最後はお互いサムズアップでのお別れ。
いい朝だった。
達成感すごすぎたけど退院が今日じゃないことを思い出した。
【同日 9:45ごろ】
女神の事前情報通り、バイタルに2個下(以下『2』)が来た。
メセカ余ってたから書いたやつ渡した。
2「えぇ手紙すか! あざぁーっす! そういえば雨季さんって〇〇の方なんですか?」
私「……はい。え、なんで?」
2「いや、同じだなーって思って……」
……遅ぇな!!!
2「(神戸ショコラ)さんが退院後は『■■■■』ってカフェにずっといるって教えてくれました。……働くってことですか?」
くっそ……あいつほんまマジで……
私「そういうカフェとか図書館とか通って本読むってことですよw 大体、忙しくて言うてそんな通えないし……。え、(神戸ショコラ)さんがそう言ってたんですか? 私は退院後にそのカフェに居座るって?」
2「はい、なんか “雨季さんは『■■■■』にずっといるんだって” って……」
トトロか。
わしゃカフェの中に昔から住んでるトトロか。
あいつ今日来たら覚えてろよ。
〜〜〜〜〜
私「一筆お願いしますよ」
2「えー! 何これ! 『甘えなさい!!!』(一匹
私「(一匹
2「へぇー、シンパシーてきな感じですか?」
私「そうなんです……チワワ先輩って呼んであげてください」
2「いや無理無理w 殺されるwww」
私「大丈夫、(一匹
〜〜〜〜〜
2「できました! 『また似顔絵描いてください!!!』」
いつどこでどうしろと……?
私「なんかビックリマーク3つが定例になってません?」
2「(一匹
若いってええなあ……
〜〜〜〜〜
私「(2個下)さんはピュアピュアだからな〜」
2「素直とはよく言われますね……」
私「プリキュアくらいピュアピュアだから……」
2「どういうことっすかw」
おい、鍵閉めてけ。
【同日 13:00】
シャワーお願いしようとしたタイミングで患者さんがステーションをノック。神戸ショコラが出てきた。どうやらセレクトメニューについて話してるらしい。2日分聞いてる。大丈夫か。
しかし、そんなこと私は知らんので、帰り際の彼にシャワーの対応をお願いする。
K「シャワーですねー……、B,A、B,A、B,A……」
……大丈夫か?
私「ずっと繰り返してないと忘れますよ……」
K「え? ……『そんなことしてると』?」
私「ずっと繰り返してないと忘れますよ!」
K「B,A、B,A、もう覚えました!ありがとうございます!」
……大丈夫なんだな??
【同日 14:00すぎ】
神戸ショコラの襲来。
K「もう明日退院なんですねぇ、大丈夫ですか?」
私「大丈夫じゃないですよ〜w」
K「www」
私「こちら(手紙)を読んでくださいな。」
K「なるほど、この場で読むんですね。」
私「もう明日で退院ですよ〜寂しいですかぁ? 寂しいですよね〜しょうがないな〜」
〜〜〜〜〜
K「(読み終えて)おれ天然かな?」
やっぱり。言うと思った。
〜〜〜〜〜
K「雨季さんはまだ若いし、今まで大きい舞台でも活躍されてきた方だから、こんなところにいるのが勿体ないと思ってました。早く退院してまた羽ばたいて行ってほしいって……」
私「ありがとうございます」
K「看護師としての(神戸ショコラ)はどうでした?」
私「うーーーん、ド天然でしたね」
K「ええ! そんなに!?」
私「いっつも(一匹
K「(一匹
〜〜〜〜〜
私「これ(一筆)お願いします!」
K「ん? ……あぁそういうことか! 寄せ書きみたいになってる!」
私「っていうか(2個下)さんに要らないこと吹き込みましたよね!? 『■■■■』にずっといるとかどうとか!」
K「あれ? (2個下)くん? (一匹
私「(神戸ショコラ)さんが教えてくれたって言ってましたよ! そんな “ずっといる” って、カフェの精霊じゃないんだから!」
K「あーそうかw 『いるらしいからお前行ってやれよ』って言ったんだったw」
〜〜〜〜〜
K「うーん……(一匹
私「えーーーー」
K「……はい!」
私「あ、ビックリマーク1つ減ってる……」
K「(『!!』足す)www」
私「あぁ! いいんですよ増やさなくて!」
K「www」
〜〜〜〜〜
私「最後に握手くらいしてくれませんか?」
K「あー握手! いいですよ!」
両手でかっちり握手。爽やかで暖かい手だった。
K「応援してますよ!」
私「ありがとうございました。……って言って明日もまだいるんですけどねw」
K「そっか、今日じゃないのかw」
神戸ショコラのメッセージは、確かに何も考えてなさそうでよく私のことを見てらっしゃる、という感じ。
そんなことより……、男性陣みんな字ぃきったな!!
