野ネズミと町ネズミ

@peacetohanage

第1話

ある一本の木の根元に、小さな扉が有りました。

そこは野ネズミの家です。

今日は仲の良い町ネズミが一匹遊びに来ていて、家のリビングでは木の実パーティーが行われています。

二匹は思う存分木の実を頂くと、町ネズミは秘密の小道を伝って自分の家へと帰りました。

それは七番通りに有る…ジョセフさん家の屋根裏です。


次の日、野ネズミが一本の木の下で日課の洗濯物を干していると、通りすがりのキツネが鋭い木の枝を踏み付けて、怪我をしてしまいます。

かわいそうに思った野ネズミは、駆けて行って今し方干そうと思っていたバスタオルを、キツネの足に巻き付けてあげました。

キツネは大層喜び、その日から野ネズミとキツネも仲良しになりました。

二人はよく集まり、一緒に木の実拾いをして過ごします。


そうして今日もお天道様に恵まれ、透き通った青空の下では野ネズミとキツネがクルミやドングリを一生懸命拾っていました。

そこへ偶然町ネズミが訪ねて来て、キツネが居るのを見掛けるとキーキー悲鳴を漏らします。

「君!そこのキツネに食べられてしまうぞ!早く私と一緒に逃げよう」

「大丈夫さ、このキツネは僕の友達なのさ。さぁ、一緒に君も木の実集めをしよう?」

「今に見てろ?君は食べられてしまうから!これは警告だ!私は二度と訪ねて来ないからな」

そう凄い剣幕で捲し立てると、町ネズミは来た道を慌てて逃げ帰って行きました。

それからと言う物…二度と町ネズミは野ネズミを訪ねては来なくなりました。


おわり

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