第1話 戦場の雪姫
「雪姫様~!」
「雪姫様かっこいい~!」
「今回も
「そりゃあ、帝国の軍師ヴァン・アルバリオン様の1人娘にして第三皇子の婚約者のニア・アルバリオン様にそのニア様が引き抜いた魔術量がこの国1のサジリス・ロイ様。アイリス帝国第4王女のマリオン・アイラ・アイリス様と隣国の第2皇子にしてマリオン様の婚約者のアネモス・リン・ダリア様。お家柄も能力もこの国トップの方々だぜ。負けるはずねぇよ」
民衆たちは、雪姫隊の帰還に歓声をあげた。
「本当、お気楽だよな」
サジリスは、ぼやいた。
「サジ。そう言うな。皆、娯楽に飢えているんだよ」
ニアが、サジを窘める。
「だって、戦争中なんだぜ。いつ、この町に攻め入るかも分からない状況なのに綺麗に着飾って何にも分かってねぇよ」
サジリスは、旧帝国の人間でスラム街で育った。父親は知らず、母は、幼少期に亡くなった。毎日が、生きるか死ぬかの戦いだった。
「旧帝国の人間ってひねくれてるわねぇ~」
とマリオンが口を挟んだ。
「なっなんだと!」
「きゃ~サジ怖~い」
マリオンがニアに抱き着いた。
「なっ! お前。いっつもニアに引っ付きやがって! 大体お前お姫サマなんだろ? 戦場に出て良いのかよ!」
「うっさいわね!……私は失敗作なんだから仕方ないじゃない……」
「あ?」
「まぁまぁ。みんな。仲良くしましょうよ」
とアネモスが宥めた。
「アネモスの言う通りだ。ここからは、お叱りの時間になりそうだしな」
ニアが、ケアしい顔をした。
「はぁ~。そうよね。マリたち防衛はしてるけど全然進軍できてないもんね……」
「それは、仕方がない事かと思います。最近、東側の見たことのない動物型自動兵器が次々と進軍してきてます。飛ぶタイプや高速移動するタイプ。判断しにくいです」
「マリ。ハリネズミ型のやつ怖かった。ニアが、凍らせてくれなかったら串刺しだったかも……」
「ってちょっと待て! 凍らせたんじゃなくて俺が電気で破壊したろ!! それ」
「はぁ? 3本ぐらいすり抜けたじゃない。ちゃんと全部落としなさいよ」
「3本ぐらいお前達の風で飛ばせよ!」
「これだから、旧帝国の人間は嫌い! 裏切り者のあんたちをパパが、大目に見てくれてるんだからあたしに感謝してほしいわ!」
「だったら、スラム街の整備までしろよ」
「も~! 二人とも止めましょうよ! ニアも何か言ってくださいよ!」
「まぁ、新兵器に関してはうちのメカ班が戦場にまで行って対策を練ってくれているし大丈夫だ」
「話聞いてない!?」
「しかし……最近変な音がしないか?」
「変な音ですか?」
「ああ。ツートントンとか甲高い感じの音」
「僕は、気になりませんでしたけど……」
「マリも気にならなかったわ」
「俺も」
「そうか。なら良いんだ。さて、指令室に行こう」
ニアたちは、指令室の扉を開いた。
「ニア隊、戻りました」
「歴戦でお疲れでしょう。お疲れ様です」
第1魔術機軍補佐のミレイユ・アイリーンが声をかけた。
「甘やかすな。ミレイユ補佐官。こいつらは、今回も進軍できなかったんだからな」
眉間にしわを寄せながらアイリス帝国軍本部大佐ライアン・ブラウンが言った。
「ブラウン大佐。ですが、1週間ほぼ毎日の出撃で彼らは全ての動物型兵器を撃退しているのです。それはすごい事です」
ブラウンは、鼻で笑うと
「撃退後、すぐさま東側へ突入することも出来るはずだろ? そのまま機体ごと特攻すれば良いのだと言っているんだ。民衆からは英雄扱いでも出来損ないの集まりじゃないか。こいつらは」
サジリスが、今にも魔術を放とうとした瞬間、ヴァン・アルバリオンが口を開いた。
「魔術機には、相当な魔術量を持っている者しか乗ることが出来ない。魔術量が少ない者が乗れば、そのまま魔術機に飲み込まれて精神を破壊されてしまう。現段階で魔術機に乗れる魔術量を達成しているのはこの4名だけだ。魔術量は、鍛えれば増えることが判明している。そのため、魔術量を増やすための訓練を追加し鍛錬されているのですよね。ブラウン大佐は、軍学校の校長もされていますよね。魔術機に乗ることが出来る学生は増えたのでしょうか?」
「そっそれは……」
「この4名の代わりが居るのであれば、特攻するのも手かもしれませんが代わりが育成されていないのであればそれは得策ではないと思いますが……」
「くっ……只の軍師風情が……」
ブラウンは、舌打ちをするとそそくさと部屋から出ていった。
「ニア。久しぶりだな」
「はい。父上」
「大佐には、ああ言ったが進軍できないのはお前たちの未熟な点もある。いつまでも、民衆はお前たちの見方ではない。今日は、休ませたいところだが軍の人間は進軍できない苛立ちでお前たちに敵意を向けている者も居る。だから、今日はこの部屋で座学をしなさい。ニア隊は、寝る間も惜しんで東側への進軍の勉強をしていると思わせた方が良いだろうな。」
「ざっ座学!!」
サジリスが、怪訝な顔をした。
「特に、サジリス。お前はもう少し地形を覚えなさい。着陸地点がいつもずれている。ニアが不在の時は、お前が先導することになるんだ。しっかり身に着けてもらう」
サジリスがげんなりしているとアネモスが
「ぼくとマリオン様は、今夜隣国との夜会がありましてお休み頂いてもよろしいでしょうか?」
「ええ。そうですね。ゆっくり王宮で休まれてください」
「ありがとうございます」
「では、私もこれから会議があるのでな。アイリーン補佐官後は頼んだ」
「承知いたしました」
アネモス、マリオン、ヴァンは部屋を出た。
「さぁて、では最初の授業は昼寝です!」
「昼寝!?」
「はい。今から3時間ほどお昼寝された後座学を始めますね。このまま始めたらサジリス君居眠りして電気飛ばしてきそうなんですもん」
「確かに、サジは、居眠りすると電気飛ばしてくるな」
「はぁ!?」
ニアとサジリスは、簡易ベッドに横になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます