第20話 クリスマスプレゼント




 ジョン達が家に戻ると、エリーがやって来て「エリー、おねえちゃんになるの?」と訊いてきた。ジョンはエリーを抱き上げ「そうだぞ! 楽しみだな、エリー!」と言った。剛も大きく口を開けて笑っている。

 節子はまだ心配そうに「まりは大丈夫?」と剛に訊く。

「心配ない」

 剛はそう言って再び笑いだした。


 ジョンは車からプレゼントを取り出すとエリーに渡した。

「少し早いけどクリスマスプレゼントだ! ロボット作製キット!」

「……」

「どうしたエリー、嬉しすぎて言葉が出ないか?」

「……」

「エ、エリー……?」

「ぬいぐるみがよかったなぁ」

「そ、そうか、でも――」

「いらない」

「そんなこと言わずに、ね?」

「いらない!」

「お父さんが貰っちゃうぞ?」

「いいよ」

 エリーはやはりロボット作製キットよりもぬいぐるみの方が良かった。ジョンはガッカリしつつ反省をした。女の子はぬいぐるみが好き、と。


 ジョンは明日帰国する予定になっている。エリーはマリーと一緒に日本に残ることになっているため、ジョンは一人での帰国である。淋しいが仕方がない。帰国の準備をしていると、エリーが「おとうさん、げんきでね」と言う。

「ありがとう、エリー。エリーも元気で暮らすんだぞ?」

「は~い」

 ささいなやり取りがなぜか今は愛おしい。いつまでもこうしていたい。しかし時間は待ってはくれない。ジョンは準備を終えると明日に備えてベッドに入った。

 次の日、ジョンは寝ているエリーの額にキスをし、剛と節子に挨拶をすると、朝早くにマリーの実家を出発した。空は快晴。

 空港に着いたジョンはゲートを通過。飛行機はなんの問題もなくジョンの母国へと出発し無事に着陸する予定だった。



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