海に恋した彼女の最期

那須茄子

海と彼女

 海に馳せる彼女の恋煩い。


 僕はそれを深くにも美しいと思う。


 海に魅いられた彼女の瞳。

 けれど、僕に向けることはない。


 まるで当てずっぽうな空欄の穴埋めみたい。過ごす、共有する日々の中に無理やり彼女を取り囲む。


 

 それでも変わらず、僕にはそっぽ向ける。



 片道切符で行ってしまった。

 彼女の後ろ姿を、どれほどの悲しみで受け入れられるだろう。


 それが一方的な片想いだろうと、どうだって良いと彼女ははっきり言い切った。


 海に恋するなんて、馬鹿らしいと言い募っても、追いかけて行く勇気は僕にはなくて。


 彼女には追いかけるだけの強い信念があった。





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