虚実、或いは片思いと病的執着の境界

寧依

1


止まらない愛に終止符を打ちたいのだから

息の根を止めてしまえばいいじゃないか。


事も無げに提案された暴力に酩酊する。


それならいっそ君が殺してくれればいいんだ。


半ば苛立ちまぎれに提案したが、

殺人犯なんかになるものかと笑われる。


煮えたぎるような居心地の良さに

吐き気がする。

永遠にこうしていたい。


年も取らずこの日この時をループして、

まぎれもない愛をフラッシュバックしたい。


殺したい。

殺されたい。


僕は君のためなら君を殺せるよ。


上着を羽織るにはまだもう少しだけ早い秋口。

下校中の他愛もない会話。

薄れていく記憶を美しく磨き上げて、

後生大事に抱きしめている。


思い出の中でだけ君が笑うから

白昼夢を止められない。


一両編成の鈍行列車。


車窓からは過去も未来も見えない。

行先を選べるのはいくつも前の駅までで、

このレールの先に選択肢はない。


行き止まりに何があるだろう。

君は居ないけど、僕は君に会いに行くよ。


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