3月8日

 カーテンを開けると、ベランダの欄干から水滴が垂れた。その先には雪が積もっていた。


 大井町線の高架橋から外を見ると、白い街に白い雲。真っ白な世界がそこにはあった。あるいは、黒い屋根にうっすらと白い雪。その透け感は、銀世界と形容するのがふさわしいと思える風景だった。


 夜になると、どうしても遠い未来のことなどの要らないことを考えてしまう。そんな話をしていると、先輩に、「結婚したほうが毎日楽しめるタイプだよね」と言われた。


「たぶんいい旦那さんになると思うし、いいパパになると思うんだ」


 運命なんて便利なものでぼんやりさせたくはないが、結局、人との出会い、特に結婚なんてのは、タイミングなんだと思う。

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