2月28日から2月29日
28日。
年度終わりが近づき、査定の時期である。今年度の目標の達成状況を振り返り、点数がはじき出される。それをもとに来年の給料が変わるというシステムである。
目標はおおむね達成。そのほかに、自分自身の「階級」に求められる仕事の質や姿勢という面でも評価があるが、こちらも階級以上の仕事をしていると思っているので、その通りのスコアをつけているのだが、上司からは、
「それ以上の仕事をしてもらっているのは間違いないけれど、このスコアだと主任級になっちゃうから」
というひとことで評価は引き下げられてしまった。大企業のよくわからない論理である。もうそんな時代じゃないのになと思いながら、帰ってビズリーチを眺めることを心に決めた。
29日。
朝から鼻がむずむずする。花粉症はまだ発症していないはずだが、ついに閾値を超えてしまったか。京都よりも東京のほうが花粉はよく飛んでいると聞く。空気清浄機をフル作動させつつ、アレグラを飲むか逡巡する。
在宅勤務をしていると、孤独である。愚痴を吐く相手もいないので、どうしても気が短くなってしまう。「発注書でこういう処理をするというのは、意味が理解できない」旨の連絡をしたところ、こう返事が来た。
「発注書とは注文書のことです」
「……そういうことじゃない」
東京の狭いワンルームの一室で、声を出してつぶやいていた。発注書が何たるかを分かっていないはずはないのに、どうしてそういう返事ができるのか。相手のその神経に腹が立った。普通だったら「注文書がわかっていないんじゃなくて、違うことを指摘されているのだ」という発想になるだと思うのだが。
そういえば先日、日向坂46というアイドルグループで、初の選抜制度が導入されるとの報があった。今までは「全員選抜」だったのだが、これが覆った。
選抜に入れるかどうかは、ひとことで言ってしまえば、人気順で決まる。そして、乃木坂46などの動向から観測できる限り、その人気順は、あまり変わらないものである。人気なメンバーはメディア露出が増えてますます人気になるし、選抜から漏れたメンバーはなかなか「見つからない」ので、ファンも増えない。まさに負のループである。
この人気の差がどのタイミングで出るかと言うと、結局は最初の頃なのである。ビジュアルという天性のものであったり、キャラクターや、ひたむきに努力する姿だったり。
結局そこでついた差は、気づかぬうちにじりじりと広がって、気づいたら、並大抵の努力では追いつけないほどになっている。
アイドルの世界だけではなく、おそらく、自分たちの世界でも同じなのだと思う。若いうちについた差が、きっと30代や40代にボディブローのように効いてくる。
頭ではわかっているはず。だが、動かないからだとこころがここにある。
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