擬人化と異化/睦月都『Dance with the invisibles』評
早瀬はづき
はじめに(※読み飛ばし可)
2023年10月、『十七月の娘たち』で第63回角川短歌賞を受賞した睦月都の待望の第一歌集『Dance with the invisibles』が出版された。わたしが最初にこの歌集を手に取ったのは、装丁の美しさに目を奪われたからであった。どこか古い書物のような表紙と、表紙の裏側に描かれた植物のスケッチのような図版。どこかヴォイニッチ手稿を思わせるような装丁は、目を奪われるに十分すぎる美しさである。しかし、そのときは購入に至らなかった。なぜなら、本歌集に掲載されている短歌はページ上部と下部にたっぷりと余白をとるという配置の都合上か、歌の途中で改行が入ってしまっていて一首一首へ没入しきれない感じがしたからである。それゆえ正直なところ、帯文にしたためられた「
それから数ヶ月がたって2024年1月にこの歌集を購入することになるのだが、それも欲しくて買ったというより、京大短歌の先輩(某理系短歌の方)にこの歌集の歌集評をしてほしいということを匂わされての購入であったため、どちらかといえば消極的なきっかけであった。
ではこの歌集評は書きたくて書いているわけじゃないの?と聞かれたら、それには声を大にして「No!」と答えたい。本歌集は歌の途中に改行が入ってしまっていることを除けばとてもいい歌集である。とくに睦月都は擬人化がうまい。本文では、わたしがうまいと思った擬人化の歌を挙げ、どこがどううまいのかについて考察していく。
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