なんとなく思いついたSF

@hitujinonamida

なんとなく思いついたSF

 場所は人類の存在する惑星。

 目まぐるしい科学の発展を遂げていた人類は、これ以上人間が争わないで済むように、争いの根源となる性欲を社会的秩序で全てコントロールしようという結論に至りました。

 人間が争うのは、自分が他より優れていると示すためであり、その根本には自分がいかに優秀な遺伝子を持っているかを異性に示して、より良い交配をし、より良い遺伝子を後世に残したいという動物的本能が働いていると分かっていたからです。


 そして、全ての人類は人工授精により生まれ、胎児として形を成す前から、液体入りの育成ポッドで5歳まで過ごすようになりました。


 しかし、同じように人工授精を行い、同じような栄養を与えているのに、中には育成ポッドの中で死んでしまう子どももいました。

 しかも、一人が死ぬと、連動するように問題のなかった子どもまで調子を崩してしまうのです。


 科学者たちはこの問題に大いに首をひねりました。

 しかし明確な要因は無いとして、発育の悪い個体があった場合、他の個体に影響を与える前に処分することに決まりました。


 

 ある日、既に育成ポッドから出て数年たった男の子が、研究所内を歩いました。

 その男の子はふと鏡の壁の向こうの、育成ポッドの方を見ました。


 すると、一つの育成ポッドの中の女の子に目が留まりました。

 男の子が凝視すると、その女の子が体調が悪いことに気が付きました。

 男の子は慌てて壁の向こうへ忍び込み、その女の子のポッドに触れました。

 男の子はじっくりポッド中を見つけると、ポッドに唇を付けました。

 なにも考えず、気が付いたらそうしていました。


 男の子の行いは、監視カメラに撮られており、男の子は性欲で身勝手な振る舞いをしたとして、宇宙空間に捨てられてしまいました。


 一方、体調の悪かった女の子は、その後誰よりも健康になり、無事に育成ポッドの外へ出れました。

 女の子は育成ポッドを出た後も、誰よりも優秀でした。

 そして何故か、その女の子は凄く寂しがりやな性格になりました。

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