5首目 みかん

固執(こしつ)より


解き放たれたかのように


みかんの皮が夜の卓にあり


〔解説〕

みかんの皮にとっては、

みかんの実こそ、

その固執の、

あるいは執着の対象だったのでしょう。

しかし、

人間の手で無理矢理剥ぎ取られて、

テーブルの上に

置かれたみかんの皮は、

今までのみかんの実への固執が、

嘘のように消えて、

ほっとしているのでしょう。

寓喩的な1首なのかもしれません。




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