ようこそ、奴隷しかいない貴族の屋敷へ

俺にゃん

第1話私達は奴隷

私は、、、いや私達は奴隷だ

 この世界には様々な種族がいる、人族、エルフ族、獣人族、ドワーフ族、リザードン族、竜人族、そして今人間軍と戦争している魔族、まだいるかもしれないけど、もう分からない、私がいるこの奴隷市はとても大きさらしい、よく「ここの市場は本当に大きくて色んな種族がいて最高だよ❤️」など、「ここにしか魔族がいなくて不便だよ」なんて聞こえる。

 私は親に売られて奴隷市ここにいる。ここに来た最初こそ抗ってたけど、もう痛いのも水責めもレイプも嫌だから、だから私はもう逆らうことをやめた。今日も自分の無力さを恨みながら1日が早く過ぎるようにいるはずもない神に祈る


「おやおや、あなた様また来てくれたんですねぇ」


 私が今日も祈ってると声が聞こえた。この奴隷市を1人で切り盛りしてる、小太りの男が手を揉みごまをすりながらもう一人の身なりが良い男に近寄った。


「今日はそうだなぁ、、、20人ぐらい貰おうかな」


 よく買うなこいつ、普通なら1体、2体ぐらいが相場だ、奴隷とはいえ高い奴は100万レンはする


「はい、はい!ありがとうございます!!!今買える奴隷はこうなっております!」


 商人の小太りの男はホクホク顔でリストを見せていた。


「サンキュ~、、、んー、、、っと」


 身なりの良い男は、私達奴隷の情報が入っているであろう、紙を渡されまじまじと見ていた


「よし!え~と5番と6番、92番、42番......」


 身なりの良い男が商品番号を言う度に、言われた番号の子が泣きそうな顔をしながら怯えていた、可哀想にと私は他人事のように思う。ただ意外なのは私達女だけではなく、男も買おうとしていることだ、まぁ恐らく労働力なんだろうな


「.....最後に44番ください」


 は?なんで、、、最後私なんだよ!生き残ったって思ったのに、、、くそ、くそぉ

 やっぱり神なんていないんだな

 私は頬から雫がこぼれた、私は直ぐに涙だと気付いた、もう枯れたって思ってたんだけど、まだ泣けたんだ私って


「では直ぐに、、、、奴隷ども!!!早く出てこい!!」


 小太りの商人が声を荒げながら鍵を開けていく、もちろん私が入っていた鉄格子も開けられた。


「では、この契約書にサインを」


 

「了解」


 身なりの良い男がサラサラと契約書にサインをしていた。

私達の前で私達が目の前の男に買われているところを見ていた、契約書にサインされる私達の体は光主が変わったことを嫌でも分かる。そして商人が一つ一つ所有者が変わったかどうかを確認していっていた、悔しくて自分が情けなくて強く拳を握っていた。



「これでオッケーかな」


 身なりの良い男が契約書を書き終わり、小太りの男に紙を渡していた


「お買い上げありがとうございます!!後日この奴隷達は持っていきますね」


 小太りの男がヘコヘコと頭を下げながら言っていた、すると身なりの良い男はその男を遮りながら


「今すぐで大丈夫だ、馬車も人数分あるんでね」


「え!?、、あっ~、そ、そうですか、、、わっかりました」


 戸惑いながら、おどおどしながらも小太りの男が承諾していた、見ていて笑える


「じゃあ、皆俺の家に行こうか!」


 奴隷達全員に聞こえるように、目の前の男は大きな声で言った、その声で怯える奴隷や悔しそうにしている奴隷がいた、私みたいに諦めてただ平然と見ている奴隷もいた。

 私達は身なりの良い男が連れてきたであろう、騎士の後ろにならびに6人ずつで馬車に乗って言った、自然と皆下を向いていた、まぁ私もなんだけど


       ・  ・  ・


ガラガラと馬車が動いている。馬車の中は意外と心地が良い、初めて感じた感触、フカフカってやつだろうか?

