こちら"元"最強御一行さまです!

茉莉花菫

プロローグ


『かつて世界は争いに満ちていた。


 この世界には大きく分けて7つの種族が存在する。精霊、人類、魔族、エルフ、獣族、悪魔そしてドラゴン。世界がまだ出来たばかりの頃、種族などは関係なく、皆が助け合いながら、幸せな日々を送っていた。


 始まりは、人類と魔族のちょっとした諍い。他の種族も、人類自身も、魔族自身も、すぐに収まるだろうと思っていた。しかし、小さな諍いは、憎しみを呼び、争いを呼び、分断を呼んだ。

 人類と魔族の現在まで続く長い争いの始まりである。

 争いは、人類と魔族だけに留まらなかった。その影響は他種族にまで及ぶこととなる。世界は、争いの渦に呑まれていった。


 これを嘆いたのが時の精霊女王セレーネ。セレーネは、皆が仲良く幸せに暮らしていたこの世界を心から愛していた。由に、立ち上がった。友が友を憎み、友と友が争い、友が友を殺す。そんな世界に耐えられなくなったのだ。

 セレーネは、最も強く気高い心を持つものを各種族の中から1人ずつ選び抜き、世界の代表者という大役を与えた。そして、世界の代表者は10年に1度集まり、対話を行うとする法則を定める。対話にて、セレーネは各種族間の和解を促し、かつての平和な世を希求した。世界の代表者はこれを承諾。世界は一時の平穏を取り戻す。

 また後に、世界で新たに一大勢力となった魔法使いからも代表者を取り決めることとなる。


 これにて、8人の代表者がここに誕生する。』


(シュヴァル著『代表者歴伝』より抜粋)

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