【同日 16:00すぎ】
今日の担当、2個下くん再登場。
私は明日が退院だと知らなかったらしく、
2「引き継ぎ早く終わったし、最後に雨季さんと交流しとこうと思ってぇ〜」
恒例の後輩ムーブ。
2「まさか明日退院だと思ってなくてぇ、オレ明日いないから今日髪セットしてこなかったのけっこう後悔してるんすよぉ〜」
(似顔絵を渡した時に『髪をちゃんとセットしてる方が好きだ』と書いた)
と、勝手に人の病室の鏡を見ながら髪をいじりだす。うんうん、手紙にも『髪のセットは怠るな』って書いたからねぇ。
地元が地元すぎて話が盛り上がり、絶対そこら辺で会えるやんとなり、、
私が神戸ショコラのすっとぼけエピソードを教え込むと、〇〇さんがブチ切れた話とか、〇〇さんもけっこうな天然だとか、50分近く駄弁った。
彼こそマブって感じ。
握手はお互いの手汗を考慮して、手の甲でのハイタッチで代替。
「じゃーねー」ってテンションでのお別れだった。
【同日 17:00】
夜勤の挨拶でポイポイ(以下『ポ』)が来たので寄せ書きを頼んだら、
ポ「なにこれw 後で書きに来ますw みんなめっちゃビックリマークつけてるwww」
とゲラゲラ笑っていた。
【同日 19:00すぎ】
ステーションに用事があったついでにポイポイに寄せ書きをお願いした。
ポ「この人たちは推し看護師なんですか?」
私「お手紙渡した人たちですね、だからコレ(超即席お手紙)あげます。さっき書きました。」
ポ「さっきとか言わなくていいw ……ちょっと恥ずかしいから書いてるところ見ないでもらえますか?」
ワシ「はーい(病室の入口付近にしゃがみこむ)」
ポ「いやなんでそこw ベッドでいいじゃんwww」
あれ? 私、ポイとこんな仲良かったっけ。
〜〜〜〜〜
私「めっちゃ考えてくれるじゃないですかw 上の3人のテキトーさ見てくださいよ」
ポ「ほんとですよ何これw あー、もっとちゃんと考えて書けばよかった……」
私「いや今までで一番考えてくれてますよ」
〜〜〜〜〜
ほんとにめっちゃ書いてくれる。
私「(ポイズン)さんってなんでミルキー知らないんですか?」
ポ「懐かしwww」
(入院初期に流行った遊びでポイズンはミルキーが好きだと決めつけて聞いてみたら、まさかの「知らない」と返ってきて全員で引いた)
私「ママの味知らないのヤバすぎますよ。宇宙人だと思いました」
ポ「いやあれはw 皆んなの知り合いに『ミルキー』って呼ばれてる人がいて、その人知ってるかって聞かれてるのかと思って、『誰それ知らない』ってなって……」
私「www」
ポ「もう絶対あの集団に影で何か言われてると思ったもんw」
私「影では違うことを言ってましたよ。コレ(手紙)読んだ方がいいですよ」
〜〜〜〜〜
ポ「(読みながら)ポイズンwww ポイポイwww」
私「(ポイズン命名の由来説明)」
ポ「(患者)さんに『ポイズン』って言われて、『皆んなにそれ言ってるんですね』って言うから傷つけちゃったのかと思ってなんか申し訳なくなったのに……。なんだ嫌われてなかったんだw 他の看護師に『ポイズンってなに?』とか聞いて、僕がモノ知らなかっただけっていうw」
私「え! Poison知らなかったんですか!w」
ポ「知らなかったんですよ。あー、でも嫌われてなかったんだ、よかった」
私「嫌いじゃないですよw (ポイズン)さんは……、一番いじりがいがある」
ポ「www」
〜〜〜〜〜
その後、我が父のトンデモ過保護ムーブやら、気持ちを伝えられるようになったねと入院生活を振り返り、
私「看護師さんはそれが仕事だから割り切って相談できてる部分はありましたけど、退院したらそうもいかないから……」
ポ「でも相談できるようにはなってたじゃないですか」
サラッと背中叩いてくれるからいいんだよね、この人。やっぱりすごいよ。
ポ「退院したらやりたい事とかあるんですか?」
私「いつかはあの業界に戻りたいですよ。でも親がずっと実家にいる前提みたいな感じで話してるんですよねー……」
ポ「思い切りスネかじっちゃえば?」
私「そうですよね、スネかじろーっとw」
ポ「今はとにかく甘えて、いつか本気で『やりたい』ってなったらちゃんと説明して応援してもらえるように」
あー、私が無敵状態だったときの思考に似てるから合うんだこの人。
それを真顔でクソ真面目に言うから謎に迫力ある。
私の “こういう人間でいたい” ってそのものだ。
〜〜〜〜〜
(ポイポイが書いてるの待ちのとき)
この人って音楽とか聴くんかな、無音の必要最低限の家具だけしかない部屋で暮らしてそうって思って、
私「(ポイズン)さんって音楽聴くんですか?」
ポ「聴くよw 僕のことなんだと思ってるの?w」
私「宇宙人www」
ポ「おいーwww」
オススメの曲教えてと頼んでも、
ポ「自分が聴く曲教えるのって恥ずかしくない?」
とか言って頑なに教えてくれなかったけど、ブーブー言ってたら1曲だけ教えてくれた。
ガシガシのEDM-POPだった。
アニソンよく聴くとか言ってたくせに。
恥ずかしいから書いてるところ見るなと言われたメッセージは、誰よりも説得力のある力強い言葉だった。
最後にめちゃ距離感近くゲラゲラ話せてよかった。
嫌いなわけないでしょ、一番助けられたよあなたには。
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