2月9日

 いつも目覚めれば独り。


 昼前にごそごそと布団から出て、焼きそばだけを食べて出かける身支度をする。人と会う予定はないけれど、いつ何が起こるかわからないから、一応、ちょっとおしゃれをしていく。


 最近は前髪にセルフワンポイントカラーをしていくのが自分の中で流行り。分け目の部分に色を付けるのだが、そうすると色を付けた部分だけが固まってそこだけがさらに分かれてしまう。次からは分け目じゃないところにつけることにしようと思う。


 大井町。東急線を降りてりんかい線の駅に向かうけれど、いつまで経ってもホームへ着かない。二層式のホームになっていて、危うく川越行の電車に乗りかけた。


 天王洲アイルで降りて、「ゴッホ・アライブ」という、ゴッホの絵画を映像で楽しむというコンセプトの美術展に向かう。なるほど、たしかに実物は一つもなくて、会場の中にあるのは、スクリーンとプロジェクター、スピーカー、それに鏡だけ。映像制作・スタッフ・場所などの費用はかかるとはいえ、これで入場料が3,000円だから、さぞ儲かるのだろうなと思ってしまった。こう思ってしまうひねくれた自分が嫌いになる。


 ある意味で、展示会そのものよりもお目当てだった、家に飾るためのゴッホのアートフレームは、どうしてもこれと思うものがなく、とぼとぼと会場を後にする。そのまま天王洲アイル駅に戻っても面白くないので、品川駅まで歩くことにしたのだが、思っていたよりも遠くて、途中で少し後悔した。


 いわゆるコロナ禍の真っただ中に東京の人込みを象徴する映像として擦られ倒していた品川駅の「社畜回廊」を抜けて、最寄り駅まで戻る。晩ごはんを作るのが面倒だったので、最寄りの日高屋によってチゲ味噌ラーメンを食べたものの、その後、駅ビルで買い物をする気にはなれなかった。

 

 途中に寄ったコンビニで、少しつり目でいつもポニーテールをした、推しのお姉さんに出くわすも、タイミングを狙っていたらレジから外れてフライヤーに行ってしまった。


 人生、うまくいかないね。

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