オレと絶対付き合ってくれない幼馴染…くっ…どうしたら…

猫の集会

どうすりゃ…

 オレの名前は、敦也あつや

 

「あーっちゃん、あーそーぼー」

 と、オレの名前を呼ぶのは隣に住む幼馴染の充希みつきちゃんだ。

 

「いーいーよ」

 と二階の窓をガラリとあけて元気よく返事をする。

 

 そして、バタバタと階段を駆けおりて一目散に充希ちゃんの元へと走った。

 

 あのときのテンションの高さは、高層ビル並みの高さだったろう。

 

 

 

 …

 

 しかし、その数年後…

 

 充希は、ノックなしにオレの部屋へとズカズカ入ってきて

「ちょっと聞いてよー、イケメン発見ですっ‼︎」

 とお菓子の袋をバリバリあけながらお菓子をつまみ、女子会のように恋バナをしてくる。

 

 …

 

 どうやら朝、駅でイケメンを見つけたらしい。

 

「へー、そーっすかー」

 オレはマンガを読みながら関心ない返事を返した。

 

 実は…、

 

 はっ⁉︎イケメン⁉︎どんなやつだよ⁉︎どこの高校の何年生だよ⁉︎と心の中は、大騒ぎだった。

 

 でもさ…そんなん情けねーって思われんじゃん。

 

 だから、素っ気ない態度で対応するのでありました。

 

「ねー、真面目に聞いてよー。でさ、バレンタインあげちゃおっかな♡なんてね」

 とか言ってくるじゃん。

 

「へー、その人彼女いないの?」

「知らない!なんならもう二度と会わないかもだし」

 

 …

 

「なら、チョコ渡せなくない?」

「ね。」

 

 …

 

「なんだそれ…。アホくさ…」

「もぅ、敦也には、ちゃんと手作りチョコあげるからね。だからいじけないのっ」

 と、オレのわき腹を指でつんっとする充希。

 

「いや…手作りなんかいいよ。充希の髪の毛とか、ちぎれた爪入ってそうで怖いから。」

 と丁重にお断りした。

 

 手作りの義理チョコほど虚しいものはないっ‼︎

 

「そんなの入ってないからっ‼︎」

「あー、そうなんだ。」

「そうだよー…あ、でさぁ由妃ゆきちゃんの彼氏がね、そんなにイケメン好きなら性格クソ悪いけどイケメン紹介してあげようか?って言ってくれてね」

 

 なんて言い出すんですよ…

 由妃ちゃんの彼氏…余計なこといいやがって。

 

 …

 

 

 

「充希…それはいくらなんでもさ…やめときなよ」

「えっ、なんで?」

 と、キョトンとする充希。

 

「バカか⁉︎充希…バカなんだな?」

 

「はぁ?バカに決まってんでしょう。」

 と開き直る充希。

 

 …

 

 そうだった。

 充希は、バカなんだ。

 

 そんなおバカな充希は、高校に入るとさらにバカに磨きがかかってきた。

 

 

 とにかく充希から出てくる言葉は、イケメンか美味しいお菓子の話しかない。

 

 

 充希は、学校になにを学びに行っているのだろうか…。

 

 たぶん…なんにも学んでない…んじゃねっ⁉︎

 

 大丈夫かよ…充希よ…。

 

「充希…ほんと大丈夫か?騙されるんじゃねぇの?黙ってオレにしとけばいいのに…。」

「ふんっ、それはどうかしらぁ?でも絶対に敦也とは付き合いません‼︎てか、しばらく音信不通になるから連絡できないからねっ‼︎」

 と、おバカな充希は、そそくさと家に帰っていった。

 

 

 音信不通って…

 

 そもそも、充希はいつもそうやって言ってるけど、いまだに彼氏いない歴更新中だ。

 

 つくる気ないって感じがしますけど?

 

 まったく…何がしたいんだか…

 

 その数分後、早速充希からの着信。

 

 

「おぅ、どうした?音信不通解除かー?」

 と言ってやった。

 

 すると…

 

「ねぇ、それどころじゃないの…」

 とか細い声の充希。

 

「どうした?さっそくやらかしたか?」

「ううん。まぁ、やらかしたけど…そうじゃなくて、今日うちの親遅くなるからって言われてたわけよ。だからおやつ食べ放題してて…ぶちまけた。」

「なら、早く拾いなさい。電話する前に拾いなさい」

「そうじゃなくて‼︎今、下からガタンって音がしたわけ‼︎たぶんシャンプーが落ちたんだけどね…でも、こわいからしばらく電話繋いでていい?」

 なんてかわいいこというじゃんか。

「なら、オレそっち行ってやるよ」

「えっ、いいよ。悪いし。」

「いや、全然となりだし。早く玄関の鍵あけて」

「えっ、今下にいるの⁇」

「うん。」

 