それに装飾も奴隷が乗るようなものじゃない気がする。


       ・  ・  ・


「私、お家に帰りたい」


走っている最中、消え入るほど小さな声が耳に届いた、隣を見ると私よりも一回り小さい、女の子だった。耳が尖ってるのを見るにエルフなのだろう。エルフの子に答えるように声がまた聞こえた


「俺もだ、仲間がいた」


普通の人間より一回りほど大きい獣人の男が答えるように低い声で呟いた。

その男は奴隷とは思えないほど筋肉質で、すこしこの馬車は窮屈そうに見える。それに筋肉質だけでなく片目に傷がある、多分生まれつきの奴隷じゃないんだろう、目の傷は明らかに調教のものじゃない、別の何かだと私は思った。

目の前の獣人が低いダミ声で喋った後、少しだけ沈黙が流れる。するとまた獣人の男が口を開いた


「俺があのふざけきってる、男を殺してやる、だから嬢ちゃんは走って逃げろ、ご主人様あいつが死ねば隷属の呪文は無くなる」


こいつが言ってることは一理ある。私達奴隷が体に刻まれている隷属の呪文、その呪文があるかぎり、ご主人様の命令は絶対であり例え逃げたとしても、命令1つで体が勝手にご主人様の元に帰っていくようにしむけれる、そのため隷属の呪文があるかぎりどんなに遠くに、逃げても自由には生きれない、解除方法は一応2つある、1つが体に刻まれている呪文に許容量以上の魔力を呪文が壊れるまで送り続けること、しかし一瞬でも魔力を流すのをやめたら、失敗する、失敗したら呪文を壊すために送った魔力を逆に呪文が吸い込み許容量が増える仕組みなためリスクが大きい、そもそもこの隷属の呪文の魔力許容量はドラゴン1体分とまで言われるほど多いため、誰であろうとも不可能だろうそのためもう1つの獣人の男が言った解除方法が、まだ確率が高いだろうしかし可能性が高い、と言っても0%が1%になるだけだ、現に私が知る限り成功者を見たことがない、そもそも雇い主に危害をくわえようとすると、呪文が光ってお仕置きが始まる、お仕置きの内容は脳に直接激痛が走るという簡単なものだ。

ただ最悪の場合死んでしまうぐらい強い刺激だ、何度もこのお仕置きで死んでいく人を見たことがある。私も最初の頃は何回か食らったことがある、運が良いことに私は死ななかったが、お仕置きは本当に辛い、だから、この獣人が言った事は無謀に過ぎない、でもこいつの目は闘志に燃えていた。

私達は会話の後着くまで無言で過ごしていた、私のとなりにいる小さなエルフはすやすやと眠っていた


       ・  ・  ・


がしゃんと言う音と衝撃が同時に来て馬車が止まったんだと思い重たい腰を動かす


「ちょっと、着いたよ」


まだ寝ている隣のエルフの子供の肩をトントンと叩く


「ふぁ!?ご、ごめんなさい!!!殴らないで下さい!!!」


ビクビクと体を動かせながら頭を守っている


「大丈夫、あなたと同じ奴隷よ」


「はぁ、はぁ、ご、ごめんなさい、、、迷惑かけてごめんなさい、、、」


エルフの子供は過呼吸になっていた体を直ぐに落ち着かせていた、そのあと私にひたすら謝っていた。殴られないように叩かれないように、必死に

ホント、ゴミだよねってさ、こんな子供なのにここまで追い詰めるなんて


「お二人さん、早く降りな他の子達は皆降りたよ」


「すみまえせん、フランさん今行きます。」


私は同じ牢にいて、私を良く助けてくれた同じ奴隷のフランさんに返す。


「あんた、歩けるかい?」


フランさんがまだ怯えている、エルフの女の子の所に向かい体を屈め優しく見つめていた。


「だ、大丈夫です、、、立てます」


弱々しい声で言ったエルフの子供はぶるぶると震えた足でなんとか立ち上がり1人で馬車から降りていった


「あの子強いね」


フランさんは悲しそうな目で言った、私はこの言葉に何て返したら良いのか分からなかった。それを見越してなのかフランさんが体を屈め私の目を見る


「あんたも、あの子の子守りありがとうね、よく頑張ったわ」


笑顔で私の方を見ながら言うフランさんに私は素直に嬉しくなりながら、外に出た


私達の目の前に広がるのは見たこともないぐらい大きな庭と大きな屋敷だった、身なりの良い男はまぁまぁ有名な貴族なのだろう。その貴族の男は私達の目の前にたっており、近くには最低限の兵士と隣に執事がたっているだけだった


(あんなに少ない兵ならあいつを、、、)


邪な考えが頭をよぎる、でも実際にはしない、死にたくないからだ、今より深い絶望は味わいたくはもう味わいたくない


「ん?今何か」


ふと私の隣を何か大きなものが通った気がした、気のせいかと思ったが違った、さっき馬車の中で話していた獣人の男が、私達の雇い主に襲いかかっていた。


「死ねえ"え"え"ぇ"ぇ"ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」


「伏せ」


「くっ、、、」


ドシーンと言う音と共に、雇い主の言葉で地面に大きい音と共に倒れる。獣人の男、私は恐れた、あんなに強そうな男でも呪いに抗えないのかというしょうもない事じゃなくて連帯責任で私達にも罰がくるんじゃないかと、しかし領主は楽しそうに笑った、その笑いは私達奴隷をバカにする下品な笑いじゃなくて、ホント無邪気に子供のように


「良いねぇ!活きが良い!!!お前の名前は何だ?知りたくなった!」


「誰が、お前なんかに!」


体がまだ地面に着いており立ち上がろうとしていても、呪文に負けているような様子にも関わらず、悪態を着いていた


「確か獣人族は一番強いやつをボスに、する風習があったよな?」


獣人の男の言葉を聞いたあと、目の前の雇い主は顎に指を起き首を傾け、数秒ほど考えてから楽しそうに笑いながら言った


「俺と戦え、勝ったら逃がしてやる」


雇い主はニマニマと楽しそうに笑いながら拳をポキポキならしながら楽しそうに言った


「上等だ、獣人を舐めるな!!」


ドォンと大きな音がなると、同時に獣人の奴隷が領主に襲いかかる。本来なら隷属の呪文が作動して、直ぐにお仕置きがあるはずなのに、それがないと言うことは、私達の雇い主が何かをしたんだろう


       ・  ・  ・


ブゥンブゥンと獣人の男が私達の雇い主に向かって蹴ろうとするごとに風の音が聞こえるだけで貴族の男に当たっていなかった、まぁ私の目には何がなんだか分からない、ギリギリ雇い主が素早い動きで避けているのが分かるぐらいだ


「お前良いな!!早いし強い!!俺のボディーガードに丁度良い」


「誰がゴミクズのボディーガードになるか!!」


獣人の男が目の前の雇い主を叩き潰そうと手錠で繋がった両手を振り下ろすしかし、それを余裕そうな顔をしながらさらりと避けると地面からドォォンと大きな音がなり亀裂が走っていた。


「そのパワーをこのスピードで放てばそりゃあ大抵のやつは1発KOだろうな!でもお前はこの戦いかたで負けて奴隷に落ちたんだろう?」


喋りながらあの大きな拳を躱したり受け流しているのを見ると私達を買った男はとんでもない化け物なんだと、身に染みて分かった


「だまれだまれ!!俺は獣人族のリーダーとして戻らないとダメなんだぁぁぁぁ!!!!!」


ドガァーーーン!!!と瞬きをするよりも早く足を私達の雇い主に振り下ろすと、大きな音がなって、音がなった方を見ると、さっきよりも深く地面が抉れ亀裂が走っていた。地面には大きな足の後がきれいに着いていた手錠をされてほぼ足だけで戦っているのにこの人はどんだけ速くて強いんだろうか


「ならもっと技術を着けろ冷静になれ、じゃねえと次は仲間もろとも死ぬぞ、っっと」


雇い主がジャンプをすると、恐らく普通に立つだけで3m近くはあるであろう獣人の頭ぐらいまで高く飛び、雇い主は体を一回転させながら回し蹴りを顎あたりに当てていた。

獣人の男は力無くゆっくりと地面に倒れこんだ


「ふぃ~疲れた、歳かもな俺も」


体をグーーと伸ばしながら言った男に大抵の奴隷が怯えていた、まるでこの戦いはこの男に勝てないというデモンストレーションに見えるほどに、私達のご主人様は強かった。


「さてと奴隷のみなさいん」


気絶している、獣人から目を離し、私達の方を見る。その顔は小さく微笑えんだと思ったら、手をバッと大きく広げ、次に私達に礼をした


「ようこそ、奴隷しかいない貴族のお屋敷に」

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