 ドタドタドタドタ

 

 ガチャ

 

「こわかったよぅ〜」

 と一目散にオレに抱きつく充希。

 

「よしよし。もう大丈夫だからな。」

 と、頭をゴシゴシ髪をグシャグシャにしてやった。

 

「んも〜‼︎」

 

「「あはは」」

 

 

 それから、オレたちはトランプしたりゲームを堪能した。

 

 

「なぁ、充希…やっぱオレじゃダメ?」

「またそれ?だーめ‼︎敦也とは絶対に付き合いませんっ‼︎」

 

 そう。オレは充希に告白しては…フラれております。

 

「なんでだよー…だってオレのこと好きなんだろ?」

「うん。好き」

「じゃあ、なんで別の人紹介してもらうんだよー…。」

「それは、好きは好きでも違う好きだから」

 

 …

 

「なにそれ?なぞなぞ?」

「違うよ!好きだけど付き合いません‼︎一生‼︎」

 

「な…なんだよ。それ…」

「まぁ、それだよ…」

「どれだよ?」

 

 …

 

「ダメなものは、ダメなんだって…」

「なんで?オレがイヤか…?」

「いや…なわけない。けど…」

「けど?」

「敦也とは、ずっとこうやって仲良くしてもらいたいの。ずっと、ずっと隣で笑いあってたいの。」

 

 …

 

「それ、プロポーズか?」

「えっ?ちがっ…」

 オレは充希の目をじっとみつめた。

「ちがくないよね?好きなんだよね?ずっと一緒がいいんだよね?…キスするよ?」

「えっと…それは…ってかなんでキスするのよ」

「オレとはできない?」

 

 …

 

「えっ…と…そぅじゃなくて…」

「ん?」

「あの…、付き合ったらもしかして別れちゃうかもしれないでしょ?」

「あー、別れなきゃいいの?」

「ぅ〜…、でもね、ほんとに一回付き合っちゃうと…別れたとき気まずいじゃん……。それに家となりだし…。そもそもわたしズボラだからすぐ嫌われるかもだし…」

「嫌うわけないじゃん。オレが充希をどんだけ好きか知ってるでしょ?」

「うー…っ…でも、わたしほんとにダメなの。敦也が好きすぎてヤキモチ妬いちゃうし…だから…嫌われたくないのっ‼︎」

「いいよ。大丈夫。オレがどんだけ今まで色んな人の告白断ってるか知ってるよね?」

「うん…」

「いつも、好きな人いるからってちゃんとお断りしてるの知ってるよね?」

「うっ…うん」

 

 ずいっと充希に近づいた。

「オレ、充希のこと嫌いになると思う?」

 

 …

 

「うっ…そ、それは…」

「オレたち別れると本気で思う?」

 さらに充希に近づいた。

 

「でも、わかんないじゃん。敦也とは…ほんとにずっと仲良くしたいのっ。だからこわいの…離れたくないのっ…」

「なら、婚約したら安心?」

「えっ…こ…婚約…って…」

「充希、結婚を前提にお付き合いしてください。充希、好きだよ」

 

「はうっ…そ、そんな近くで反則だよ…ぅ」

「キスしていい?」

「えっと…ぇっとぅ…」

「ほんとに受け付けないならあと五秒まつよ?イヤなら避けて。」

 

 …

 

「…ごー、よん、さん、にー……いち…」

 

 

 …

 

 

 

 チュ♡

 

「はぅ…、してしまったっ…もぅっ‼︎責任取りなさいよ‼︎いい?一生だからね⁉︎いいのっ⁉︎」

 

「逆プロポーズしてんじゃん」

「うっ…えと…」

「わかったよ。一生責任とるから覚悟しときなよ?」

 

 チュ〜〜♡♡

 

 チュ♡チュ♡チュ〜♡

 

 ここぞとばかりにチュ〜ざんまいいたしましたっ‼︎

 

 

「もう…もう婚約者だからねっ‼︎絶対離れないでね‼︎」

「あたりまえじゃ〜ん。充希〜‼︎」

 と言いながらハグをした。

 

 ムギュムギュムギュ〜ン♡

 

 こうして、やっと結ばれたのでありました♡

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